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ぶどうジュース事件②
しおりを挟む*五条side
ひなが誤ってワインを飲んでから5分足らず。
案の定、ひなの様子に異変が起き始めた。
ひな「ハァ……ハァ……」
宇髄「ん……?ひなちゃん大丈夫か?」
さっきまではっきりしてたひなの目はとろんとして、頬はどんどん紅潮し、息もハァハァしてきてる。
五条「ひな?」
声をかけてみると、とろんと潤んだ目をこちらに向けて、
ひな「ハァ……ハァ……ごじょぉせんせぇ……」
と、甘い声を漏らした。
五条「……っ、ひな……っ//」
神崎「あんらら、ひなちゃん完全にお酒回っちゃって」
宇髄「……こうなったか」
藤堂「悠仁、気をつけなね。他の男の前でひなちゃんにお酒飲ませるとどうなるか」
そりゃもう、ありとあらゆる男どもがひなを持って帰ろうとするだろうな。
そんなこと考えるだけで気が狂いそうだが。
はぁ……ったくひなは、こんなんでよく平気って言ったな……。
五条「もちろんです……ひなは酒飲むの禁止に……」
って言ってると、
ひな「ハァハァ……ケホッ」
五条「ひな?」
ひな「ハァハァ……ごじょぅせん……ケホケホッ」
今度はひなの呼吸が乱れ出した。
宇髄「やっぱりか。藤堂、ステートあるか?」
藤堂「持って来てます」
宇髄「神崎、脈測ってやれ」
神崎「はい」
みんなもバタバタと動き出す。
すると、
ひな「ハァハァ……、……ク……する……」
五条「ん?ひな気持ち悪いか?吐く?なんて言った?」
ひな「……バクする……ハァハァ……しんぞぅ……が、ハァハァ……バクバク……」
心臓がバクバクする……?
ひなが自分から心臓のことを口にするのは今日が初めて。
聴診する藤堂先生も、脈を測る神崎先生も、宇髄先生も工藤先生も、ひなの言葉に顔をしかめた。
工藤「心臓……?」
藤堂「……うん。雑音は確かにあります。喘息も出てますけど、心雑音も」
ステートを耳から外しながら藤堂先生が言う。
神崎「今、脈かなり早いです。乱れますね……」
工藤「すみません。俺もちょっと聴診します」
と、今度は工藤先生も聴診する。
ひな「ケホッ……ハァハァ……病院、行く……?」
藤堂先生にも工藤先生にも聴診されて、話も耳に入ってるのか、今にも閉じてしまいそうな目を必死に開けて、ひなは不安そうに聞いてくる。
五条「今日は行かないから大丈夫だぞ。ひな、眠かったらもう目閉じな。アルコールが回ってるんだ。このまま寝てもいいから」
と、頭を撫でてたら、素直に目を閉じて眠りについてくれた。
宇髄「ひなちゃん寝たか?」
五条「もう寝てると思います」
宇髄「工藤、どうだ……?」
工藤「近いうちに検査して、いよいよ手術も考えた方がいいと思います。恐らく進行してるかと」
ひなが寝たことを確認して始まった心臓の話。
自覚症状もないし、今は可哀想だと様子見してた心臓もここへきてとうとう気になり出した。
藤堂「今は飲酒の影響もありますが、それでもはっきりと雑音が聞こえるようになってます。先月の健診時は、ここまでではなかったのですが……」
五条「心臓がバクバクするって、ひなが心臓のこと口にしたの初めてです」
と話してると、
夏樹「なぁ、ひなの大丈夫か?」
ダイニングにいた夏樹がこっちへ来た。
工藤「大丈夫だ。夏樹は心配しなくていい」
夏樹「心配はしていいだろ……クラスメイトなんだし。大丈夫、もう下心とかないから。本当にひなののこと心配なだけ」
もう随分前、夏樹とひなが高1になった頃の話だが、夏樹はひなに本気で気があったらしく、
夏樹「俺さ、ひなののこと割とマジで好きだったんだけど……学校でたまに五条先生の話するとさ、ほら、ひなのわかりやすいから、本当に五条先生が好きなんだなって……敵わないなって思い知らされるんだ。だから、俺はひなののこと五条先生に託す」
なんて一丁前なこと言ってきた。
五条「お前に託されなくても、ひなは俺が守るし幸せにするが」
と言うと、
夏樹「ずりぃな、そんな大人の余裕見せつけんなよ。まぁでも、俺じゃひなののこと守れるわけないよな。五条先生や黒柱が付いてる限り、俺がどれだけ勉強して、体も鍛えて強くなったところで、敵わないのはわかってんだ」
だと。
バカな夏樹も根っからのバカではない。
なんならひなより聞き分けはいい。
高校生になって自分なりに物事考えて、男らしさも見えた夏樹に、
五条「なぁ、夏樹。学校にいる間は、お前にひなのこと頼めるか?具合悪くてもすぐ隠して無理するんだが、俺も気づけないことあるから。ひなのこと、気をつけて見ててやってくれ」
と、ひなのことを頼んだのはこの時だ。
夏樹「わかった。ひなのになんかあればこっそり伝えるよ。あ、だから五条先生のLIME教えて」
と、LIME交換したのもこの時。
それから本当に夏樹はひなのこと気にかけてくれてて、密告もしてくれる。
夏樹がEからB、そしてAクラスまで成績を上げられたのも、9割は本当に医者を目指すためだが、残りの1割はひなのため。
学校にいる間くらいなるべくひなのそばにって思いで、必死に勉強を頑張ったことが見ててわかるから、なんとも憎めない。
ひなを心配そうに見る夏樹の顔を見ると、ふと、そんなことも思い出した。
宇髄「……なぁ、夏樹。そういえば今日来てすぐに、ひなちゃん最近よく息切らすとか言ってなかったか?2人で言い合いしながら」
夏樹「あぁ、言ったよ。教室移動で階段上がるのしんどそうにしてる。踊り場でハァハァ言って、休憩しながらじゃないと一気に上りきれてない。だから、授業もよく遅刻しかけてた」
藤堂「ひなちゃんそれ健診の時言ってくれてないな……」
夏樹「うわ、ひなのまた言ってなかったのか。先生に言えよっつったんだけどな。チクると後でうるさいから信じたのに、密告しとけばよかった」
五条「そういう時のひなの言葉は信じなくていいぞ……」
夏樹「ひなの、恋人にまでそんなこと言われてんじゃん(笑)って、それはそうと、ひなの心臓も悪いの……?」
工藤「あぁ。生まれつき心臓に穴があいてるんだ。これ自体はそんなに珍しい病気じゃないけどな」
夏樹「マジかよ……それ、ひなの知ってんの?」
五条「心臓が良くないことは伝えてあるけど、穴があいてることはまだ知らない。言うと何か症状が出た時に怖がって隠すから、わざと言ってなかったんだ」
夏樹「そうか。んじゃ、俺も黙っとく」
五条「ま、結局隠してたみたいだが……」
膝の上で眠るひなに視線を落とすと、未だ真っ赤な顔してスヤスヤと。
藤堂「さて、どう進めていきましょうか」
神崎「手術、するなら早い方がいいですよね。今ちょうど夏休みですし」
宇髄「そうだな。経過にもよるが、2、3週間で退院はできるだろう。となると、もう8月になるからまずはすぐに検査するか。藤堂、次の定期健診すぐだったな?」
藤堂「はい。明後日です」
宇髄「工藤、その日心臓も一緒に診てやれるか?」
工藤「もちろんです」
藤堂「心カテはどうします?工藤先生の都合が良ければ、定期健診終わりにそのまま入院させて次の日にでも」
工藤「そうですね、そうしましょう」
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