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第8章 千秋楽の夜
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早く、この感動を直接、宗介に伝えたい。
でも、打ち上げがあるだろうから、今晩中に帰れるかどうかわからない。
本当なら楽屋に顔を出したいところだけど、妻であることを隠している立場では、それは無理な話だし。
そう思って、すごすご出口に向かうわたしを、亮介さんが「橋本さん、ちょっと待って」と呼びとめた。
「どうしたの? 何か忘れもの?」
わたしの問いには答えず、彼は内ポケットから定期ぐらいの紙を取り出した。
そして、「ちょっと、兄貴に顔出しときましょう」とニッコリ。
彼が手にしているのは、バックステージパスだった。
「えっ、どうしたの? それ」
「ああ、兄貴から渡されてたんですよ。終わったらみんなで来てくれって」
「えー、早く教えてくれればよかったのに」と文句を言うと、亮介さんはまたニヤリ。
もう、こうやって人を驚かせてドヤ顔するところも兄弟でそっくりなんだから。
でも、彼のおかげで大手を振って楽屋に行ける。
弟の同僚という名目で。
でも、打ち上げがあるだろうから、今晩中に帰れるかどうかわからない。
本当なら楽屋に顔を出したいところだけど、妻であることを隠している立場では、それは無理な話だし。
そう思って、すごすご出口に向かうわたしを、亮介さんが「橋本さん、ちょっと待って」と呼びとめた。
「どうしたの? 何か忘れもの?」
わたしの問いには答えず、彼は内ポケットから定期ぐらいの紙を取り出した。
そして、「ちょっと、兄貴に顔出しときましょう」とニッコリ。
彼が手にしているのは、バックステージパスだった。
「えっ、どうしたの? それ」
「ああ、兄貴から渡されてたんですよ。終わったらみんなで来てくれって」
「えー、早く教えてくれればよかったのに」と文句を言うと、亮介さんはまたニヤリ。
もう、こうやって人を驚かせてドヤ顔するところも兄弟でそっくりなんだから。
でも、彼のおかげで大手を振って楽屋に行ける。
弟の同僚という名目で。
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