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夏旅③
しおりを挟む*五条side
~食堂~
神崎「わぁ、ひなちゃんすごく楽しそう!」
工藤「良い笑顔してるな。楽しくやってるみたいで、安心安心」
昼休み。
飯を食いながら、ひなが送って来た旅行の写真をみんなに見せる。
五条「楽しくて仕方ないみたいです。昨日も今朝もいっぱい写真送って来てて」
宇髄「この様子だと体調も大丈夫そうだな」
藤堂「傑が昨日、ひなちゃん海見た瞬間走り出そうとするから怖いってLIMEして来ました。ひなちゃんが走っちゃう時は元気な証拠です(笑)」
五条「テンション上がって飛び跳ねるなよって言っておいたのに……興奮して熱出したり怪我したりしないといいですけど」
と話していると、
プルルルッ……
藤堂先生のスマホが鳴った。
藤堂「あ、ちょっとすみません……って、あれ?傑からだ」
傑から……?
今しがたひなの話をしてたところに傑から電話が来るなんて、嫌な予感しかしない……。
すると案の定、
藤堂「はぁ??クラゲに刺されたって、お前ら何してたんだ!」
って。
工藤「クラゲ?」
五条「刺されたってまさか……」
ひなが……?と藤堂先生を見ると、藤堂先生は頷きながらみんなに聞こえるようスピーカーに切り替える。
七海「ひなのがクラゲ見つけて、写真撮ろうとしてたら刺されて!どうしたらいい!?」
そしてスマホから、傑の慌てた声が。
藤堂「落ち着け。どんなクラゲに刺されたんだ?どこ刺された?症状は?」
七海「足!白っぽい透明のクラゲで、そんなに大きくはなかったけど、とにかく痛くてピリピリするって……」
宇髄「アンドンクラゲか?」
工藤「それならまだマシですけど……」
藤堂「傑、とりあえず海水で刺された患部よく洗い流して。水じゃなくて海水で。擦ったりせずに、もし針が残ってたらピンセットか何かで抜いて。素手で触るなよ」
七海「わかった。夏樹!海水で刺されたところよく洗ってって。針は刺さってる??」
と、電話の向こうで傑の声が響く。
五条「クラゲって、ひな何してんだよ……」
宇髄「ひなちゃんアナフィラキシー起こしてないか?」
神崎「熱とか出てないのかな?」
先生たちもみんな食事の手を止めて、ひなを見守るようにスマホの画面へ視線を落とす。
すると、
藤堂「傑?痛い以外に症状は?発熱とか頭痛とか目眩とか吐き気とか、ひなちゃん他には何もないのか?」
七海「えっと……ん?ひなの??」
ひな「ねぇ!!傑、どうしようっ!!夏樹の足がミミズ腫れみたいになってきちゃった!!」
って、傑の声をかき消すように、突然ひなの声が。
五条「ん?」
工藤「夏樹の足?」
神崎「って、言ったよね?」
宇髄「クラゲに刺されたって」
藤堂「ひなちゃんじゃない……?」
かなり焦った様子ではあるが、痛みに耐える感じでもなく、ひなは元気な声をしてる。
藤堂「……傑?クラゲに刺されたのって、ひなちゃんじゃないのか??」
きっとひなじゃない。
クラゲにやられたのは夏樹。
みんなもうわかっていながら、確証を得るようにそう聞くと、
七海「いや、違うって!刺されたのは夏樹!!」
って。
「「はぁ??」」
藤堂「お前なぁ!それを先に言えよ!!」
七海「いや、ひなのが刺されたなんて一言も言ってないから!」
確かに、ひなが刺されたなんて傑は言ってない。
藤堂先生が電話に出た時も、
藤堂「お前が大慌てでクラゲに刺された!!って言うからだろ!」
傑はひなが刺されたとは言ってなくて、でも俺たちはみんな、
藤堂「突然電話が来た時点で、こっちはひなちゃんに何かあったのかと思うんだ!"夏樹が刺された"って最初に言え、馬鹿!!」
と、こういうことだ。
俺たちの思い込みだが、ひなを連れて旅行に行ってる最中なんだから、これは傑が悪い、よな……?
工藤「夏樹かよ……先生方、お騒がせして申し訳ありません。あいつなら心配いらないんで、放っておいて大丈夫っす……」
五条「いえ、俺もひなだと思い込んでましたし、ひなが写真撮ろうとしてって言ってたんで、夏樹が刺されたのは恐らくひなのせいかと……」
藤堂「傑。それで、夏樹は今どんな状態?」
七海「刺されたところがミミズ腫れになってて、ピリピリするんだって。針はないし、海水でめっちゃ洗ってみたけど」
宇髄「藤堂、刺された箇所の写真撮って送ってもらえ」
藤堂「はい、わかりました」
すると、写真はどうやらひなが撮ったようで、すぐにひなから藤堂先生のLIMEに送られてきた。
ふくらはぎのあたりにミミズ腫れが広がっているが、範囲はそこまで広くない。
宇髄「このくらいならとりあえず薬塗って、明日帰ってから診てやれば大丈夫だろ」
五条「それなら、ひなに持たせてる薬があります」
と、電話をひなに代わってもらった。
***
*ひなのside
七海「ひなの、五条先生が電話代わってって」
ひな「え、五条先生?」
七海「先生たちみんな一緒にいるみたい。ほら」
と、傑からスマホを受け取ると、
五条「もしもしひな?蕁麻疹出た時の塗り薬、持って行くように言ってただろ。あるか?」
って。
ひな「はい、持ってきてます!」
五条「ん。そしたら、それ夏樹に塗ってやれ」
ひな「わかりました。あの……これで夏樹治りますか?」
五条「あぁ、大丈夫だ。数時間したら痛みも引くと思うから、あんまり痛かったら薬塗って冷やしてやればいい。明日、帰ってきたら夏樹に病院来いって伝えてな」
2日ぶりに聞く五条先生の声。
わたしのせいでこんなことになって焦ってたけど、五条先生の"大丈夫"を聞いたら少しホッとした。
ひな「よかった……わかりました。わたしのせいで夏樹が刺されちゃって、どうしようかと思ってて……」
五条「それは、帰ってちゃんと話聞いてからお仕置きだ」
ひな「ごめんなさい……」
五条「まぁ、まだ旅行は残ってる。夏樹が回復したら、みんなで最後まで楽しんで帰っておいで」
ひな「はい!ありがとうございます!」
って、電話を切って気づくわたし。
お仕置き……?
五条先生、お仕置きするって言わなかった??
お仕置きって……何されるの……?
***
そしてその後は、五条先生の言った通り、2時間ほどで夏樹が元気になったのでみんなでドライブをしに行った。
海沿いのカフェに行ったり、夜はレストランでサンセットを見ながら食事したり。
ハプニングもあったけど、無事に楽しく、旅の2日目を終えた。
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