33 / 253
臆病なひなの
しおりを挟むそんなある日。
外は豪雨。
8月の夏真っ只中で、激しい雨が降ることも多い。
お昼だというのに空がすごく暗い。
雨の音もザーザーというよりバチバチ聞こえてくる感じ。
そして……
ピカッ!
ドォーン!ゴロゴロゴロゴロ!!
***
*神崎side
~小児科医局~
神崎「おぉ。今のすごい雷。今日はこれまたひどい天気だね~」
医局で先生たちと会話中、
コンコンコンッ——
真菰「神崎先生!!」
まこちゃんが勢いよく医局に入って来た。
神崎「なに!?まこちゃんどうしたの??」
真菰「はぁ、はぁ、すみません。あの、ひなちゃんが、いなくて。部屋に」
神崎「えぇ!?」
ひなちゃんがいない!?
これはまた大変だ……
と思って、急いで探しに出た。
神崎「五条先生は今オペだよな~……でも、とりあえずオペ室に連絡入れてくれる?俺は探してくるから」
真菰「はい!」
と、まこちゃんと手分けしてひなちゃんを探す。
***
*五条side
オペ終わり、シャワーを浴びて着替えてるとこに、更衣室の外から声が聞こえる。
真菰「五条先生!すみません!ひなちゃんがいなくなりました!!」
まこちゃんか?
ひながいなくなった?
五条「なんで……」
白衣に袖を通しながら急いで更衣室を出た。
真菰「あ!五条先生!!すみません!どこ探してもいなくて、神崎先生も探してくれてるんですけど小児のフロアにはいないみたいで」
五条「屋上は?」
真菰「こんな土砂降りの中ですか!?」
ん?土砂降り?
ずっとオペ室に入ってて外の様子を知らないけど……
五条「外、雨なのか?」
真菰「えぇ。ゲリラなのかすごい雨で雷もずっとゴロゴロ。たまにドーンって落ちた音もしてますよ!」
もしかして……
五条「……まこちゃん、ひな部屋にいない?」
真菰「え?」
五条「部屋の中よく探した?」
真菰「そういえば、扉開けてパッと見たらベッドにひなちゃんいなくて、それからすぐトイレに見に行って……」
五条「……小児に戻る」
と言って、急いでエレベーターに乗りひなの部屋に向かった。
小児フロアにつくと、
ピカッ!……ゴロゴロ!!
窓の外はたしかに大雨で雷も鳴ってる。
神崎「五条先生!」
フロアを探し回ってた様子の神崎先生が来た。
五条「神崎先生すみません。もう一度部屋見に行きます」
と言って、みんなで部屋に向かう。
ガラガラッ——
扉を開けると確かにベッドにひなはいない。
でも、扉側にある洗面台の下にひなが体育座りで小さく座り込んでた。
ブルブル震えながら耳を押さえるように頭を抱え込んで……
五条「出てこい。怖くないから」
ハッとしたように顔を上げたひなの顔は涙で濡れてる。
神崎「ひなちゃん、こんなとこにいたのか。もしかして、雷怖かった?」
ひな「グスン、グスン……コクッ……」
五条「もう大丈夫だ。ほら」
と、とりあえずひなを洗面台の下から出して立たせると、
ゴロゴロゴロー!
ひな「きゃぁ!!」
ひなはまた耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。
神崎「ひなちゃん!大丈夫大丈夫。先生たちいるから、ね?ベッド戻ろうかっ!」
神崎先生も一緒にひなを落ち着かせて、とりあえずベッドに戻した。
ゴロゴロゴロ……
ひな「ビクッ!!」
徐々に雷は遠くに行ってるようで音も小さくなってきたけど、ひなはまだビクビクしてる。
五条「大丈夫だ。もう時期どっか行く」
神崎「ひなちゃん、そんなに怖い?大丈夫大丈夫っ(笑)」
神崎先生はビビりまくるひなを見て、若干苦笑い。
ひな「グスン、グスン……ケホッ……」
五条「ん?ちょっと音聴くぞ」
ふと、ひなが咳をしたので胸のボタンを外して聴診する。
神崎「ひなちゃん、雷でちょっと疲れちゃったかな?」
と、神崎先生もひなの異変にすぐ気づく。
五条「ん、大丈夫そうだ。ビビりすぎて疲れたんだろ。ちょっと寝ときなさい」
ひな「コクッ……」
いつの間にか雷も鳴らなくなり、ベッドを倒して布団をかけてやると、ひなはすぐに目を閉じた。
***
~小児科医局~
真菰「すみませんでした!!ベッドにいないだけで慌ててしまって、部屋の中よく確認せず本当にすみません!!」
黒柱が集まる中、まこちゃんがペコペコと頭を下げる。
神崎「ははっ。まさか雷が怖くてあんなとこに隠れてたとはね~。でも、五条先生よくわかったね」
五条「昔から雷はよく怖がって、部屋の隅に縮こまってたんで……」
宇髄「さすが五条だな。ところで、ひなちゃんは9月から学校行けそうか?」
五条「はい。このまま調子が良いようであれば問題ないかと」
工藤「退院は?」
五条「同時に退院させることも考えたんですが、学校に慣れるまではやめておこうと思ってます」
藤堂「確かに。一気に環境を変えて、また具合悪くなるといけないしね」
宇髄「まずは病院から通わせて、学校に慣れてきたら退院だな」
神崎「ひなちゃんの制服姿みたいし、学校行く初日の朝はお見送りしよっ」
23
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる