186 / 253
留学前の惨事①
しおりを挟む——1ヶ月後
季節が冬から春へと変わり、わたしは大学3年生に。
3年生はわたしにとってすごく大きな年。
9月から五条先生がアメリカに行くのに合わせ、わたしも1年間、留学することが正式に決まった。
ずっと行きたいと思ってたアメリカに行ける。
昔、五条先生と暮らしてた家で、五条先生とお父さんとお母さんと……少しの間、また4人で一緒に暮らせる。
そして、世界トップレベルの教育を受けられる。
こんな幸せなチャンスに恵まれたなんて、今からドキドキワクワクが止まらない。
4月からすぐに留学準備が始まって、パスポートを取ったり、事務手続きをしたり、体調管理はこれでもかというほどしっかりと。
勉強にもより一層身を入れながら、ドタバタした日々を送る中……
五条「ひな、大丈夫か……?」
ひな「ハァ、ハァ……コクッ……」
五条「そんなとろんとした目して。気持ちよかったか?」
ひな「キモチ、ヨカッタデス……」
あの日以来、五条先生と夜の営みもよくするように……//
ただ、
ひな「ハァ……ハァ……五条先生……」
五条「眠いか?」
ひな「コクッ……」
五条「ははっ。ひなちょっと体力なさすぎな(笑)」
わたしがすぐにバテるせいで、誕生日の夜にした以上のことは、今もまだしていない。
五条先生にも気持ちよくなって欲しいな……とは思うものの、五条先生のアレも未だ目にしてないし。
それでも、
ひな「ハァ……ハァ……ごめんなさい」
五条「こら、謝らない。ひなが気持ち良くなってくれたらいいんだって言ってるだろ?ほら、無理しないでもう目閉じろ。おやすみ……チュッ」
五条先生はいつも優しく、わたしの心と身体を満たしてくれるから、わたしもそれに甘えてる。
***
——8月上旬
そんなこんなで、あっという間に夏休みに入ったわたしは留学準備に追われてる。
荷造りはもちろんのこと、まだやらなきゃいけない手続きが少し残ってて、これから書類を提出しに大学へ。
夏樹「ひなのおはようー!」
ひな「おはよう。ごめんね待たせて」
七海「今来たとこだよ。大丈夫」
大学に着くと、夏樹と傑が先に来てた。
実は、来月からの留学は夏樹と傑も一緒。
留学制度があるってわかった時から留学してみたいねって話はしてて、五条先生のことでわたしがチャレンジするって言うと、夏樹と傑もってなった。
夏樹「はぁ、やっと手続き全部終わったな。これで後は行くだけだ!」
2人と一緒に書類を提出して、これで必要な事務手続きはようやく終わり。
それがうれしいのか、夏樹は隣で飛び跳ねてる(笑)
七海「行くだけって、手続き終わっただけで解放感感じすぎだけど(笑)」
ひな「そうだよ、行ってからが大変なのに」
夏樹「いやいや。よくわかんねー書類いっぱい用意するのが1番大変だから」
七海「よく言うよ。夏樹英語下手だから1番ヒィヒィ言ってそう。大学どころか、飛行機乗ってアメリカ着いて、入国審査でいきなりあたふたするんじゃない?(笑)」
夏樹「それくらいはいけるっつーの!ったく、自分が英語ペラペラだからって……」
七海「ははっ。あ、そういえばひなの。五条先生のご両親もう来たって?」
ひな「あ、うん!無事空港着いたって、五条先生からLIME入ってた」
そして、今日は大事なことがもうひとつ。
お父さんとお母さんが帰ってくる。
書類の締切が午前中まででわたしは行けなかったけど、五条先生が空港へお迎えに行っていて、無事にお父さんとお母さんに会えたみたい。
ひな「病院着くの14時前になるから、ご飯食べておいでだって」
お父さんとお母さんが帰国したのは、わたしと五条先生の渡米を手伝うため。
2週間ほど日本で過ごしてから、一緒にアメリカへ行くことになってる。
それで、五条先生がアメリカへ行くにあたり、蒼先生や他の先生方に今日のうちに挨拶をするらしく、空港から直接病院へ行くんだって。
そのついでと言ってはなんだけど、アメリカでお世話になるかもしれないからと、夏樹と傑もお父さんとお母さんに挨拶しに来なさいって、工藤先生と藤堂先生に言われたよう。
だから、わたしたち3人もお父さんとお母さんに会いに、午後からは病院へ行く予定。
七海「14時ならまだ余裕あるね。学食閉まってるからランチは外行かなきゃ」
夏樹「そうだな。ひなの何食べたい?」
ひな「わたし決めていいの?じゃあ、回るお寿司!」
夏樹「回転寿司でいいのかよ(笑)」
七海「まぁ、これからしばらくはお寿司食べられなくなるし、ちょうどいいじゃん。よし、それじゃあ行こう」
ということで、わたしたちは大学近くの回転寿司でお昼を食べてから病院へ。
***
コンコンコン——
「「失礼します……」」
お寿司をお腹いっぱい食べて、午後の2時。
"お寿司食べました"
"これから病院に向かいます"
と、五条先生に連絡したら、
"院長室にいる"
"待ってるから来い"
と返事があって、わたしたちはド緊張で院長室のドアを開けた。
工藤「お、来たか」
先頭で入ったのは夏樹。
すぐに工藤先生の声がして、傑の後ろに続き部屋に入ると、
五母「ひなちゃん……!」
ソファーに座るお母さんが勢いよく立ち上がり、わたしに駆け寄ってむぎゅっと。
五母「久しぶりね。少し見ない間にまた大きくなって。ずっと会いたかったのよ」
ひな「お母さん……」
わたしもずっと会いたかった。
前回お母さんと会った時、わたしにとっては初めましても同然。
そして、今日は数年ぶりの再会。
お母さんと一緒に過ごした時間なんてすごく短いのに、抱きしめられた瞬間、ずっと昔からこうしてもらってたみたいで不思議なくらいホッとした。
五母「大学はどう?お勉強大変でしょう。身体の調子は大丈夫?悠仁とは上手くやってる?」
ひな「あっ、え、えっと……」
テンションが上がり一息に喋るお母さん。
五条先生のことも聞かれ、ど、どうしよう……!と思っていると、
「「もう、母さん!」」
五条先生とお父さんが声を揃えた。
五父「ズルいぞ、自分だけ。俺もひなちゃんと話したいのに」
五条「いや、そこじゃねーだろ!先生方の前だぞ。ひなも困ってるし、話すのは帰ってからゆっくりしろよ。ったく、夫婦揃って恥ずかしい……」
「「あはははっ!」」
みんなの笑い声にハッ!となり、お母さんと身体を離す。
そして、黒柱に蒼先生に蓮先生にりさ先生……笑い合う先生たちを見渡すと1人だけ知らない人が。
??「こいつ本当うるさかったんだ。可愛い娘に早く会いたい会いたいってずーっと言ってて(笑)」
五父「どうだ、うちのべっぴんさんは。りさ先生もかわいいけど負けてないだろ」
りさ「五条先生、わたしはもう可愛いだなんて歳じゃないですよ(笑)」
って、お父さんともりさ先生ともすごく親しそうだけど、この人は一体……
五条「豪先生だ。ひな会うの初めてだろ、挨拶しなさい」
小野寺豪先生。
強面ワイルドなこのおじさまは、蒼先生の弟で蓮先生のお兄さん、ノワールの制服を決めるのに蓮先生と意見が割れたというあの豪先生だとわかった。
ひな「はじめまして、栗花落ひなのと申します」
わたしは豪先生に挨拶をして、
工藤「弟の」
夏樹「工藤夏樹です」
藤堂「甥の」
七海「七海傑です」
夏樹と傑も挨拶をし、夏樹と傑はお父さんとお母さんにも挨拶を。
それが終わると、わたしたち3人もソファーに座らせてもらい、豪先生とお父さんが同期なことや豪先生は9月から日本で働くのに帰ってきたこと、お父さんがりさ先生の指導医だったなんて話も聞かせてもらった。
院長「3人とも、1年間しっかり学んで来るんだよ。忙しいと思うけど、たまには遊ぶことも忘れずにね」
そして、20分ほど先生たちとお話しさせてもらった後、蒼先生から激励の言葉もいただいて、
藤堂「五条先生、帰国してそうそうご迷惑でないですか?今日はお疲れでしょう」
五父「いやいや、構わんよ」
五母「賑やかな方が楽しいもの。ぜひいらしてちょうだい」
工藤「すみません、ありがとうございます」
夜は黒柱と夏樹と傑、みんなとうちで食事をすることになり、大人たちの仕事が終わるまで、わたしたち3人は一足先に帰ることに。
五母「私は17時前には帰るから。それまで何もお構いできず申し訳ないけれど、夏樹くんと傑くんもゆっくりしていてね」
七海「ありがとうございます。それでは、お先に失礼します」
「「失礼します」」
ソファーを立って、蒼先生たちに頭を下げて、
五条「気をつけて帰れよ」
五父「ひなちゃん、また後でね」
ひな「はい。また後で!」
わたしは笑顔で返事をし、院長室を後にした。
まさか、この10分後……
キィィ"ィ"ーーーーッ!!!
ドーン!
ガッシャーーーンッ!!!
こんな運命が待っていたなんて、思いもせず……。
22
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる