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お父さんとお母さん②
しおりを挟むそして、1週間後。
ドキドキッ……ドキドキッ……
もう朝からずっと緊張してる。
今日は五条先生のご両親が来る日。
昼過ぎに日本へ着くみたいで、五条先生と車で空港に来た。
五条「まだちょっと早いな」
電光掲示板を眺めながら五条先生が言う。
ひな「五条先生のご両親はアメリカのどこに住んでるんですか?」
五条「ピッツバーグ。ペンシルベニア州だな。ニューヨークとかワシントンに近いぞ。ひなもそこに暮らしてた」
そうだったんだ。
ピの字もペの字も覚えてないや(笑)
五条「入国審査もあるし、あと1時間はかかるな。そこのカフェでも行くか。それとも、ちょっと空港うろうろしてみるか?」
ひな「せっかくだからうろうろしたいです!空港初めて来たし!」
五条「ん。じゃあそうしよう」
と、少し空港内を見てまわることに。
さすがは空港。
外国人もたくさんいて、ここだけで海外に来た気分。
時々すれ違うCAやパイロットにも、思わず目を奪われる。
ひな「空港って楽しいですね。ここにいるだけで旅行来たみたいでわくわくします!」
五条「そうか?修学旅行の時またここ来るぞ」
ひな「あ、そっか!やったー!」
って、さらにテンションアップ。
そして、しばらく歩いて五条先生が連れてきてくれたのは展望デッキ。
ひな「わぁ~!」
目の前に広がる滑走路に飛行機。
思わず柵の方へ駆け出すと、
五条「ひな!!」
って、五条先生に腕を掴まれた。
五条「こら。油断も隙もありゃしないな」
ひな「ご、ごめんなさい。つい……」
と謝ると、
五条「あっち行くぞ」
ベンチの方に連れて行かれた。
ひな「あ!五条先生、あの飛行機今から飛びますよ!……おぉ~!!」
次から次へと離着陸する飛行機にわたしは興奮しっぱなし。
だけど5分も経たずに、
五条「ひな、もう中戻ろう。暑いだろ」
って。
外は35度を超える雲ひとつない猛暑日。
確かにすっごく暑いけど……
ひな「大丈夫です!もうちょっとみたい!」
五条「ダメだ。これ以上いたら熱中症になる。ほら、行くぞ」
展望デッキは強制終了。
そして、五条先生のご両親が乗った飛行機が着いたようで、いよいよ到着ロビーへ。
大きな荷物を持った人が続々と来る中、五条先生の隣で一歩下がって待つ。
すると、外国人にも負けないくらい、一際背が高くてかっこいいおじ様と優雅で上品なおば様が。
あっ……。
直感的にこの人たちだと思ったら、案の定、ニコニコしながらこちらへ近づいてきた。
わたしは五条先生の後ろに隠れるように、そっと身を引っ込める。
五父「悠仁~!!元気そうだな」
五母「悠仁、お出迎えありがとう。会いたかったわ」
って、五条先生とハグする2人。
五条「2人ともおかえり。フライトはどうだった?」
五母「快適だったわよ。お父さんはずーっと映画観てたけど(笑)」
五条「ゆっくり寝とけばいいのに。相変わらず元気だな(笑)」
五父「ははっ。せっかくだから空の旅も楽しみたくてな」
なんだか、すごく素敵な光景。
わたしにとって五条先生は大人だけど、ご両親からしたら五条先生は子ども。
大人なのに子どもなんだって思うと不思議な感じ。
それに、3人があまりにも絵になるから、
愛情いっぱい、立派に育ったのね。
と、信号待ちで向かいに立つ人の人生をふと想像するように、赤の他人のごとく見つめてた。
すると、
五父「ひなちゃんだね。こんにちは」
ゴクッ……
五条先生のお父様に話しかけられて、どうしていいかわからず固まってしまう。
五条「ひな朝から緊張してるんだ」
ちゃんと挨拶しなさいって言われるかと思ったら、そう言ってそっと背中に手を添えてくれた。
そして、その手に背中を押されたように、
ひな「コンニチハ……」
と、呟いた。
五母「ひなちゃん、すっかり大きくなったわね。また会えてうれしいわ」
五父「悠仁とお迎えに来てくれてありがとう」
優しく微笑んでくれる2人にまた固まってしまう。
五条「さぁ、2人とも疲れただろ?話したいこともたくさんあるだろうが、家に帰ってからにしよう」
と、みんなで車に乗って家に帰ってきた。
家に入ると、
五条「ったく、なんでこんな大荷物なんだ」
って、五条先生がご両親の荷物をせっせと部屋に運んでる。
五父「母さんがお土産たくさん持ってきたんだよ」
五母「だって、先生方へ挨拶行かないといけないでしょう?それに、ひなちゃんにもたくさん持ってきたのよ」
ひな「アリガトウゴザイマス」
五条「ひなもいつまで緊張してるんだ。ほら、水飲んでおいで。帰ってきてから飲んでないだろ。脱水なるぞ」
ひな「はい」
と、わたしはキッチンへ。
***
*五条side
五母「ひなちゃん、元気そうでよかったわ」
五条「ここのとこな。ちょっと前に、鉄剤飲めなくなってフェジン打ってたんだけど、それから調子良くなったな。顔色もいいし、本人も身体が軽いって」
五母「そう。喘息も大丈夫なの?」
五条「あぁ。喘息はしばらく出てないよ」
五父「向こうで心配してたが、顔見たら安心したよ。大きくなったけど昔のひなちゃんそのままだな。面影はしっかり残ってる」
そう言いながら、親父もお袋もキッチンで水を飲むひなを、あの頃と同じ優しい顔で見つめてる。
五条「2人とも腹減ってる?寿司でも頼もうと思ってるんだ。日本食恋しいだろ?」
なんだかんだでもう17時。
2人もひなも疲れただろうから、早めに休ませたい。
五母「あら!いいわね、お寿司。ひなちゃんは食べられるかしら?」
五条「ひなは好き嫌いそんなしないから大丈夫だ。まぁ、寿司は初めて食うけどな」
五父「ひなちゃん寿司食べたことなかったのか??」
五条「あぁ。本人が記憶にないって言ってたし、俺も生ものは食べさせないようにしてたから。とはいえ、鳥刺しや生牡蠣なんかさえ避けとけば、別に食べても問題ないなんだがな」
ということで、今日はちょっといい寿司屋のデリバリーを頼んだ。
「「いただきます」」
4人で最後にテーブルを囲んだのは、もう10年以上前。
親父とお袋はそんなに変わってないが、あんなに小さかったひなは大きくなったなと。
両親がいることでひなの成長をより一層感じる。
そして、初めて食べる寿司を前にちょっと不思議そうにする表情は、あの頃から変わってないなと少し可笑しい。
五条「ひな、何食べていいかわかんないのか?」
いつもは2人で向かい合うダイニングテーブルに、今日は俺とひな、親父とお袋が横並びに座って向かい合ってる。
どれがどんな魚かもわかってなさそうなひなに、横から助け舟を出した。
ひな「はい……」
五条「そしたら、まずはこれ食べてごらん」
と、寿司といえばなマグロをひなの皿に置いた。
ひな「……パクッ。……!! 美味しい!五条先生、お寿司って美味しいんですね!!」
五条「気に入ったか?ひなが好きなの、食べたいと思ったのどんどん食べてみたらいいぞ」
ひな「はい!」
と、キラキラした目でエビやらサーモンやら食べ始めた。
五母「ふふっ。本当にうれしいわ。こうして、また4人揃ってお食事できる日が来るなんて」
五父「そうだな。ひなちゃん、たくさん食べるんだよ」
ひな「はい!」
もう寿司に夢中なひなは、緊張も忘れて笑顔で答える。
それを見た両親もうれしそうに笑ってる。
五母「ひなちゃん、夏休みは何してるの?悠仁との生活はもう慣れた?身体の具合はどうかしら?」
久しぶりにひなと過ごせるのがうれしいのか、食事が終わってからもお袋はずーっと話してる。
最初は戸惑ってたひなも少し慣れてきたようで、楽しく話を聞いてるが、そろそろ1日の疲れが出だしてる。
五条「母さん、話の途中で悪いけど、ひな風呂入らせてやって」
五母「あら、そうね。つい楽しくってごめんなさい」
ひな「あ、いえ、わたしは大丈夫です」
五条「ダメ。あんなに太陽浴びたの久しぶりだろ?それに緊張もして、ちょっと身体怠いだろ」
と、おでこに手をやると、
ひな「す、すぐ入ります」
って、真っ赤な顔してバスルームへ行った。
五母「あらあら、ひなちゃん」
五父「ん?ひなちゃん熱あったか?」
五条「いいや、大丈夫だ。でも、久々に動いてちょっと疲れてるな」
五母「まぁ。悠仁もお兄さんって感じだったのに、すっかり医者になって」
五父「まだしばらく日本にいるし、いくらでも話はできるんだ。ひなちゃん早めに寝かせてやろう。私たちも時差ボケ直さないと。な、母さん」
五母「そうね」
と、この日はみんなで早めに眠りについた。
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