【R18】乙女ゲームの悪役令息の妹に転生しました！お兄様の処刑フラグを全力で叩き壊します！！

本編

学校への復帰

「私としては、ロゼにはいつまでも家にいて欲しいし、まだ早い話だと思うのだが。……婚約者候補として考えてみたらどうだろうか？」
「…………へ？」

婚約者候補？？
私の聞き違い？今確かに婚約者候補って…………
え？
誰と誰が？？

私が内心盛大にパニックになっていると、執事のベルンがお父様に「旦那様、そろそろ……」と声をかける。
ちょっと待って。何がそろそろなんですか。まさかそろそろ退室します、なんて言いませんよね？

「ああ、そうだな。ロゼ、今日はゆっくりと休みなさい。その後で、今言った話を考えてみてくれ」
「？！お、お父様……！」
「ロゼ、また様子を見に来ますからね」
「お母様！」
「お嬢様、後でお茶をお持ち致します。それでは」

いやいやいや！！
言うだけ言って行っちゃうの？！ベルンめっちゃいい笑顔ですね？！
というか、なんで急に婚約者とか言い出したの？！今まで微塵にもそーゆう話題を出さなかったのに！！

私がめちゃくちゃ動揺しているのに、お父様達は何も気付かずに行ってしまった。それとも、気付いていたのに見て見ぬフリをしたのだろうか？？
こんな爆弾を投下されて、ゆっくり休める訳がない。私は頭を抱えながら沢山敷き詰められているクッションに、勢いよくバフッ！と突っ伏した。

「グリードは確かに格好いいし、正直に言えばちょっとドキドキする時もあるけど。……でも、私は…………」

お兄様が………………

お兄様の心臓の音を聞いた時、本当に驚いたし、嬉しかった。
お兄様が言っていた意味って、私が考えてる意味で合ってるのかな？私は、お兄様を好きでいていいんだよね？

「ヒロインが出てくるのは…………再来年。ヒロインの名前って、なんだっけ？えーと…………」

あれ？
駄目だ。なんでか思い出そうとすると眠くなってきちゃう。やっぱりまだ、魔力涸渇した影響が残ってるのかな？グリードの事は、とりあえず後で考えよう。今は…………

眠い。
瞼が重い。…………明日は学校、行けるかな…………

暖かくて柔らかな布団の中にいるのに、何故だか温もりが恋しくて。
私をゆっくりと眠りにつきながら、愛しい人を想った。


＊ ＊ ＊


翌日。
お父様が仕事に行ったのを確認した後、私はお母様に頼み込んで学校へと復帰した。
なんだかんだと四日休んでいたので、早く復帰したかったのだ。騎士団の方で実力試験があるとお父様が言っていたけれど、学校の方でもあと数日で実力試験があるのだ。この試験で実力が認められれば、卒業後の騎士団入りはほぼ確実。グリードが四年生の時に騎士団入りがほぼ内定していたのは、この実力試験で認められていたからなのだ。

（早く試験に向けて特訓しなくちゃ）

学校に着いてから真っ直ぐに教室へ向かっていると、途中の廊下で、先を歩いているアレクとロイを見つけた。

「アレク！ロイ！」

呼び掛けると、アレクとロイが直ぐ様振り返ってこちらを見た。
そして―――

「セルジュ！！四日も休むなんて心配し……」
「セルジューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー！！！」
「ちょ、ま……グフッ？！！」

アレクの言葉を遮り、ロイが猛ダッシュで私に飛び掛かって…………いや、抱きついて来た。あまりに勢いが激しかったので、若干のダメージを受けつつゲホゴホとむせてしまう。

「ゲホッ！……ろ、ロイッ！！落ち着け！というか離れて……！」
「嫌だっ！！セルジュが居ない間、世界の色が消えたかのようだった……」
「た、助けてアレク～～～！」
「はは、今日ばかりは我慢するしかねーな」
「え？」
「心配かけたセルジュが悪い。というか、後で聞きたい事があるんだけどさ。時間いい？」
「う、うん……？」


＊ ＊ ＊