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本編
目の据わっているお兄様も格好良い
しおりを挟むテオドールは私の正体をバラさないと約束してくれました。
なので……
ロゼリア・バルトフェルト復活!!いや、単純に問題解決して元気になっただけですけどね!!
明日からは元気にもりもり学食でお昼ご飯食ーべよ♪最近の学食はスイーツも充実してるし、明日が楽しみだ~。
……………………
…………
…………なんて、呑気な事を考えていた私、今すぐ消えて下さい。
私は学校から帰って湯殿から出た後、足取り軽く、上機嫌で自室へと向かっていたのだが。
目の据わったお兄様に素早くお姫様抱っこされ、お兄様のお部屋まで拉致されてしまった。あまりに速すぎた一連の行動に、お兄様は恐らく属性特有身体強化を使用していたのではないかと私は睨んでいる。ちなみに、その有無を本人に確認する勇気は、私には無い。
「おおお兄様??ど、どうなさったの…………?」
「どうなさったの、じゃないだろう??私の可愛いロゼリア」
お兄様の目が据わってる。目の据わった状態でも格好良いなんて、流石はお兄様。でもこれって怒ってる?怒ってるのかな?『心配させちゃってるかな?』とは思ってたけど、まだ誤魔化せる範囲だと…………
「ねぇ、ロゼ。ここ三日間くらい、学食に来てなかったよね?……どうして来なかったんだい?」
「えっと、お兄様の気のせいじゃないですか?私は毎日ちゃんと学食に…………」
「ロ・ゼ」
「はひっ?!」
「…………嘘をつくなんて、悪い子だね。しかも、今日はあのテオドールと2人で昼食を取ったらしいね?」
な、何故それを?!
「その顔は当たりかな?テオドールが珍しく今日は外で食べるなんて言うからさ。しかも二人分のサンドウィッチの袋を持ってね」
テオドールううううう!!!
そーゆうのは鈍そうなノアに伝えなさいよおおおおお!!!なんでお兄様に伝えた訳?!バレバレじゃないですか!!
私がダラダラと冷や汗を掻いていると、お兄様が私の耳元に顔を近付けて、そっと低く囁いた。
「ちゃんと話せば軽いお仕置きで済ませてあげるよ。でも、話さないなら、もう学校には行けなくなるかもしれないね?」
話してもお仕置きは回避出来ないようです……
でも、学校に行けなくなったら困るので、私はテオドールにバレてしまった事や、正体をバラさないと約束してくれた事などを、お兄様に洗いざらい吐いたのでした。
* * *
その日の夜。
私は何時ぞやの猫姫姿にさせられていた。
と言うか、二年前ぴったりだった服が、今でもぴったりってどーゆう事なんですか。
私は顔を真っ赤にしながら、羞恥でぷるぷると震えていた。もう私、11歳なんですけど。勘弁して下さい、お兄様!!
「私の膝においで、可愛いロゼ」
「うぅ……」
「ふふ、良い子だ。……テオドールにバレてしまったのは私の責任でもあるから、早く相談してくれれば良かったのに」
「ご、ごめんなさい……」
「次からは、すぐに私に相談する事。いいね?」
「はい、お兄様」
「……今後“うっかり“しないように、今回もきちんと反省しないとね」
「……はい……」
「おかしいな。今夜のロゼは猫姫だろう?」
「………………にゃん」
語尾に『にゃん』とか、めちゃくちゃ恥ずかしい。
お兄様が、私の首につけているチョーカーの鈴を指で触って、チリンと鳴らした。
「可愛い」
「……鈴が好きなのですか?」
「そういう訳じゃないけどね。……私が好きなのは、ロゼだから」
「……お兄様っ」
「ね、ロゼ。私の事を、セルジュの時みたいに、オリバーと呼んでみてくれないかい?」
「え?」
「駄目かな?」
「……いえ」
……なんだろう。
なんだか、凄く緊張する。
セルジュの時は何も考えずに、普通に呼んでるのに。なんでだろう?
私はドキドキしながらも、お兄様の名前をそっと口にした。
「オリバー」
* * *
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