ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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手術

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そして、2日後。

手術当日。





真菰「ひなちゃ~ん。そろそろ移動しようか」





朝9時過ぎにまこちゃんが呼びに来た。

手術は10時からだけど、着替えたり準備をしないといけないみたいで、少し早めに手術室に行くことになってる。





ひな「はい……」





緊張して昨日はあんまり眠れなかった。

重たい腰を上げて、まこちゃんについて行く。

手術室に着くまでまこちゃんがたくさん声をかけてくれて、大丈夫だよとか頑張ってねとか言ってくれたのに、緊張し過ぎて相槌もろくにできなかった……。



手術室に着くと、別の看護師さんに引き継がれてまこちゃんとは一旦バイバイ。

そして、着替えて手術台の上にあがって、脚を固定されたり機械をつけられたり点滴のラインを取られたり。

もうこの時点で怖すぎて身体の震えは止まらなくなった。





看護師「栗花落さん、大丈夫ですよ。リラックスしましょうか」





と、看護師さんが声をかけてくれるけど無理。



そうこうしてるうちに、時間になったみたいで先生たちが入ってきた。

でも、なんか異様な雰囲気。

だって、いつものスクラブと白衣じゃない。

ガウンを着て手術帽もマスクも手袋もしてて、どうしたって手術しますっていう格好。



そんな先生たちを見た瞬間、わたしの緊張がMAXに達した。





ひな「うぅ……う、グスン……ヒック……ヒック……」


五条「おいおい、どうしたひな。泣いたら手術出来ないぞ」


ひな「怖いぃ……グスン……もう帰りたい……」


五条「終わったら帰れるから頑張るぞ。大丈夫だ。終わるまで手握ってよう」





そう言って、五条先生は隣に立って手を握ってくれるけど、





宇髄「よーし。ひなちゃーん。これからゆっくり始めていくからよろしくな。まずは麻酔からするからなー」





足元から宇髄先生の声がして、カチャカチャと器具の音もして、





宇髄「ひなちゃん少し触るよー、力抜いてなー」





宇髄先生の手がわたしのあそこに触れて、





ひな「やっぱり怖いぃ!!!」





って、泣き叫んだ。





ひな「ヒック……ううっ、ヒック……怖い、やだ、帰る……グスン」


五条「ひな落ち着け。深呼吸しよう。まだ始まってないから、大丈夫大丈夫」





五条先生はわたしを落ち着かせるために、優しく声をかけてくれて頭も撫でてくれる。

でも、麻酔が怖過ぎて落ち着けない。





宇髄「ひなちゃんやっぱり麻酔怖い?眠ってする?」





手術の説明を受けた時に、局所麻酔でも出来るけど、怖ければ静脈麻酔で眠ってやってもいいって言われた。

でも、そもそも麻酔で眠るのも怖くって、五条先生もいてくれるしと局所麻酔を選んだ。

ただ、いざとなるとやっぱり怖過ぎて無理。





ひな「ヒック、ヒック……寝るのも……グスン……怖い……全部やだ……ヒック」


五条「麻酔しないわけにいかないだろ?麻酔せずに切るか?」





五条先生は今すごく優しいけど、言ってることは全然優しくない。

最近、鬼五条は出現してないけど、発言だけは鬼が抜けないみたい……





ひな「グスン、麻酔……ヒック……しないと、グスン……痛い……」


五条「だろ?痛くないように麻酔するんだから、麻酔は少し頑張ろう。一瞬だけ我慢したら大丈夫だから」


ひな「うぅっ……でも怖いぃ……ヒック、ヒック……」





結局、落ち着くまでに30分以上泣き続けてしまって、ぼーっとする程度にガスを吸ってからやることになった。





五条「ひな~、少しずつふわふわしてくるからな。ぼーっとしてていいぞ」





麻酔科医の先生にマスクをつけられて、少しすると五条先生の言った通りぼーっとしてきた。





宇髄「ひなちゃーん、そしたらそろそろ始めるな。少しだけチクッとするかも知れないけど、絶対に動かないでなー」





と、宇髄先生の声が聞こえて、



ん"ん"っ……!!



ぼーっとしてるせいで声も出せないけど痛かった。

五条先生の手をギュッとしたら、





五条「大丈夫」





って、撫でてた頭を2回ぽんぽんとしてくれた。





宇髄「ひなちゃーん、もし痛かったら五条先生の手ギュッと握ってすぐ教えてなー」





という声とともに、カチャカチャいう音やあそこが引っ張られる感覚を感じてた。



手術が終われば、喘息治して貧血も治して、お家に帰ってまたふかふかのベッドで眠りたい。

五条先生と作るごはんも食べたいな。

学校は9月から行けるかな?

あぁ、またあのメロンパン食べたい……。

そうだ、五条先生にメロンパン食べたいってお願いしよう……











***



五条「……な。ひなー」





ん……?



目を開けると五条先生と宇髄先生。

いつの間にか病室のベッドに戻ってきてた。





五条「わかるか?気分悪くないか?」





あれ、手術はもう終わったのか。

もしかして、わたし寝てたのかな?





宇髄「ひなちゃん、手術は終わったからな。麻酔効きすぎて眠くなっちゃったな」





そっか、寝ちゃったんだ。

でも、寝てる間に終わってなんか結果的によかった。

そういえば、退院したらメロンパン食べたいなーとか考えてたな。

食べたいな……





ひな「メロンパン」


「「は?」」





まだ若干ぼーっとする頭で考えてたら、そのまま口から出てしまってた。





ひな「あ……メロンパン、食べたいって……考えてて……」


五条「はぁ……お前は本当に……目が覚めて第一声にメロンパンって言うやついるか?ま、もう大丈夫だな」





五条先生がホッとした顔ですごく微笑んでる。





宇髄「退院したらメロンパン買ってもらわないとな(笑)」





宇髄先生も笑ってる。

なんか恥ずかしい……










***



——2週間後





藤堂「ひなちゃんいい?貧血はまだあまり良くないから、きちんとお薬飲んでなるべく安静にしててね」


ひな「はい」


藤堂「喘息もまだ発作が起きるかもしれないから気をつけてね。吸入器は肌身離さず持っておくんだよ」


ひな「はい」


宇髄「次の定期健診の時に術後の状態も確認するからな。それまでは普通に過ごして問題ないけど、何かあったらすぐ教えてな」


ひな「はい」


藤堂「お約束も忘れないでね。ちゃんと覚えてる?」


ひな「走らないことと、身体に異変があればすぐに言うことです」


藤堂「うん。ちゃんと覚えてるね。そしたら、ひなちゃん退院おめでとう」


ひな「やったー!!」





ということで、本当は喘息や貧血はまだ安心できるまで回復してないんだけど、わたしが帰りたいって言い続けて、学校もはじまるし手術頑張ったからって退院できることになった。










ひな「ただいま~!」





夏休みはほぼ丸々入院しちゃってた。

久しぶりの家にテンションが上がる。





五条「こらぁ!ひな!お前は手も洗わんとソファーに思いっきりダイブして!さっき先生に言われたこと何も聞いてなかったのか!!」





ヒィッ……





ひな「す、すみません」





一緒に帰ってきた五条先生にさっそく叱られてしまった。





五条「そんなんじゃメロンパン食わせないぞ!!」


ひな「えぇ!メ、メロンパン食べたいです!!」


五条「だったら、さっさと手洗いうがいをしに行く!着替えも済ませる!」


ひな「はいっ!」





ということで、さっき帰る前に一緒に買ってきたメロンパンを食べるべく、急いで手洗いうがいして部屋着に着替えた。





ひな「わぁ~!おいしそう!いただきます!」





ついに、やっと、メロンパンを食べられる!

メロンパンダッシュ禁止になってから2ヶ月ぶりくらい。

待ちに待ったこの瞬間を噛み締めて……





パクッ……





ほわわわわ~!



あ~、なんて幸せ……

食べたかったよずっと。

高校生になってから大好物になったこのメロンパンを……





ひな「はぁ……美味しい……」


五条「はははっ!どんだけ食いたかったんだ」





言いながら、五条先生は片手でバクバク食べ進めてる。





ひな「ちょ、ちょっと!もっと味わって食べてくださいよ!!」


五条「味わってるだろ。俺もう2個目だぞ?ひなが遅すぎなんだよ」


ひな「えぇ!いつの間に2個目を……ずるい」


五条「ずるいじゃない。ひなは消化しきれんし身体に悪いからから1個しかダメだ。晩ご飯も食べなくなるからな」


ひな「わたしも五条先生みたいに身体が大きくて丈夫だったらな……」


五条「入院中少し体重落ちたんだから、ご飯しっかり食べるんだぞ。体力つけていかないと、学校始まったらキツいからな」


ひな「はーい」





こうして、無事に退院できて、またいつもの楽しい日常が戻ってきた。


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