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本編
騎士団本部
【スペード王国騎士団】とは。
彼等はスペード王国の、最強の盾にして最強の剣である。魔法騎士達で構成されており、一番上が『ガーディアンナイト』、その下が『ナンバーズ』、その他の者達が『アーマーナイト』と呼ばれている。基本は実力主義である。
騎士団の他には、【スペード王国戦士団】や【スペード王国魔法師団】等もあり、魔法が使えず剣技だけの者が戦士団に、逆に剣技が使えず魔法だけの者が魔法師団へと入団する。しかし、剣と魔法、どちらかが使えなくとも、魔法騎士に匹敵する実力、又は特別なスキル等を持っていれば、騎士団への入団も可能である。
平時、彼等の大多数は、王城の広大な敷地内に居る。敷地内にはそれぞれの本部や宿舎、訓練場があり、任務を与えられている者や、各地の詰所に配属されている者達以外は、書類仕事と訓練等を交代制で行っている。
国境にある重要な砦や関所には、その土地の兵士達の他に、騎士団、戦士団、魔法師団の中から高位の者が交代で常時1名待機している。敵襲があった場合は、本部へ連絡を取り、設置されている転移魔法陣で直ぐに応援が来る仕組みだ。
閑話休題
仮病を使った日から1週間後。
私は約束通り、お父様と騎士団に来ていた。正確には王城にある騎士団本部である。五大商家のひとつである我が家は色々な物で商売をしているが、武器もそのひとつで、質の良い剣や弓等を騎士団と取り引きしているらしい。今回、お父様はその取り引きの事で話があったようだ。
「ロゼ、私は責任者の方と話をしてくる。土属性魔法に長けた方がもうじき来るから、この待合室で待っていなさい」
「はい、お父様」
「変な人にはついて行かないように。これからロゼと会う方は、黒い制服で金と紫のラインが入っている。刺繍はナズナの花だ」
「黒い制服に金と紫のラインで、刺繍はナズナの花ですね。分かりました!」
「…………本当に大丈夫かい?やはり、その人が来るまでお父様もここに……」
「私なら大丈夫ですわ、お父様!お仕事、行ってらっしゃいませ!」
「…………はぁ。行ってくるよ。なるべく早く終わらせてくる!」
「はい!頑張って下さい、お父様!」
お父様は私の額にちゅっとキスをしてから待合室を出ていった。お父様を呼びに来ていた方は、そんなお父様を見てめちゃくちゃ驚いていた。
イケオジだけど、お父様って家族以外には基本強面で冷たいからね。氷のように冷たい男だってゲームの説明書にも書いてあったし。
確か『ヒロインの邪魔をするオリバーの父。元から氷のように冷たい男だったが、最愛の妻を亡くしてからは完全に心を閉ざし、王国を滅亡させようと企む死の商人となる』、だったっけ。
確かに商品で武器を扱ってる辺り、死の商人だね。……大丈夫よ、お父様。お母様は私が死なせないし、お父様も悪の道には堕ちない。
頑張ろう。
私が何度目か分からない決意をしていると、待合室の扉が開いた。
「……君がオーガスタス様の娘のロゼリア様かな?」
「貴方は……」
―――嘘でしょ?
え。嘘。本当に??
お父様、なんて奴を呼んじゃったんだよ。この人は……
「あれ?……君、私を知っているの?どこかで会ったかな?」
「いえ……貴方とは、初対面です」
「初対面?その割りには、私の事を知ってそうな顔をしているけど」
「ええと……不躾に見つめてしまって申し訳ありません。ご挨拶が遅れました。私はバルトフェルト家、オーガスタスの娘のロゼリアです。宜しくお願いします」
「宜しく。私はリアムだ。リアムと呼んでいいよ。私も君をロゼリアと呼ぶから」
「はい、リアム様」
「違うよ。様はいらない。リ ア ム。ほら、言ってごらん?」
「り…………」
「ん?」
「……リアム……」
「そう。ロゼリアは良い子だね」
「…………っ」
そう、この人の名前はリアム。
漆黒の瞳に漆黒の長い髪。長身で整い過ぎている顔立ちは、まるで作り物のようで。
……この人は攻略対象者。
しかも『ガーディアンナイト』の一人。
【ジョーカー】だ。
どうして気付かなかったんだろう。
黒の制服でナズナの刺繍は、『ガーディアンナイト』の証。
「あはっ」
「っ?」
「…………やっぱり、私の事を知っているね?」
そう言われた瞬間。
私の背筋にゾクリとした悪寒が走った。
* * *
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