ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

文字の大きさ
164 / 253

夏旅②

しおりを挟む


そして、待ちに待った旅行当日。





ひな「五条先生、行ってきます!」


五条「気をつけてな。向こう着いたら連絡するんだぞ」


ひな「はい!」


五条「それと、お前ら2人。ひなのこと頼むぞ。何かあったら承知せんからな」





朝、傑と夏樹が家まで迎えに来てくれると、五条先生は後部座席のドアを開けてわたしを乗せるなり、前に座る2人を睨みつけてる。





夏樹「わかったから、そんな怖い顔で俺のこと見るなって……」


五条「お前が1番頼りないからだ。初心者マークでひな乗せて走るなんて、絶対事故るなよ?」





旅行の間、運転は傑と夏樹が交代ですることになってるんだけど、夏樹は春休みを使って免許を取ったばっかりだから、五条先生は心配みたい。





五条「傑、頼むぞ。夏樹の運転下手だったらお前が全部運転しろ」


夏樹「うわ、ひどっ!俺運転うまいっつーの!」


七海「ははっ。大丈夫です。ひなのはちゃんと家まで送り届けます。よし、そしたら出発しようか」


ひな「うん!五条先生、行ってきます!」


五条「ん、いってらっしゃい」










——と、出発して4時間ほど。

途中、スーパーに行ってお菓子や飲み物を買ったり、休憩も多めに挟みながらで少し時間がかかったけど、無事、コテージに到着。





ひな「うわぁ~!!すっごい綺麗!!」





コテージの中へ入りリビングに抜けると、大きな窓ガラスの向こうには、綺麗な砂浜と海が広がっている。





ひな「ねぇねぇ、早く外出てみよう!」





と、さっそく海へ駆け出そうとすると、





夏樹「ちょっ!ひなの待て!」


七海「走っちゃダメでしょ!」





2人に止められ、





夏樹「先生たちの気持ち、なんかわかった気がするわ……ひなの、マジ危なっかしい」


七海「ほんと、油断できないね(笑)」





って。





ひな「ごめん、海が綺麗だからつい……」


七海「テンション上がるけど、先生たちに怒られないようにしないとね(笑)」


夏樹「何かあったら俺たちがしばかれるんだからな……まだ昼だし明日もあるし、とりあえず一息吐こう」


ひな「うん。2人とも運転ありがとう」





と、まずは少し休憩をしたら、初日の今日はバーベキュー。

必要なものは全部コテージに用意されてるから、





夏樹「んじゃ、俺と傑で火起こしてくるから、ひなの食材お願いしていい?」


ひな「うん!わかった!」


七海「手切らないようにね」


ひな「大丈夫!」





手分けして準備もすぐに完了。





「「いただきまーす!!」」

「「ん~!美味しい!!」」





お肉に魚介にお野菜と、美味しい食材が食べ切れないほどたくさんあって、海を見ながら、スマホで写真を撮りながら、思う存分バーベキューを楽しんでいると、あっという間に夕暮れ時。



海に沈む夕陽を見つめ、





夏樹「綺麗だな」


七海「綺麗だね」


ひな「夏樹、傑、ありがとう」


七海「ひなの、急にどうしたの?」


ひな「うん?なんか、幸せだな~と思って。2人と美味しいご飯食べて、こんな綺麗な夕陽見て、楽しくて幸せだなって。ありがとうね」





なんて言いながら、楽しい旅の1日目が終わった。










***



そして、2日目。





夏樹「おーい!傑、早く行くぞ!!」


七海「夏樹早いって!ちょっと待って!!」





今日は朝から夏樹と傑が海へ。

プランを考えてる時、最初はわたしに気を遣ってか、2人も海には入らないって言ってたけど、せっかく海に行くのに遠慮して欲しくなくて、2日目は1日海を堪能することにした。

夏樹と傑が泳いでる間、わたしはパラソルの下でのんびり座ってる。





七海「夏樹~!こっち魚いる!!」


夏樹「え!マジ、どこ!?」





晴れ渡る空の下、綺麗な海に、波の音と夏樹と傑の楽しそうな声が心地良くて、海に入れなくてもそれだけで十分。

それに、足を水につけるくらいはしてもいいって先生たちに言われたから、





ひな「うわぁ~、冷たくて気持ちいい!!」





って、時々わたしも波打ち際で遊んでみたり。










夏樹「はぁ~!海最高っ!!」


七海「思ったけど、夏樹めっちゃ良い体してるよね」


夏樹「兄貴に負けじと鍛えてるからな!ま、傑も良い体してんじゃん!」





一頻り泳いだ後、海から上がり砂浜に座り込んで休憩する2人は、何やらお互いの筋肉を見せ合ってる。



ふふっ、2人とも男の子だな~。



なんでも器用にこなす天才肌の傑と、不器用だけど努力家な夏樹。

いつもちょっとしたことですぐに火花を散らす2人だけど、なんだかんだすごく仲が良くて微笑ましい。





ひな「工藤先生って本当ムキムキだよね。宇髄先生はもっとすごいけど」


夏樹「それな~。あの2人、医者のくせに頭だけじゃなくて顔も体もイケてるよな」


ひな「男から見てもやっぱりそう思うの?」


夏樹「そりゃもう。黒柱は男も惚れる男だよ。こんなの言うの小っ恥ずかしいけど、兄貴みたいになれたらな~って、本気で思う」


七海「俺も。悟みたいになりたいな~」





って、実は身内のお兄さんを1番尊敬しているところも一緒。





ひな「2人ならなれるよ。先生たちみたいなお医者さんに!」





と言って、わたしは波打ち際の水を一つ蹴り、2人が休む間、また足をピチャピチャして遊んでいると、





ひな「あっ……!」





すぐそこにクラゲがいるのを見つけた。





ひな「ねぇ!見て、クラゲがいる!」


夏樹「クラゲ??……うわ、本当だ」





2人もこっちに来て、わたしが指差す方を覗き込む。





ひな「すごいよね!クラゲなんて初めてみた!写真撮ろっと」





と言って、近づこうとすると、





七海「ひなの、危ない。近づいたらダメだよ、刺されるから」





傑に腕を掴まれた。





ひな「え、そうなの?」


夏樹「そうなのって、知らねーのかよ」


ひな「だって、クラゲなんて初めてだから……。あ、でも離れてたら大丈夫だよね?近づかないようにするから、一瞬だけ撮らせて!」


夏樹「そんな呑気なこと言ってると本当に刺されるぞ?」


ひな「大丈夫大丈夫!」





と、2人の言うことを無視して、手に持っていたスマホのカメラを開いていたら……















「痛っ……!!!」


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...