ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

文字の大きさ
65 / 253

勉強会①

しおりを挟む


——数日後





コンコンコン——


五条「ひな、ちょっといいか?」





夜、学校も始まり部屋で宿題してたら、五条先生が入って来た。

病院の癖なのか、五条先生は一応ノックするのにこちらの返事を聞かずにドアを開ける。

着替えたりしてたら恥ずかしいのに……





ひな「はい。どうしたんですか?」


五条「実は、来月の末に勉強会があるんだ。1泊2日の泊まりで、ノワールの先生たちが集まっていろいろ発表し合ったりするんだけど、夜はみんなで温泉入ったりご飯食べたりもして、まぁ半分慰安旅行的な毎年恒例の行事だ。で、家族同伴もOKなんだが、ひなも一緒に行くか?」


ひな「え?わたしも行っていいんですか?」


五条「あぁ。3連休の土日だし、どうせ家でひとりになるのも心配だし、旅行も行ったことないだろ。本屋で温泉見てたみたいだしな」





誕生日の時のこと覚えててくれてるんだ。

五条先生はお仕事で行くとはいえ、温泉に入れるなんてなんだか楽しそう。





ひな「行きたいです!」


五条「ん。じゃあ、ひなも行くってことにしとくから、それまで体調崩すなよ」


ひな「はい!」










***



——1ヶ月後



今日は楽しみにしてた勉強会の日。

朝早くに家を出て、五条先生の車で向かう。





五条「着くまで寝てていいぞ。3時間くらいかかるから。昨日の夜もあんまり寝てなかっただろ」





あ、ワクワクして眠れてなかったことはバレてたんだね。





ひな「はい。でも眠くないので大丈夫です。」





だって、すごく楽しみなんだもん。

それに、久しぶりに五条先生の車に乗って、しかも助手席に乗って、サングラスしながら運転する五条先生はなんだかいつもと違うかっこよさ。

思わずじーっと見ちゃう。





五条「何をそんなに見とるんだ」


ひな「え?あ、いえ、なんでもないですっ//」





前向いて運転してるのに見てるのバレた。

なんか恥ずかしい。





五条先生はわたしのために休憩を多めに挟みながらゆっくり運転してくれて、到着したのは山に囲まれた老舗の温泉旅館。

毎年、この時期になるとこの旅館をノワールで貸し切って勉強会が行われるらしい。

まだ朝9時なのに、駐車場にはすでに車が何台も止まってる。

病院の駐車場みたいに外車ばっかり。










「五条先生、お待ちしておりました。お荷物はこちらでお預かりいたします」





旅館の中に入ると、早速仲居さんが出迎えてくれた。

毎年来てるから名前も覚えられてるみたい。





五条「お世話になります。よろしくお願いします」





と、五条先生が荷物を渡して何やら受付してる。





五条「すみません。女性用の浴衣なのですが、140cmくらいの子供用はありますか?背が低くて」


受付「えぇ、ございますよ。お嬢様の浴衣ですね。お部屋にご用意しておきます」





わたしは子供用か……

でも、お嬢様なんて言われちゃった。

それだけでテンション上がる!





受付を済ませると、五条先生がスーツに着替えると言うので今日泊まる部屋に行った。





うわぉ。すごい。





お部屋は広々とした畳のお部屋になっていて、窓からは山と川が見えている。

テーブルの上にはお菓子も置いてあった。





ひな「五条先生、これ食べてもいいですか?」


五条「今はダメだ。後にしろ。それは温泉に入る前に食べるもんだ」





と言われて、お菓子は我慢。





五条「ひな、ちょっと着替えるからこっち見んなよ」


ひな「は~い」





と言いながら、テーブルに置いてある物を物色する。





これはお茶か~

あ、これってこの旅館の案内かな?

と冊子を開くと、館内図などが載っていた。



温泉は2階にあって、ええっと……

わぁすごい!アイス無料サービスとかある!これ絶対食べよっと!

あとは、これは……夜鳴きそば?

夜鳴きそばも無料って書いてるけど……





ひな「ねぇ、五条先生?夜鳴きそばってな…………うわぁぁぁあ!!」





夜鳴きそばって何?

そう聞こうと思って振り向いたら、五条先生の上半身が裸……





五条「おい、こっち見んなっつったろ……」


ひな「ごごごごごめんなさい!!」





心臓のバクバクが止まらない……

五条先生の裸を半分見てしまった。

家にいても見たことなかったのに。



とりあえず、顔の向きを元に戻して手で覆う。



はぁ、ドキドキした……。

というかまだドキドキしてる……。

心臓が騒がしい。



というか、今日と明日ってこの部屋で着替えるのか。

じゃあ、五条先生に着替えてるところ見られちゃうかもしれないの!?

えぇー!!



って考えてたら、





五条「ひな。もう着替えたから大丈夫だ。お前は何顔を真っ赤にしとるんだ。上半身見たくらいでそんな騒ぐな……俺はひなの聴診する時騒いだことないだろ。だいたい、こっち見るなって言ったの聞いてなかったのか?いつも聞いてないのに適当に返事するな」





そりゃ、五条先生はお医者さんなんだから診察の時に騒がないでしょうよ。

でも、そういう五条先生だって今ちょっと顔赤いのに……





ひな「はい、ごめんなさい……」


五条「行くぞ」





と、スーツをビシッと着た五条先生の後をついて、再びロビーへと向かう。





夏樹「あ!!ひなの!!」


ひな「え!夏樹くん!!」





ロビーに降りると、夏樹くんがいて声をかけられた。





工藤「五条先生、ひなちゃん、おはよう」





夏樹くんの後ろには、工藤先生。





夏樹「ひなのも来てたんだな~!!」


工藤「何が『ひなのも来てたんだな~』だ。お前はひなちゃんが来るって聞いてついてきたんだろ」





え?そうなの?

わたしは夏樹くん来るの知らなかった。





夏樹「ちょ、ちげーよ。行きたいと思ったらひなのも来るってわかっただけだから。兄貴なに言ってんだよ」





あれ、いつの間にか夏樹くんが工藤先生のこと兄貴って。

前は兄ちゃんって呼んでたのに。





ひな「大人ばっかりだから夏樹くんいてうれしいよ」


夏樹「そ、そうか?」


工藤「おーい。お前らだって遊びに来ただけじゃないぞ。ちゃんと今日1日働けよ」





この勉強会は、先生たちが研究内容や病院で発生した珍しい症例なんかを発表したり、科目を超えて意見や情報交換をする場所。

そんなのに参加したって、もちろんちんぷんかんぷん。

だけど、何もしないと夕方まで暇を持て余すことになる。

というわけで、わたし……と、夏樹くんも。

資料を配ったり会場案内をしたりと、運営のお手伝いをすることになっている。

だから、今日は服装も一応制服で来た。





五条「ひな、俺ちょっと先生方に挨拶回りして来るな。時間になったら会場来るんだぞ」


ひな「はい」


工藤「俺も行って来るわ。夏樹、ひなちゃんの足引っ張らないようにしっかり働けよ」


夏樹「うっせー!」





と、五条先生も工藤先生も行ってしまったので、先に午前中の開会式とシンポジウムが行われる大きな会場に行った。

会場にはすでに先生や看護師さんがたくさん集まってる。





真菰「あ、ひなちゃん、夏樹くん!」


「「まこちゃん!」」


真菰「2人ともお手伝い頑張ってね!」


「「ありがとう!」」





今日ここに集まったのは100人くらい。

もちろん、今日も病院は開いてるので医師や看護師が全員集まるわけじゃないけど、偉い人や各科の主要な人、大学の人が集まって来てるみたい。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...