可愛がってあげたい、強がりなきみを。 ～国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます～

第１章 誰、それ？

６

　けれど、いくら画像や動画を大量摂取しても、知花みたいに目がハートになってしまうまでには至らなかった。
　
　別にこの人に限ったことではなく、以前からわたしにはミーハー的な要素が薄い。

　もちろん、イケメンを見れば、かっこいいなとは思う。
　でも、いつもそこ止まり。
　
　ただ、彼に関して言えば、ワルを演じていても、どことなく品があるところは好感が持てた。

　若い世代だけでなく、アラフォーやアラフィーにも絶大な人気を誇る、という評判だけれど、そこは大いに頷ける。

　海外の高級化粧品ブランドとかのCMに起用すればいいのに。
　売り上げが３、４割伸びるんじゃないかな。

　お金を持っている世代のファンなら、いくらでも大枚をはたきそう。
　
　それにしても、今回、世話役にわたしが選ばれて正解だったかも。
　知花みたいにファン根性丸出しで来られたら、あちらもいい迷惑だ。

　でも、実際はどういう人なんだろう。
　人気があるのをいいことに、居丈高にふるまうような人じゃないといいんだけど。

　態度があまりにも横柄だったら、我慢できずにブチ切れてしまいかねない。

　不安と多少の期待が入り混じったなんともいえない心地のまま、わたしはテレビを消して、バスルームに向かった。