華麗なる悪役

我利怨

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3.悪役の初陣

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はい!ってことでフィールドまで出てきました。
町には門が4つそれぞれの方角にあるんだけど東、南、西、北の順番で敵の強さが強くなっていくんだよね。
一応初めてだけど悪役だからね。今日は西に行くよ!
西門の先は高山地帯で結構はげ山が多いかな。
おっ!第一敵対生物発見!猿だね。1、2、3匹いる。後ろを取られないように気を付けて排除するぞ。

まず、ほかの二匹とは少し離れてる猿を狙おうか。
仕込み杖を抜いて短剣にします。そのままそろりそろりと近づいて……グサッ。

「キャーー」
「「ウキッ?!」」

うっそでしょなんで首を切ったのに生きてるのってやばいやばいほかの二匹も一緒になってこっち来てる!
と、とりあえず逃げっ、いや悪役はこんな時逃げない。困難に立ち向かってこそ悪役だ!
仕込み杖をもとに戻し応戦する。
先陣を切るように襲い掛かってきた猿を杖で横から殴り、左右から攻撃してきた二匹をバックステップでよける。攻撃対象を失いぶつかり合った二匹が初めに攻撃した猿の上に重なる。その瞬間、私は杖術の【スマッシュ】を発動させた。大きく後ろに振りかぶられた杖が一気におろされ、三匹の猿に命中した。そして振り下ろした仕込み杖を素早く手元にひきもう一度攻撃を繰り出そうとすると、仕込み杖は勢いで抜け短剣になっていた。構わずに短剣術の【スラッシュ】を繰り出す。右上から袈裟斬りに放たれた攻撃は残り少なくなっていた猿たちのHPを削り切った。HPのなくなった敵はポリゴン上に変化しとけるように消えていった。

「はっ、あっぶな!死ぬかと思った……」

三匹の猿たちと死闘を繰り広げた私は思わずといった風に尻もちをついてしまう。

「いけないいけない。どこに戦った後にしりもちをつく悪役がいるんだ。悪役ならどんなに苦しくても何事もなかった風にするってものだ!」

私は気合を入れて立ち上がる。そして、もうしりもちなんてつかないぞと作り物の空に誓った。
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