ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

文字の大きさ
34 / 253

ノワール学園中等部①

しおりを挟む


そして、9月1日。



新しい制服、新しい靴、新しい鞄に、新品の文房具。

いよいよ、今日から学校に行く。

制服に着替えて、まこちゃんが髪を結んでくれるというので、洗面台の前に座ってる。





コンコンコン——


神崎「おはよう!ひなちゃん、制服着てるじゃんっ!いいねっ、似合ってる!」





入ってきたのは神崎先生と、その後ろから宇髄先生、工藤先生、藤堂先生。



な、なんで先生たちが?

ていうか、久しぶりに会った。

あの事件の後、神崎先生は会うけど他の先生には会ってなかった。





ひな「お、おはようございます」





なんでみんな来たのかわかんないけど、とりあえず挨拶。





藤堂「ひなちゃん、久しぶりだね。まこちゃんに髪結んでもらうの?」


ひな「は、はい……」





久しぶりに見た藤堂先生。

相変わらずの王子様感。





工藤「やっぱ、ポニーテールだな!」

宇髄「は?いや、ハーフアップだろ」

神崎「え~?ツインテールが良くないですかぁ!?」





って、3人はわたしの髪型でなんか論争してる……。





真菰「ふふっ。先生方の好みがわかりました」





って、笑いつつ、





真菰「よし。ひなちゃん、これでかわいくなったよ!」





まこちゃんがしてくれたのは、ふたつ結びのゆるい三つ編み。

髪の結び方なんて知らないわたしは、こんな可愛くできるまこちゃんの手は魔法でも使えるのかと思った。





ひな「まこちゃん、ありがとう」





と言って、立ち上がると、



コンコンコン——



五条先生が入ってきた。

でも、いつもの五条先生じゃない。

学校まで一緒に行ってくれるらしく、白衣じゃなくてスーツを着てる。

ピシッとしたシャツにネクタイをしていて、五条先生のいい感じに鍛えられたガッシリだけどしなやかな体のラインはスーツがよく似合ってる。





五条「準備できてるな。かわいいな」





え?





五条「その三つ編み。さすがまこちゃん、器用だな」





あ、三つ編み……。





五条「あと、制服やっぱでかいな」





制服は体が大きくなるだろうということで少し大きめが用意されてた。

だから、たしかにちょっとまだ緩い。





藤堂「でも、このセーラー服ひなちゃんによく似合ってるね」





と、藤堂先生が褒めてくれて少し照れた。



制服はセーラー服。

今は夏服で、半袖の白いセーラー服にスカートとリボンは襟元と同じグレー。

冬服になると、セーラー服とスカートがノワールというだけあって黒になる。





五条「行くぞ」





五条先生に言われ鞄を持って、





「「いってらっしゃ~い」」





みんなに送り出され、わたしは五条先生の後ろをついて行った。










エレベーターに乗って、五条先生はなぜか地下のボタンを押す。





ひな「え?」


五条「ん?」


ひな「1階じゃないんですか?」


五条「駐車場地下だから」





え?ちゅ、駐車場?

まさか、車で行くの?

学校までは病院から歩いて10分くらいと思うけど……





ひな「歩いて行かないんですか……?」


五条「あぁ。俺戻って来ないといけないし。まだ1人で学校まで歩かせるのは不安だからな。今日の帰りと明日からはバスに乗りなさい」





そうなんですか……

歩いて行けるもんだと思ってた。



駐車場にはちょうど出勤してくる先生が多いのか、車が次々に駐められていた。

どれもこれも、高そうな車……。





五条「ほら、頭気をつけろよ」





と、ドアを開けてくれて後ろの席に乗り込む。

五条先生の車も高そうな真っ白の外車。

汚してしまいそうで緊張する。

それに、学校だって緊張する。



学校に着くまでの間、ひたすらじっと座ってた。










学校に着いて車を降りると、目の前には綺麗で立派な校舎。

お城みたいな佇まいに思わず駆け出すと、





五条「おい!」





五条先生に手首を掴まれた。





五条「こら、走るな!さっき言っただろ、聞いてなかったか?」


ひな「え?」


五条「はぁ……車の中で言っただろ。走らない、こまめな水分補給と手洗いうがい、しんどくなったらすぐ先生に言う、終わったら連絡する。緊張して返事しないのかと思ってたら、やっぱり聞いてなかったか」





緊張はしてたんだよ。

でも、全く聞いてなかった。

五条先生がしゃべってることすら気づいてなかった……





五条「発作でも起きたらすぐ連れ戻すぞ」


ひな「ご、ごめんなさい」










そんなこんなでまずは校長先生のところへ行った。

五条先生が校長に挨拶して、わたしもご挨拶。

しばらくして、担任になる先生も入ってきて五条先生が挨拶して、わたしもご挨拶。



この学校の先生方にはわたしの事情がすでに病院から伝えられてるらしく、五条先生は改めてお願いしますって言いに来たみたい。

その様子をぼーっと眺めてたら、なんか、わたしの保護者みたいで、お父さんみたいだなーなんて思ってたら、





校長「……くん?……栗花落くん?」


ひな「え?あ、は、はい!」





ぼーっとしてて、校長先生に呼ばれてるの気づいてなかった。





五条「おい、ぼーっとするな。ちゃんと話聞きなさい」





また怒られた……恥ずかしい……





校長「勉強についていけないと思っても、補習など受けられるから心配はせんで大丈夫じゃよ。体調に合わせて学校に来たらよい。学校にいる間も、調子が悪くなれば遠慮なく先生方に伝えたらよいからの。そしたら、担任の先生と一緒に教室へ行きなさい」





と、仙人のような校長先生に言われた。





ひな「はい」





返事をして、校長室を出る。

そして、





五条「それじゃ、俺は病院戻るから。終わったら連絡するんだぞ」


ひな「はい」





五条先生と一旦別れる。

ここで、初めて1人になって一気に緊張が増した。

担任の先生に付き添われて、恐る恐る教室に入る。



そして、前に立って、先生に紹介された。

クラスメイトからの視線を一気に浴びて、緊張してうつむいたまま前が見れなくて、自分の名前も小さい声でしか言えなかった。



それから、始業式に参加して、教室に戻ってきて、HR(ホームルーム)を2時間ほどして今日は終わった。

終わった後、担任の先生から教科書を渡すからと少し待ってるように言われた。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...