ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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退院③

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*ひなのside





あ~、おいしかった!





結局、わたしはピザ2ピースとポテトとナゲットを少し食べて、残りは全部五条先生が食べた。

食べ終わってお腹いっぱいになって、ふぅ~っと一息ついてると、





五条「ほら、薬飲みなさい」





五条先生が目の前に水と薬とゼリーを置く。



あぁ、おいしいもの食べたあとに薬を飲まなきゃいけないなんて……



テンションが少し下がって渋々薬を飲んだ。





五条「いいか?ここにいつも薬入れて掛けとくから、朝、昼、晩、忘れず飲むんだぞ。今日みたいに俺と食事できないこともあるから、ちゃんと自分で飲むように。ゼリーは冷蔵庫に入れとくから。それと、学校ある時は持って行くのも忘れないようにするんだぞ」





五条先生は、月曜から日曜まで、朝昼晩寝る前に飲む薬を分けて入れられる、ポケットが付いたお薬カレンダーを用意してくれて、それをダイニングの棚にかけていつも見えるようにしてくれた。

病院では先生やまこちゃんが管理してくれてたけど、これからは自分で薬も忘れず飲まないといけない。

頭がパンクしそうだけど、





ひな「はい、わかりました。頑張ります」










それから、昼間は自分の部屋を整理したり、明日からの学校の準備をしたりして過ごした。

夜はそんなにお腹が空いてなかったので、五条先生が軽めにと言ってお味噌汁とおにぎりを作ってくれた。

忙しいのに普段いつ料理してるんだろうというくらいすごく手際良く作ってて、わたしはその様子をじーっと見てたらおにぎりの握り方を教えてくれた。



そして、ごはんを食べて、薬も飲んで、





五条「今日は疲れただろ。お風呂入っておいで。長く浸かりすぎたらダメだぞ」





と言われたので、わたしはお風呂へ。





ひな「ん~、気持ちいい~」





いい香りのシャンプーにいい香りの石鹸。

いい香りに包まれた身体をそっと湯船に沈める。

湯船に浸かるなんて人生で初めてかもしれない。

脚をピーンと伸ばしても全然余裕のある湯船で、肩まで浸かってぼーっとした。





こんな綺麗なお家で、おいしいごはんを食べて、ゆっくりとお風呂に浸かれるなんて。

夢に描いてはいたけど、まさか、本当にこんな日が来るとは思ってなかったな……。





そんなこと考えてると、





五条「ひな~?大丈夫か~?そろそろ出ろよ」





五条先生の声がしてきて、パッとモニターの時間を見たら30分くらい浸かってた。





ひな「はい!今から出ます!」





と言って、すぐにお風呂を出てパジャマに着替えてリビングに行くと、





フラッ……



あ、やばい……





ひな「……あれ?」





転けるかもと思ったのに、五条先生の腕の中。





五条「あれ?じゃない!ったく、ちょっとこっち来い」





と、片手でひょいっと抱っこされて、ソファーに座らされた。





わたしの体重、今20kg弱あるのに、

五条先生、力持ちすぎる……





そして、五条先生が手に持ってた冷たいタオルをおでこに乗せられて、





五条「あのなぁ、長湯するなって言っただろ。のぼせたんだよ」





言いながら、ちゃっかり手首掴んでずっと脈を測ってる。





いつの間にタオル……

わたしがこうなることわかってたのかな……





ひな「お風呂初めてだったから気持ちよくて……」


五条「これからいくらでも入れるだろ!もう10分以上は絶対浸かるなよ。俺がいない時にこうなったらどうするんだよ、ったく」


ひな「ごめんなさい……」





おでこのタオルが冷たくて気持ちいいなと思ってると、五条先生がいつの間にかステートを手に持ってる。





ひな「え!? なんでそれを……」


五条「当たり前だろ。聴診は基本だぞ。ひなは呼吸器弱いんだから」


ひな「そうじゃなくて、家なのに……」


五条「こういうことがあるから持って帰ってきてるんだ!」





せっかく退院したのに。

今朝の回診が最後の聴診だと思ってたのに……

呆気なく五条先生に聴診されてしまった。



聴診の後は、ソファーに座ったまま五条先生に髪の毛も乾かされ……





五条「よし。髪も乾いたから、今日はもう寝ろ。立てるか?」


ひな「大丈夫です」





と、立たせてもらう。





ひな「あれ?そういえば、わたしの部屋にベッドなかったんですけど……」


五条「寝室はこっちだから」





と、案内された部屋には……

キングサイズのベッドがドーンとあって、その隣に少し離してシングルサイズのベッドが置いてあった。





五条「こっちの小さい方がひなのベッドな。部屋に入れるのも考えたけど、ひとりで寝てて夜に何かあって気づかないといけないから。寝室は一緒にしたんだ」





あ、そうだったんだ。

五条先生、いろいろ考えてくれたんだね。





ひな「ありがとうございます」





言って、さっとベッドに入ると、





五条「おやすみ」





電気が消された。





ふかふかなベッド気持ちいい……

こんなふかふかなベッド初めて……





夢見心地な気分のままで、わたしは夢の中に落ちていった。










***



——翌朝



目を覚ましたわたしは朝から心臓が飛び出そう。

昨日、わたしは自分のベッドで寝たはずなのに、なぜか隣に五条先生が寝てる。

どう考えてもわたしが五条先生のでっかいベッドに入ってる。





なんで?

なんでわたし五条先生と寝てるの?

え?





寝起きでまったく働いてない頭を必死に動かして考えてると、





五条「ん……?まだ5時だ……もうちょっと寝とけ……」





ぽんぽん……





ひな「……!!!」





ご、五条先生がわたしの方向いて、頭をぽんぽん……

でも、目つぶったままだけど、また寝てる?

え?この状況はなに??

なんでこうなってるのー!?





結局、そこから一睡もできず、目を閉じたり、こそっと五条先生を見たりを繰り返して、





五条先生の顔って、こうして見るとすごく綺麗……

目鼻立ちがしっかりしてて、背も高いしお医者さんだし、家事だってできちゃうんだからモテるんだろうな……

彼女とかいないのかな……?





"トクン"





ん?今胸がトクンってした。

入院してる時からたまになるけど、なんだろ……





五条「ん、んん~……」





はっ!やばい、先生が起きる!



と思って、咄嗟に目をつぶる。





五条「ん?起きてたのか?」





ビクッ!!





な、なんでバレてるの?

目つぶるの遅かったかな……





仕方がないので恐る恐る目を開けてみると、目の前に五条先生の顔。





五条「何?俺の顔見てたの?」





なっ……!





ひな「え、あ、いや、違っ、あの、その、あ……っ、なんで、わたしはこっちに……」





寝起きなのに五条先生は相変わらず目も綺麗で顔ももちろん綺麗。

恥ずかしくて思わず布団を目元までかぶる。





五条「はぁ?覚えてないのか?」


ひな「え……?」


五条「昨日の夜中、突然起きてトイレ怖くて行けないって泣き出しただろ!それで、ついてってやって戻ってきたら、今度は1人で寝るの怖いからって一緒に寝たんだろうが」


ひな「えぇ!? そんな、嘘……」


五条「なんでそんな嘘つくんだよ!まぁ、初めての場所で不安だったんだろうからいいけど。俺ごはん作っとくからもう少し寝てていいぞ」


ひな「え、あ、いや、わたしも起きます……」





と言って、結局五条先生と一緒に起きた。










朝食は五条先生が作ってくれて、その間にわたしは学校の支度を済ませる。

制服に着替えてリビングに行くと、コーヒーやパンのいい香りがして、すでにテーブルには朝食が並んでた。



トーストにサラダにオムレツにソーセージ。

ヨーグルトもあって、わたしはコーヒーじゃなくてりんごジュース。



なんて贅沢な朝ごはん……



と、朝から幸せな気持ちになれた。



食事を終えて薬もきっちり飲み終えると、五条先生は少し先に出て病院へ行き、わたしも時間になって家を出た。

五条先生に言われたとおり、電気やガスの消し忘れがないか確認して、誰もいない家にいってきますと言って家を出る。



こうして、わたしは五条先生との新しい生活をスタートさせた。















んだけど……


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