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お父さんの心配事③
しおりを挟む*ひなのside
——翌日
ひな「やったー!!」
五条「ん……?」
昨日は21時頃にもう一度起きて、お母さんが作ってくれたさつまいも粥を食べた。
このさつまいも粥がまたとんでもなく美味しくて、お茶碗一杯分食べることができた。
その後はまたすぐに寝て、目が覚めたのは朝。
目が覚めるとお父さんとお母さんはいなくて、L字ソファーの対角側に五条先生が寝てた。
わたしに何かあっても大丈夫なように、五条先生はここで寝てくれたんだと思う。
まだ寝てる五条先生を起こさないようにそーっとソファーを降りて、ローテーブルに置いてあった体温計で熱を測ってみる。
すると、すっかり熱が下がってて、思わずやったーって言っちゃった。
そしたら、五条先生も起きちゃった。
五条「ひなぁ……?どした……?」
起きたばかりで状況が掴めてない五条先生は、むにゃむにゃと開きそうで開かない目をこちらに向ける。
五条「あ、あの……治りました」
五条「んぁ……?」
ひな「だ、だから、熱下がりました」
五条「ん?」
……ピタッ
……っ!?
ドキドキッ……!!
普通、何度だった?とか聞くだろうに、ん?って言いながら手を伸ばした五条先生は、わたしの後頭部に手を添えてそっと顔を引き寄せた。
そして、おでことおでこがピタッ……と。
五条「……んとだな。6度2分くらいか。よかった」
って、ずっと眠そうに目が開いてない五条先生は、わたしの頭をぽんぽんと撫でて……
また寝た。
……え??
今のはなんだったのか……と、ソファーの下で正座をしたままフリーズ。
自分のほっぺをペチッと叩いてみて五条先生を見ても……
やっぱり寝てる。
五条先生、綺麗な寝顔だな……
かっこいいなぁ……
って、さっきのなに!!
おでことおでこを合わせるなんて、いつもは手のひらを当ててくるのに、おでことおでこ!!
五条先生の顔めっちゃ近かったし!
てか、目瞑ったまま、よくノールックでおでこも頭の位置もわかったよね!?
なんで?
え、なんで?
寝ぼけてたんじゃないの?見えてたの?
と脳内が騒がしい。
えっと、さてどうしよう……。
時計を見れば、まだ6時。
起きるには早い気もするけど、今から寝るのもな……と思い、キッチンへ行って朝ごはんを作った。
五母「あら、ひなちゃん!!」
それから20分くらいして、お母さんが起きてきた。
ひな「お母さん、おはようございます」
五母「朝ごはん作ってたの!?」
ひな「はい。目が覚めちゃったので」
五母「もう、そんなことせずゆっくりしてればいいのに!それより具合はどうなの?お熱は?」
って、おでこに手を当てるお母さん。
五条家はみんなおでこが好きなのか……?
なんて、ちょっとおかしくなっちゃう(笑)
ひな「もう大丈夫です。36度2分でした」
五母「うん、顔色も戻ったわね。はぁ、よかった。ひなちゃん、お熱出るといつも大変って聞いてたから、初めは少し焦ったのよ。すぐ病院連れて行くべきかしらって」
初めは焦ったって、昨日の朝、お母さんすごく冷静でテキパキしてたのに。
それで少し考えた顔してたのか。
病院連れて行かれなくてよかった(笑)
ひな「心配かけてごめんなさい。お母さんのお粥のおかげです。熱があるのにあんな食べれたの初めてでした」
五母「そう?ひなちゃんが寝込んだ時はまた作ってあげるわね。でも、ずっと元気でいてくれるのが1番だけれど(笑)」
ひな「はい、ありがとうございます。頑張ります(笑)」
って、お母さんと一緒に朝食の準備をした。
***
「「いただきます」」
みんな起きてきて、今日は4人揃っての朝ごはん。
五父「朝食に和食は久しぶりだな~」
お父さんとお母さん、普段の食事は洋食が基本みたい。
アメリカ生活が長過ぎて……とかじゃなくて、食材が手に入りにくかったり、すごく高かったりするからだって。
その話を聞いてたから、今日の朝ごはんは和食にした。
とはいえ、わたしが作ったのはおにぎりとだし巻き卵。
焼こうと思って置いてた鮭も、きんぴらにするために切っておいた野菜も、出汁を取って具を入れただけのお味噌汁も、全部お母さんが仕上げてくれた。
五母「ひなちゃんが作ってくれたのよ」
五父「おぉ、そうかそうか。ひなちゃんはお料理ができるんだな」
ひな「いえ……ほとんどお母さんが。わたしはおにぎりを握ったくらいです。それに、お料理も五条先生に教わってます」
五父「おにぎりが握りれるだけで上等だよ。おにぎりを食べたのはもう何十年ぶりだ」
と、美味しそうに食べてくれるお父さんに、わたしもつい顔が緩んでると、
五条「ひな、白ご飯嫌いだからおにぎりにしたろ」
ギクッ……
そ、その通りです。
だって、おにぎりにしたら味あるから……。
五条「考えてることバレバレだな」
って言いながら、思いっきりおにぎりにかぶりつく五条先生。
そんなこと言って、内心は美味しいって思ってくれてるんだね。
と、ようやく"ツンデレ"というのがわかってきたわたしは、ニヤニヤが止まらなかった。
***
そんな楽しく幸せな4人で過ごす時間も、もう昨日までのこと……。
空港でお別れする時は、寂しくて寂しくて仕方なかった。
だけど、
五母「また会えるわよ。私たちが会いに来るし、ひなちゃんも会いに来てちょうだいね」
って、お母さんに抱きしめてもらって、またお母さんとお父さんに会えるまで、元気で頑張ろうって。
それでも、帰りの車で涙を流せば、
五条「そんなに泣くなよ。俺がそばにいるだろ」
って、信号待ちで耳元に囁かれて、涙なんか引っ込んだ。
そして、お父さんとお母さんが帰った次の日、つまり今日からは、2学期の学校がスタート。
始業式を終えて、定期健診へ。
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