ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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2月29日

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そんなある日。



今日は学校が終わったら迎えに行くと五条先生から言われてたので、下駄箱で靴を履き替えながらLIMEを送る。





"学校終わりました"

(既読)

"正門出たとこで待ってる"





速攻で返事が返ってきたので急いで門に向かってると、なにやら周囲の様子がいつもと違って、





「あれ誰!?」

「めっちゃかっこいい!!」

「先輩の彼氏とかかな?」

「えーやばい!!」





という声が聞こえてくると思ったら、 



あっ……



門の前で五条先生が車から降りて、車にもたれるように立って待ってる。

その姿はまるでドラマに出てくる俳優さんか、雑誌に載ってるモデルさんみたい。

なんて思って見てると、





五条「ひな、突っ立ってないで早く乗れ。寒いんだから冷えるだろ」





って言われて、周りの女の子たちの視線を感じながら車に乗り込んだ。





ひな「ご、五条先生、目立ち過ぎです。女の子たちがキャーキャー言ってました」


五条「ん?何が?」





なにがって……

五条先生って自分がかっこいいこととか、オーラがすごいことに気づいてないのかな……





ひな「五条先生、これからどこか行くんですか?」


五条「あぁ。ちょっと買い物でも行こうかなと」





買い物なんて初めてだな。

日用品や食材とか、普段必要なものはいつの間にか五条先生が買ってきてくれてるからいつも揃ってるし。

なに買うんだろう。



と、到着したのは、この街で1番大きなショッピングモール。





五条「鞄は置いていっていいぞ。貴重品だけ預かっといてやるから」





と言われたので、鞄を五条先生に渡す。










***



*五条side





五条「は?」


ひな「え?」





貴重品だけ預かっとくって言ったら、ひなはニコニコと鞄を俺に渡してきた。





五条「鞄は置いといていいって、貴重品だけ預かっとくって言ったろ?なんで鞄ごと渡してくるんだよ……」


ひな「なんでって、五条先生が貴重品預かってくれるって……」





あ……そういうことか。

ひなにとっては全部大切なものなのか。

今まで何も持ってなかったから、自分の持ち物はひなにとって全部が宝物なんだ。

まさか、そう来るとは。

あまりにも純粋過ぎる……





五条「マジか……」


ひな「え?」


五条「いや、なんでもない。普通は貴重品といえば、財布やらスマホやら家の鍵やら、失くすと特に困る物のことを言うんだよ」


ひな「あ、そうなんですか。うーんと、じゃあ……」


五条「まぁ大丈夫だ。俺は荷物ないし持っといてやるから」


ひな「ありがとうございます!!」










***



*ひなのside





初めて来るショッピングモール。

すごく広くて、服屋さんに雑貨屋さんに食べ物屋さんにっていろいろあるけど、五条先生は何を買いにきたんだろう。





ひな「五条先生、なに買うんですか?」


五条「ん?ひなが欲しいもの」


ひな「え?わたしが欲しいもの?」


五条「あぁ。なんか欲しいものないか?なんでもいいぞ、好きなもの買ってやるから」





え?

い、いきなりそんなこと言われても……





ひな「突然言われても、わたし欲しいものなんて……」


五条「まぁ、時間はあるんだからゆっくり見たらいい。それで、欲しいものがあったらそれ買おう」





ということで、五条先生といろんなお店を見てまわった。

だけど、どのお店を見てもすべてが素敵過ぎて、欲しいって感覚にならなかった。










五条「なぁ、ひな欲しいもの見つからないか?」


ひな「なんか、こんなに素敵なものばかり見てると、ごはんと一緒で見てるだけでお腹いっぱいになっちゃって。なんでも好きなものをなんて初めてだからどうしていいか」


五条「そうか……あ、ちょっとそこの本屋寄っていいか?」





目線の先には本屋さんがある。





ひな「はい。もちろんです」





五条先生について行くと、医学書が並ぶ棚の前に来た。

五条先生がいくつか本を手に取ってパラパラと見てる。

わたしも手持ち無沙汰になるので、その辺に並ぶ本をいろいろ見ていると、パッと目に入ってきた本を手に取った。



『はたらく細胞ズ!!』



かわいい表紙を開いてパラパラと中を見てみると、細胞が擬人化されて体内の仕組みがわかりやすく描かれていた。





へぇ~、赤血球さんたちが酸素を配達して、白血球のお兄さんが病原体をやっつける……

この本すごくおもしろい!





思わず夢中になってパラパラ読んでると、





五条「その本好きか?」





いつの間にか五条先生は手にいくつか本を抱えて、わたしのすぐ隣に立ってた。





ひな「あ!すみません、おもしろくてついパラパラと……」





言うと、スッと五条先生がわたしの手から本を取り、





五条「これ買おう。ひな本好きか?他にもいろいろ見たらいいぞ。あっちも行ってみよう」










それから五条先生と1時間近く本屋さんにいて、他にも小説など読んでみたいものや五条先生のおすすめをいくつか買ってもらうことに。





五条「会計してくるから、ひなはここで待っててな」





言われて、レジに並ぶ五条先生を待ってる間、目の前にあった旅行雑誌をパラパラとめくってみる。

そして、お会計を済ませた五条先生が戻ってくると、そろそろ帰ろうということで家に帰ってきた。



帰ったら、すぐに手洗いうがいして部屋着に着替えて、リビングへ行くと五条先生がすでに夕食の準備を始めてる。





ひな「手伝います!」





五条先生と一緒に暮らし始めて、3ヶ月ちょっと。

家の中のことは全部五条先生がしてくれるけど、ずっとそばで見てたら五条先生が教えてくれて、掃除も洗濯も料理も少しずつできるようになってきた。





五条「今日はいいから。たくさん歩いて疲れただろ。ちょっとソファーでゆっくりしとけ」





と言われたので、大人しくソファーに座った。










五条「おーい。ひな起きろ。ごはん」





ん?……あ、寝てた!





ひな「すみません」





言うと、五条先生の手がおでこに触れる。





五条「大丈夫か?……熱はないな。ちょっと疲れさせたか」





"トクン"





ひな「あ、いえ、大丈夫です!なんかわたしいつもすぐ寝ちゃって。お腹空きました!」





ダイニングテーブルには心なしかいつもより豪華な食事が並ぶ。





ひな「いただきます!」





五条先生は忙しくて、一緒に住み始めたけど食事はバラバラなことも多い。

夜遅いとわたしが待ってられず先に寝ちゃうし、朝も当直だと会えない。

だから、こうして五条先生と食べられる日は密かにうれしい。



ごはんを食べ終わって、五条先生が洗い物をしてくれてる間に食後の薬を飲もうとしたら、





五条「ひな待て。薬はまだ飲まなくていいから」


ひな「え?なんで?」 


五条「今日デザートあるから」


ひな「へっ?」 





デザートってなんだろ。

たまにゼリーやプリンなんかを食べることはあるけど、基本的に夜はごはんを食べて薬を飲んで終わる。

とりあえずテーブルに座って待ってると、





ひな「え……っ」





五条先生が冷蔵庫から出してきたのは、かわいいケーキ。

そしてそこには、



"Hinano, Happy Birthday!!"



というチョコレートのプレートと、1と4の形をしたクッキーが乗っていた。





ひな「五条先生、これ……」


五条「ひな、誕生日おめでとう。正確には今年は閏年じゃないけどな。今日はひなの14才の誕生日だ」





2月29日。

4年に一度のうるうの日が、わたしのお誕生日。



今日は3月1日。

誕生日なんてもうずっと誰にも祝ってもらってない。

それに閏日も4年に一度しかこない。

だから、自分が今日誕生日であることすら忘れてた。





ひな「忘れてました……」


五条「だろうな。だから欲しいもの買おうって言ったんだよ。気づくかなと思ったけど、気づかなかったな」





と、本屋さんで買ってもらった本を渡される。

お会計するところは見てなかったけど、綺麗にラッピングしてくれてた。





五条「はい、誕生日プレゼント」


ひな「五条先生……ありがとうございます……」





こんなにうれしくて、涙を堪えらるわけがない。

ポロポロ流れる涙は、ラッピングペーパーにもこぼれ落ちた。





五条「泣くなよ。せっかく綺麗に包んでもらったのに」


ひな「ごめんなさい。でも、うれしくて、本当にうれしくて、わたし今すごく幸せです……」





そう言うと、五条先生がそっとわたしを抱きしめる。





五条「誕生日はここまで大きく育ったひなのおめでとうの日で、産んでくれたマミーとダディーへありがとうの日だ。空にいるダディーとマミーのためにも、ひなはこれからもっと幸せにならなきゃな」





これ以上の幸せなんてあるのだろうかというくらい、今この瞬間が本当に幸せ。

人生のほとんどがつらいことだけど、五条先生の腕の中に包まれて、心から思える。





ひな「生きててよかった……」


五条「生きててくれてありがとう。これからも生きるんだぞ。俺が支えるから」






"トクン"










五条「よし、ケーキ食うぞ」





と言われ、五条先生と一緒にケーキを食べた。

いちごがたくさん乗ったショートケーキ。

初めて食べるケーキはこの世のものとは思えないくらいおいしかった。



そういえば、五条先生は何歳なんだろう?



ケーキを食べながらふと思って、聞いてみる。





ひな「五条先生は何歳ですか?」


五条「27」


ひな「え!?」


五条「なんだよ。そんなびっくりするほど老けてるか?」





いや、老けてるんじゃなくて大人っぽすぎる。

それに、27歳って医者になってまだそんなに経ってないんだよね。

なのに、五条先生は病院ですごく頼られてるし、尊敬されてるし、貫禄あるし……





ひな「いや、老けてるなんて思いません!ただ、すごく大人というか貫禄があるというか……」


五条「まぁ、俺早生まれじゃないし今年28になるけどな」





じゃあ、わたしより14才歳上なんだ。





ひな「あの、他の先生たちも歳近いですか?」


五条「まぁな、みんな歳上だけどな。神崎先生は1個上だ。あとはいくつだっけな。工藤先生がそのまた1個上で、次が藤堂先生は……って、また自分で聞いてみろよ」


ひな「え!あ、わかりました!!」


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