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第1章 誰、それ?
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そして、あっという間に翌々日になった。
榊原宗介の来社は13時ごろらしい。
「あ、郁美先輩」
早めに昼食を終えて戻ってきたわたしに知花が声をかけてきた。
知花のまわりには、部内、部外を問わず、大勢の女子社員が集まっていた。
「宗様の写真撮ったら、わたしのスマホに送ってもらいたいんですけど」
いつもより3倍メイクに手間をかけました、ほら、ネイルもバッチリです! と言いたげな知花が拝んできた。
「写真は広報の人が撮るだろうけど、わたしは撮らないよ。それに課長がSNSへの掲載はNGって言ってたけど。ほら、ドラマのこと、まだマル秘だし」
「えー」知花ががっくりと肩を落とす。
自慢する気満々だったな。まったく。
「会社の信用問題にも関わるから、こっそり上げたりしたら、絶対ダメだからね」
わたしはそこにいた全員に釘を刺す。
はーい、とちょっと不満げな返事が返ってきた。
「ほら、もうすぐ昼休憩終わるから。みんな自分の部屋に戻って」
そのとき、廊下がガヤガヤしだして、女の子の黄色い歓声が聞こえはじめた。
こちらです、という声とともに、オフィスのドアが開く。
専務と課長に先導されて、マネージャーに付き添われた榊原宗介が入ってきた。
突如、オフィス内の空気が変わった。
女子社員たちが洩らす、ため息混じりの声がさざ波のようにあたりに広がる。
でもさすがに、女子高生のように大声で叫ぶ人間はいなかった。
そして、あっという間に翌々日になった。
榊原宗介の来社は13時ごろらしい。
「あ、郁美先輩」
早めに昼食を終えて戻ってきたわたしに知花が声をかけてきた。
知花のまわりには、部内、部外を問わず、大勢の女子社員が集まっていた。
「宗様の写真撮ったら、わたしのスマホに送ってもらいたいんですけど」
いつもより3倍メイクに手間をかけました、ほら、ネイルもバッチリです! と言いたげな知花が拝んできた。
「写真は広報の人が撮るだろうけど、わたしは撮らないよ。それに課長がSNSへの掲載はNGって言ってたけど。ほら、ドラマのこと、まだマル秘だし」
「えー」知花ががっくりと肩を落とす。
自慢する気満々だったな。まったく。
「会社の信用問題にも関わるから、こっそり上げたりしたら、絶対ダメだからね」
わたしはそこにいた全員に釘を刺す。
はーい、とちょっと不満げな返事が返ってきた。
「ほら、もうすぐ昼休憩終わるから。みんな自分の部屋に戻って」
そのとき、廊下がガヤガヤしだして、女の子の黄色い歓声が聞こえはじめた。
こちらです、という声とともに、オフィスのドアが開く。
専務と課長に先導されて、マネージャーに付き添われた榊原宗介が入ってきた。
突如、オフィス内の空気が変わった。
女子社員たちが洩らす、ため息混じりの声がさざ波のようにあたりに広がる。
でもさすがに、女子高生のように大声で叫ぶ人間はいなかった。
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