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第5章 部長! その子はいったい?
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待ち合わせのターミナル駅の改札前に着くと、カーキのサファリ風ジャケットにベージュの薄手のセーターを着た休日仕様の部長がわたしに気づいて、片手を上げた。
周りの人よりひときわ背が高く、彫りの深い顔立ちが遠目にも目立つ。
こうして客観的に眺めると、本当に男前だ。部長って。
日曜で好天。駅は人でごった返している。
なので、すぐそばに行くまで、わたしの位置からは、部長の上半身しか見えていなかった。
「どうしたんですか? 部長。さっきの電話、よく聞こえなくて……」
そう言いながら、ふと足元に視線を移すと……
「えっ?」
部長はひとりじゃなかった。
なぜか、小学生ぐらいの女の子と手を繋いでいる。
な、なんで?
たしか結婚はしてないはずだけど。
「ああ、辻本。すまんな、急に。香穂、お姉さんにあいさつしなさい」
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
小学3、4年ぐらいの、華奢で可愛らしい顔立ちの女の子だった。
肩まで伸びた髪を、何やら複雑な編み込みが施されたハーフアップにして、首回りと袖口にフリルをあしらった、うさぎかなにかのキャラクターが書かれている薄紫色のトレーナーに黒い細身のスパッツを着て、小さなポシェットを下げている。
どことなく、部長に似ているような……
じ、じゃあ、隠し子?
でも、隠し子だったら、わざわざ部下に会わせたりしないよね。
彼女の正体をつかめず、目を丸くしていると、その女の子、香穂ちゃんは部長を見上げて、衝撃的な一言を放った。
周りの人よりひときわ背が高く、彫りの深い顔立ちが遠目にも目立つ。
こうして客観的に眺めると、本当に男前だ。部長って。
日曜で好天。駅は人でごった返している。
なので、すぐそばに行くまで、わたしの位置からは、部長の上半身しか見えていなかった。
「どうしたんですか? 部長。さっきの電話、よく聞こえなくて……」
そう言いながら、ふと足元に視線を移すと……
「えっ?」
部長はひとりじゃなかった。
なぜか、小学生ぐらいの女の子と手を繋いでいる。
な、なんで?
たしか結婚はしてないはずだけど。
「ああ、辻本。すまんな、急に。香穂、お姉さんにあいさつしなさい」
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
小学3、4年ぐらいの、華奢で可愛らしい顔立ちの女の子だった。
肩まで伸びた髪を、何やら複雑な編み込みが施されたハーフアップにして、首回りと袖口にフリルをあしらった、うさぎかなにかのキャラクターが書かれている薄紫色のトレーナーに黒い細身のスパッツを着て、小さなポシェットを下げている。
どことなく、部長に似ているような……
じ、じゃあ、隠し子?
でも、隠し子だったら、わざわざ部下に会わせたりしないよね。
彼女の正体をつかめず、目を丸くしていると、その女の子、香穂ちゃんは部長を見上げて、衝撃的な一言を放った。
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