ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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退院したって甘くない①

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1週間ほど経ったある日。





ひな「コホコホッ……」





12月に入って、最近気温がグッと下がってきたけど、今日はまた一段と冷たい風が吹く。

学校まで歩いていると、冷たい空気が身体に入ってきて思わず咳き込んでしまう。





また喘息になったら嫌だな~





なんて思いながら学校に行って過ごしてたけど、





ひな「コホコホッ、コホッ……コホコホッ……」


夏樹「ひなの大丈夫か?今日なんかよく咳してんな」





放課後、教室を出ようとした時に夏樹くんに声をかけられた。





ひな「今日寒いからちょっと咳が出ちゃうみたい。でも、全然大丈夫!じゃあ、また明日ね!」





と学校を出たら、家まで帰りながら五条先生にLIMEする。





"学校終わりました。今帰ってます。"

(既読)





相変わらず既読が早い。

もちろん、忙しくて遅い時もあるんだけど、速攻で既読がつくか、めっちゃ遅いかのどちらか。





"外寒いだろ。しんどくなったりしてないか?"





ギクッ……





五条先生、まさかどこからか見てるとかはないよね……

うーん、咳が出ること言った方がいいのかな……?

いや、でもそれでまたなんかされても嫌だし黙っとこう。





"大丈夫です!元気です!"

(既読)



"そうか。気をつけてな。"
"21時ごろ帰る。先に風呂入って寝てなさい。"



"わかりました。"

(既読)










そして家に帰って、まだ1人で料理ができないのでUperEatsで頼んだごはんを食べて、お風呂に入った。





ひな「コホン……ケホケホッ……」





ドライヤーをしながらまた咳が出てきて、なんとなく身体のだるさも感じる。





ひな「ケホケホッ……コホコホッ……」





はぁ……ひょっとして風邪でも引いちゃったのかな。



なんて思いながらリビングのソファーに座ると、そのままウトウトしてしまった。










***



五条「ひな。ひな、起きろ」


ひな「ん……」





目を覚ますと五条先生がいる。





ひな「ん?あ、五条先生おかえりなさい」





って、五条先生の手がおでこに乗せられてる。





五条「ひな、お前いつからしんどかった?」


ひな「え?」





言うと、体温計が脇に挟まれた。





五条「結構熱あるぞ……38度4分だな」


ひな「え?」





状況が飲み込めなくて、さっきから『え?』としか言ってない……





ピピッ……





五条「ほら見ろ。38度4分だろ?」





と見せられた体温計には、たしかに38.4℃って表示されてる。

そんな、おでこ触っただけで正確に当てるなんて……





ひな「すご……」


五条「すごじゃない。身体怠いからここで寝落ちしたんだろ?いつからだ?」


ひな「いや、そんななんの自覚もなく……コホコホッ」





あっ……。

なんて思ってももう遅い。

咳をした途端に五条先生の表情が一気に変わる。





五条「咳してるだろうが。朝から咳出てたのか?」


ひな「いや、今のはたまたまで……」


五条「なんで嘘つくんだ!夏樹から聞いたぞ、朝からよく咳き込んでるって」





えぇ!なんで、夏樹くんが五条先生にそんなことを?

いつの間にそんな話したの!?





五条「なんで早く言わなかった!!LIMEでも聞いただろうが!」





ヒィッ……



五条先生がお怒りモードになってる。

たしかに少しだるいとは思ったけど……





ひな「でも、わたしそんなしんどくないんですけど……」


五条「しんどくなくても咳が出てこんなに身体も熱くなってたらおかしいことくらいわかるだろ!ったく、病院行くぞ」


ひな「えぇ!!な、なんで……!?」


五条「熱が上がったら危ないからだ。まだ発作も出てないんだから、すぐ行くぞ」





と、五条先生に車に乗せられて……










はぁ……なんでまた……



わたしは救急外来の処置室のベッドの上で、五条先生の診察を受けている。





五条「深呼吸して」


ひな「スー……コホコホッ……ハー……ケホケホッ……」
 




しかも、ここにいるのは五条先生だけじゃない。





工藤「ひなちゃん、戻ってきちゃったな」





って、工藤先生も。



朝から咳をしてたことが五条先生にバレたのは、夏樹くんが工藤先生に言って、工藤先生が五条先生に言ったからみたい。

そんな謎が解けてもしょうがないけど……





ひな「夏樹くんひどい……ケホケホッ、ケホケホッ!」  


五条「夏樹は酷くないだろ!むしろ感謝しないと。学校で発作起きてたらどうしてたんだ!」





うぅ……



家にいる時には医者から離れた"五条悠仁"な五条先生だなと思ったりしてたのに、そんな五条先生はもういない。

この怒った低い声は完全に、Dr.五条って感じ……

いや、Dr.なんかじゃなくて"鬼"ってつけてやりたい。





鬼五条……





ひな「咳は出てたけど、コホッ……本当にそんなにしんどくなくて……ケホケホッ」


五条「今どんだけ熱あると思ってんだ!39度だぞ?」


ひな「えっ!家で測った時38度4分って言ってた……」


五条「ここに来るまでにまた上がったんだ」


ひな「でも、そんな、わたししんどくない……」


五条「自分ではしんどくなくても、身体はしんどいから熱が出てるんだ!今日はこのまま病院に泊まるからな」





病院に泊まる……

つまり、また入院ってことだよね?

せっかく退院したのに、1週間ちょっとで戻ってきちゃうなんて、

こんなことある……?





五条先生の衝撃的な言葉を聞いて、目からポロポロ涙が溢れてきた。





ひな「うぅ……帰りたい……ケホケホッ、しんどくない……ヒック」


五条「そんな咳出てんのにダメだ。喘鳴も聞こえるし肺炎にでもなったら危ないから熱が下がるまでここにいろ」


ひな「ヒック……ヒック……入院したくない、ケホケホッ……ゲホゲホゲホッ……! ハァハァ……」


工藤「おっと、ひなちゃん。あんまり泣いちゃうと苦しくなっちゃうからな。熱が下がればまたすぐ帰れるから、ゆっくり休もう」





ということで、わたしは病室に移されて点滴を打たれて、また病院に帰ってきてしまったとさ……


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