ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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治療再開④

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*五条side



~ひなのの病室~





ひな「スー……ハァ……スー……ハァ……スー……ハァ……」


宇髄「まだ起きないか」


藤堂「そうですね。呼吸も少し苦しそうですね」





治療を終えて戻ってから3時間経つ。

魂を抜かれたようにぐったりして帰ってきたひなは、ぐっすり眠ったまま起きる気配がない。

藤堂先生が聴診してくれてるが、見てるだけでひなの呼吸が荒いのはわかる。





宇髄「クリでイった後、ひなちゃん意識ありそうだったし、訳がわからんうちに指入れた方が余計なこと思い出さないだろうと思ってな。指締めつけて感じてくれるから、治療もこれで終わりにしてやろうとイかせてしまったが、身体が持たんかったな……」


藤堂「病み上がりでしたからね。でも、先週までほど胸の音も酷くはないですよ。熱も出てないですし」


宇髄「それにしてもちょっと無理させ過ぎだ。すまんな、五条。こんな状態で連れて帰ってきて悪い」


五条「やめてください。先生のおかげでお腹も綺麗になったし、治療も終わったし、身体の負担があるのは元々なので、ひなとしては治療が早く終わって良かったと思います。ありがとうございました」


宇髄「治療終わったら待ってるって約束してたんだろ?もしかすると、明日まで起きないかもしれないが………」


五条「今日当直なんで大丈夫です。夜は見に来ますし、明日は休みで朝になればひなに付いててやれるので」


宇髄「そうか。それならよかった」


藤堂「朝はまこちゃんと一緒に早めに回診来るよ」


五条「わかりました。よろしくお願いします」










***



*ひなのside





ん……





気がついてそっと目を開けてみる。

外は真っ暗で、オレンジに近い柔らかな明かりだけがついたここは、病室だってすぐにわかった。

とても静かだけど、



パサッ……ペラッ……



って、紙を捲るような音が時々響く。





五条先生……





"トクン"





音を立てないように、目だけをチラッと横にやると、丸椅子に座って五条先生が論文か何かを読んでる。





五条先生、待っててくれたんだ。

約束したから、治療終わったら会えるって約束だったから、ずっといてくれたのかな。





真剣な顔して論文を読む姿がかっこよくて、少しの間じっと見つめた。










五条「……そんなに見つめるな。ちょっと待ってな、もう読み終わる」





……っ!





目が覚めてから2分も経ってない気がするけど、じっと見てたら五条先生が突然しゃべった。

そして、すぐに論文を棚に置いて、





五条「俺の顔、そんなにかっこよかったか?」





って、頭ぽんぽんしながら顔を覗かれた。





ドキッ!ドキドキ……ドキンッ!!





こんな静かな部屋で聞こえてしまうんじゃないかってくらい、わたしの心臓がドキドキしてる。





ひな「ぇ……ぁ……カッコヨカッタ……」


五条「……言われると照れるな」





と、微笑む五条先生。





五条「何びっくりした顔して。気づいてないと思ったか?」





思った。

わたし物音立ててないのに、なんで見てたことバレたんだろって。





五条「ひなの心臓の音がトクンって聞こえたから」


ひな「ぇっ……!?」


五条「ははっ。嘘だよ。息の音が変わるからすぐ気づく。それに、そんなに熱い視線を送られたら気配でわかるだろ」





そっか、それでバレたのか、恥ずかしい……。

だけど、わたし……





ひな「ホッとしたの……。目が覚めたら隣に五条先生がいて、うれしかったです……」


五条「約束しただろ?治療終わったら待ってるって。よく頑張ったな」





そう言って頭を撫でられた瞬間、ブワッと涙が出て溢れちゃった。





五条「治療のことは宇髄先生と藤堂先生に聞いたぞ。本当によく頑張った。えらかったな。もうお腹治ってるからな」





って、空いてる手でお腹も撫でてくれた。





ひな「これでもう退院できる?」


五条「そうだな~……ひな喘息と貧血がまだ少しあるから、すぐは無理だ。……家、早く帰りたいんだな」


ひな「コクコクコク……」


五条「家がひなの帰りたい場所になってうれしいんだけど、体重もかなり落ちてるし、しっかり食べて体力つけてからじゃないと、またすぐ入院になっちゃうから。それは嫌だろ?」


ひな「もう入院したくない……」


五条「だろ?だから、今は焦らずしっかり治してから退院しよう。な?」


ひな「はい……」


五条「ん。今まだ朝の6時だ。朝ご飯までもう少し寝られるか?」


ひな「五条先生、一緒にいてくれる……?」


五条「あぁ。ここにいるから、目閉じてごらん」





そう言って、布団の上から肩をトントンしてくれて、わたしは幸せな気分でまた眠りについた。


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