17 / 139
第1章 誰、それ?
14
しおりを挟む
わたしの言葉に、彼は口の端をちょっと上げて、微苦笑する。
「というのは建前で。白状すると、知らないうちに向井が勝手にセッティングしてて。本当はこの時間でちょっとでも、仮眠したいとこなんだけど」
ああ、なるほど。
じゃあやっぱり、さっきは必死で睡魔と戦ってたんだ。
でも、負けなかっただけ、偉い。
「まあ、でも……」
そう切り出した彼に、わたしが思わず視線を向けると、こちらを見ていた視線と交わった。
目が合った後もそらさず、じっと見つめつづけている。
その視線に煽られて、心臓がビクっと反応した。
「今は来て良かったと思ってますよ」
「そう言っていただけたら嬉しいです。少しでもお仕事のご参考に……」
「いや、それもあるけど」
彼はわたしの言葉を途中で遮って、びっくりするようなことを言い出した。
「きみに出会えて良かったってこと」
まるで、愛の告白のシーンのような表情と声音で、彼は呟いた。
はい??????
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
そして彼の言葉が、脳のある部分に達したとたん、急に体温が上昇していくのを感じた。
顔が熱を持ってきた。
もう頬を染めてるなんて、可愛いもんじゃないと思う。
茹で蛸並みに真っ赤になってる、きっと。
「というのは建前で。白状すると、知らないうちに向井が勝手にセッティングしてて。本当はこの時間でちょっとでも、仮眠したいとこなんだけど」
ああ、なるほど。
じゃあやっぱり、さっきは必死で睡魔と戦ってたんだ。
でも、負けなかっただけ、偉い。
「まあ、でも……」
そう切り出した彼に、わたしが思わず視線を向けると、こちらを見ていた視線と交わった。
目が合った後もそらさず、じっと見つめつづけている。
その視線に煽られて、心臓がビクっと反応した。
「今は来て良かったと思ってますよ」
「そう言っていただけたら嬉しいです。少しでもお仕事のご参考に……」
「いや、それもあるけど」
彼はわたしの言葉を途中で遮って、びっくりするようなことを言い出した。
「きみに出会えて良かったってこと」
まるで、愛の告白のシーンのような表情と声音で、彼は呟いた。
はい??????
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
そして彼の言葉が、脳のある部分に達したとたん、急に体温が上昇していくのを感じた。
顔が熱を持ってきた。
もう頬を染めてるなんて、可愛いもんじゃないと思う。
茹で蛸並みに真っ赤になってる、きっと。
2
あなたにおすすめの小説
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
幼馴染に10年片想いしてたら、冷酷御曹司にプロポーズされました
ほーみ
恋愛
春の匂いが、駅前の並木道をくすぐる。満開の桜の下、私はひとり歩いていた。駅までの道は、高校時代、彼とよく歩いた道だ。
制服姿の学生が笑いながらすれ違っていくのを横目に、私はスマホを見下ろした。
「今日、伝えるって決めたんじゃなかったの?」
送信したきり返信のないメッセージ。画面には「既読」の文字があるだけだった。
――渡瀬 湊。私が10年間片想いをしている、幼馴染。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる