ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

文字の大きさ
35 / 253

ノワール学園中等部②

しおりを挟む



「ひなのっ」





ビクッ





誰かに呼ばれて顔を上げると、





ひな「え?……な、夏樹くん!?」





一瞬誰だかわからなかったけど、そこには以前病室で一緒になった夏樹くんがいた。

わたしが倒れたりなんだかんだあった間に退院しちゃってて、ちゃんとお別れできてなかった。





夏樹「ずーっと下向いて、大丈夫か?」


ひな「夏樹くん、なんでここに……?」


夏樹「なんでって、同じクラスだから。俺もこの学校に通ってる」





そうだったんだ。

でも、知ってる人がいてちょっと安心。

だけど、夏樹くんなんか様子が……





ひな「身長と声が、変わった?」


夏樹「あぁ。なんか、俺声変わり始まってさ。あと、4月の時から10センチ伸びた。そのおかげでなんか喘息も治ったんだ」


ひな「え?喘息って治るの?」


夏樹「俺は小児喘息だったから治ったぞ。ひなのは違うのか?」


ひな「わかんない……けど、五条先生に治らないって言われた」


夏樹「そっか……」





なんて話してると担任の先生が来て、





担任「これ、栗花落さんの教科書なんだけど、重くて持って帰れないわよね?」





机に置かれた全教科分の教科書。

たしかにこんなのとても全部持って帰れない。





夏樹「あ、先生、俺持ちますよ。今日部活ないしひなの送っていきます。入院中部屋同じでひなののこと知ってるんで」


担任「あら、そう!それは頼もしいわ。そしたら工藤くん、よろしくね」





ということで、

夏樹くんが教科書を全部持ってくれて、ついでにあまりわかってなかったバスの乗り方も教えてもらって、一緒に病院へ帰ってきた。

小児病棟につくと、ナースステーションのまこちゃんが帰りに気づいてくれて、





真菰「あ!ひなちゃんおかえりって、夏樹くん??」


夏樹「よっ!まこちゃん久しぶり!」


真菰「わぁ!夏樹くん背が伸びて声変わりして、なんかお兄さんになってきたね!ってなんで夏樹くんがいるの?」


夏樹「俺、ひなのと同じクラスになってさ。ひなのの教科書持ってやって」


真菰「そういうこと!とりあえず、お部屋行こうか!」





と、病室に戻ってきた。










真菰「あれ?そういえば、ひなちゃん学校終わったって五条先生に連絡入れた?」





……はっ!!



すっかり忘れてた。



学校に行くことになって、五条先生からはスマホも渡されてた。何かあったら連絡できるようにって。

今日は学校終わったら連絡するように言われてたのに、夏樹くんと会ってすっかり忘れてた。





ひな「忘れてた……」


真菰「じゃあ、わたしから言っといてあげるね!手洗いうがいしてお着替えしてね」


ひな「ごめんなさい……」





と、まこちゃんは病室を出て行った。

とりあえず鞄を置いて、ポケットからスマホを取り出す。





夏樹「ひなの、スマホ持ってたのか?」


ひな「うん。学校行くからって五条先生にもらったの」


夏樹「え!じゃあLIME友達なろうぜ!」





LIME(ライム)、五条先生にこれでメッセージ送ってって言われてたアプリだ。





ひな「うん、でも、どうやってやるのかわかんない」


夏樹「えっとな、まずこの緑のアプリ開くだろ~……」





と、夏樹くんに教えてもらってると……



コンコンコン——



五条先生がやってきた。





五条「……夏樹??お前ここで何してんだ……??」


夏樹「五条先生、久しぶり。って、変なことしてねーよ!!ひなのが教科書持てないから一緒に来たんだ」





と、夏樹くんが指さした教科書をチラッと見て、一瞬納得したような顔をしたと思ったら、





五条「で、それは今何してるんだ……?」





夏樹くんの手元を見る。





夏樹「え!あ、いや、その、ひなのがスマホ持ってたから、LIMEを……」


五条「教えていいのか?」


ひな「え?あ、ダメですか……?」


五条「お前はあんまり意味わかってないな……。おい、夏樹。ひなのスマホ貸せ!俺がやるからお前が触るな。あと、工藤先生に報告しとくからな」


夏樹「なっ!わざわざ言うなよ……。まぁ、ひなのと友達になれるなら兄ちゃんにバレたっていいけどな」





2人のやりとりがあんまりよくわからなくて、とりあえずぼーっと突っ立ってると、





五条「それはそうと、連絡してこいって言っただろ?」





ハッ……!





ひな「ごめんなさい。忘れてました……」


五条「忘れてましたじゃない!心配するだろ!ちゃんと連絡くらいしなさい!!」





あぁ……怒られた……





五条「それと、帰ってきてから手洗いうがいしたか……?」





ハッ……!



してない……

まこちゃんに言われたのにしてない……

こっちのほうがやばい。

五条先生の声もこっちの方が低くなった。





ひな「してません……」


五条「早くしなさい!!夏樹にLIME教えとる場合か!それが終わったらさっさと着替える!」


ひな「ごめんなさい……」





すぐに洗面所で手洗いとうがいを済ませ、カーテンを閉めて制服からパジャマに着替えた。

夏樹くんはLIMEの登録が終わったみたいで、じゃあなとその間に帰って行った。



着替え終わってカーテンを開けると、





五条「学校どうだった?疲れてないか?」





いつもの五条先生に戻ってた。





ひな「少し緊張しました。だけど、今日はまだ授業もなかったので。それに、夏樹くんが同じクラスにいて、少しだけ安心しました」


五条「そうか。聴診するから胸開けて」





と、五条先生の聴診を受ける。





五条「ん。いいぞ。明日から授業も始まるから、今日はゆっくりして明日に備えなさい」


ひな「はい」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...