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豪のお迎え
しおりを挟むキーンコーンカーンコーン——
やっと終わったー……。
午後の科目も無事に全て終了し、りさは教室を出て門に向かった。
豪「りさー」
りさ「あ、豪先生!」
模試終わりで疲れるだろうと、休みの豪が迎えにきてくれていた。
豪「おつかれ。シートベルトできた?」
りさ「うん、ちょっと待って……あれ……?」
助手席に乗り込んだりさは、シートベルトが絡まったのか、なかなか締められないでいる。
豪「なにやってんだ……ちょっとりさ貸して」
豪はりさの前に身を乗り出してシートベルトを奪い取ると、ねじれをサッと直し、カチッとはめ、仕上げにシートベルトとりさの体の間に手を入れて、シートベルトが体にきちんと沿うようにスーッと肩まで手を通してくれた。
豪「よしっ。ったく、鈍臭いんだから」
りさ「えへっ。ごめんなさい」
豪はりさのほっぺたをむにっとつまんで、少し呆れたような笑顔を見せた。
豪「(まぁこういうとこもかわいいんだけどな……)よし、それじゃ行くぞ」
豪はゆっくりとアクセルを踏み込み、家へと車を走らせた。
豪「りさ、模試はどうだった?今日が初めての模試だったんだろ?」
りさ「うん。ちょっと疲れちゃった。午後の科目がね、頭回らなくてあんまりできなかったんだ……」
豪「まぁまだこれからだ。これで苦手なところ見つかったらそこを頑張ればいいんだよ。なぁ、ちょっと甘いものでも飲んで帰るか?」
りさ「え!いいの!?」
豪「いいよ。模試頑張ったご褒美」
りさ「やったー!」
豪は家に行く曲がり角を通り過ぎて、そのまま真っ直ぐ車を走らせた。
豪はりさのご褒美にコーヒーチェーン店へ連れてきた。
豪「何にする?」
りさ「フローズンドリンク飲んじゃだめ?」
豪「りさあとでお腹壊すだろ?どれが飲みたかったんだ?」
りさ「あそこにある抹茶のホイップクリーム乗ってるやつ……」
豪「あれか。やっぱり氷はダメだ。俺がそれにして少しあげるから、りさは普通の冷たいのにしときな」
フローズンドリンクはダメといいつつ、飲みたがるりさのために豪は自分がそれを選んであげた。
りさ「じゃあ、キャラメルマキアートがいい。」
豪「うん、いいよ。りさ先に席座っておいで」
りさ「はーい」
豪が買ってくれている間にりさは席を探すが、あいにく満席ですぐに戻ってきてしまった。
りさ「豪先生、席いっぱいだった」
豪「あー、土曜だもんな……じゃあ、車で飲むか」
すぐに席が空きそうにもなかったので、2人は車に戻ることにした。
車に戻ると、豪は抹茶のフローズンドリンクをりさに渡した。
豪「ほら、先にこれ飲みな。飲みすぎないようにな」
自分が口をつける前に飲ませ、りさが間接キスにならないようにと豪はさりげなく気を遣ってくれた。
りさはそんなことにも気づかず、うれしそうに飲んだ。
りさ「ん~、おいしい!豪先生と一緒だと甘いもの食べれて幸せ」
りさの幸せそうな笑顔にクールな豪も思わず顔が綻ぶ。
豪「りさストップ!それ以上はダメ。はい、こっち飲んで」
豪はりさがお腹を壊すのを危惧し、抹茶のフローズンドリンクを取り上げてキャラメルマキアートをりさに渡した。
りさ「あれ、豪先生これ飲んでないの?」
豪「あぁ。俺はいいからりさ飲みな」
りさ「抹茶くれたのに!はい、豪先生こっちも飲んで?」
せっかくりさに間接キスさせないようにしてたのに、にこにこキャラメルマキアートを差し出すりさに負け、結局豪は飲んでしまった。
りさ「おいしい?」
豪「うん。うまい」
りさ「わたしも……っん~!本当だ、これもおいしい!」
豪が口をつけたストローに、りさはなんの迷いもなく吸いついた。
小さい頃から一緒にいたからか?
いや、甘いものにしか目がいってないからか?
どっちでもいいけど、高校生にもなって普通ちょっとは気にするだろ……。
そんな豪の思いなんでつゆ知らず、りさはごくごくキャラメルマキアートを飲んだ。
豪「よし、そろそろ行くか。あとは飲みながら帰ろう」
それぞれ半分飲んだくらいで、豪は車を出発させた。
りさ「ねぇ、豪先生ってなんでみんなでお出かけする時は運転係なの?」
豪「俺は車好きだから。運転好きだし、俺の車が1番広いしな。2人も運転は上手いけど、蒼は単純に足としか思ってないし、蓮にとっては女とデートするための道具だったしな……」
豪の車はSUV。
蒼と蓮はセダンに乗っていて、もちろん全部外車。
りさ「そういえば、まだ小学生の時にね、1回だけ病院でにぃにの車に女の人が乗って行くのみたことあるんだよ。あれ彼女だったのかな?ふふっ」
豪「おそらくそれ蓮の最後の彼女だな……その子……いや、なんでもない」
豪はなにかを言いかけたようだったが、りさは飲むのに夢中で気にしてない。
そんなこんな話しているうちに家に着き、豪はガレージに車を駐めた。
車が4台駐められるガレージには、蒼の車もあった。
りさ「あ、先生帰ってきてるね」
豪「そうみたいだな。りさ、俺荷物全部持つから、飲み物俺のも持って」
りさ「はい」
2人は車を降りて家の中に入った。
「「ただいま~」」
蒼「おかえり」
家に入ると蒼がリビングにいた。
蒼「あれ、りさそれなに飲んでるの?」
りさ「これキャラメルマキアート。こっちは豪先生の。模試頑張ったからって買ってくれたの」
豪「りさとデートしたんだ」
豪はちょっと蒼を揶揄ってみようと、わざとデートという言葉を使った。
案の定、蒼は少し嫉妬したように豪をジロっと見た。
でも、りさはそんな2人のやりとりに気づいていない。
蒼「りさ、俺にも一口ちょうだい」
りさ「えっ……?えぇ、ぁ、うん。いいよ……!」
先生と間接キスになる……。
りさは顔を真っ赤にして蒼に渡した。
豪「(さっき、俺と間接キスしたときは全く意識してなかったのに……。どんだけわかりやすいんだ。てか、蒼もわかっててやってんのか?)」
蒼「うん、おいしい!ありがとう」
蒼は笑顔でりさに返した。
りさ「う、うん!おいしいよね!」
りさはストローを見つめドキドキしながらそっと口をつけ、蒼に真っ赤な顔が見られないよう、飲みながら自分の部屋に入っていった。
豪「おい、りさで遊ぶな……」
蒼「なにが?豪ずるいぞ。りさとデートとか……」
豪「(まさか、蒼は間接キスじゃなくて本気で俺に嫉妬してただけ?2人揃って天然……?)」
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