【R18】乙女ゲームの主人公に転生してしまったけど、空気になれるように全力を注ごうと思います!!

はる乃

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本編

アリスを魅了の魔法から助け隊!!結成!!

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ど う し て こ う な っ た !!!!!


「今までアリスが、そんな大事な事をずっと一人で悩んでいたとは!気付いてやれなくてすまない。案ずるな、これからは私とレジーが居る。三人で解決策を導きだそうではないか!!」

「~~~~~っ!!!」


あんのやろおおおおおおおおおおおおおおお!!!バラしやがったあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!



* * *



王家主催のパーティーが終わって数日後、我が家に悪魔が来訪した。
話が話だけに、必然的に悪魔の希望通り二人きりになった訳だが、必死の攻防の末、私は自らの貞操を守りきった。

その際に、私は転生云々は別として、魅了の魔法の件に関しては包み隠さず全てを自白したのだった。
そう、自白だ。悪魔は自白剤まで持ってきていたのだ。
あの忌々しいニヤニヤ顔が今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。悪魔はエロガキ+ドS要素まで備えていやがったのだ。どれだけ美味しそうであっても、私はもう二度と悪魔からの献上品は口にしないと固く心に誓った。


それが遡る事3日前の話だ。
そして今日、私の目の前にはその悪魔と共に三年間変わらなかった馬鹿ことフィリップ殿下がいらっしゃった訳だ。そして冒頭へ。

私は悪魔を射殺さんばかりに睨み付ける。


HEY、BOY。
今すぐ天に召されたいんですか??

おねーさん流石に怒るよ?
ハサミで君の息子ちょん○ってやろうかああああああああ?!!!!


「わふ!!」

「うおっ?!」


臨界点を突破しかけた私に、クロが突進してきた。
鳩尾にクリーンヒットした為、私は思わずヒロインらしからぬ悲鳴を上げて倒れ込む。痛いっ!!


「~~~っ!!」

「アリス!大丈夫かい?!」


大丈夫じゃないけどこっち来んな。


「殿下。この犬が例の闇の精霊様かと」

「何?この子犬が?……精霊絡みの件ならば致し方あるまい。『ファイス』、我が呼びかけに応えよ!」

「?!」


フィリップ殿下がそう呼びかけると、突然何もなかった空間に炎が舞った。私は驚いて目を見開く。すぐ近くだというのに何故だか全く熱さを感じない。

何これ?
どゆこと??


炎の中からは赤い髪、赤い瞳のイケメンが現れた。見た目年齢20代くらいのイケメンは、いかにも砂漠の王様って感じの衣装をその身に纏っていて、大胆に着崩して肌蹴たところから素晴らしい体躯が見えている。私は思わず見惚れた。
ええ、そうです。私、割りと筋肉好きです。ソフトマッチョ最高!!
腹筋やばいぃぃ!!


「我が主よ、俺に何か用……ん?この娘……おい、主。俺の忠告を忘れたのか?」

「いや、忘れていない!だが……」

「色恋は大概にしろと言っただろう」

「ファイス殿。今回は非常事態なのです」

「黙れ、レジナルド。貴様のようなガキが一人前に非常事態などと笑わせる」


やばい。
私この人好みだわ。


私が熱い視線を注いでいると、その視線に気付いた『ファイス』と呼ばれる美丈夫が、私に向けてフッと笑った。


「娘よ、良い趣味をしているな。お前はなかなかに見所があるぞ」

「こ、光栄です!ところで、あの、貴方様は一体……?」

「『ファイス』は私が契約している火の最上位精霊だ!」


フィリップ殿下には訊いてないから!!
……って、火の最上位精霊??


「フィリップ殿下は火の最上位精霊様と契約しているのですか?」

「そうだ。今まで黙っていてすまなかったな、アリス。例え将来の伴侶であっても、精霊の事に関してはそう易々と明かしてはいけない決まりでね」


誰が将来の伴侶だって?

私は半眼ジト目でフィリップ殿下に「殿下、お戯れも程々になさって下さい」と答えた。


「ふっ、アリスは手厳しいな」


本当に手厳しくしていいならそうするがな。

私が迂闊にもそんな事を考えていると、ファイスが口元を押さえて軽く吹き出した。


「ど、どうしたのだ?ファイス」

「ククッ、面白い娘だ。天使のような見目をしているクセに、その実……」


ちょ、私の思考を読んだの?!
前にクロと夢の中で話したアレですか?!という事は、最初から全部筒抜け?!


「何を言っているんだ?アリスは見た目も中身も天使だろう?」


るっさいわ!!この馬鹿!!!
どんだけ魅了の魔法にやられてんの?!!


「ああ、そうか。お前はそう思っていたのだな」


え?お前は……?


私が一瞬ポカンとしてしまうと、そんな私を見て、ファイスが再び口を開いた。


「最上位精霊と契約している者は、他の精霊の影響を受けない。故に我が主は、闇の精霊が放つ魅了の魔法にはかからない。それがお前にとって良い事なのか悪い事なのかは分からないがな」

「―――え?」

「それと、俺の事はファイスと呼べ。俺もお前の事をアリスと呼ぼう」


一度に色々な事が起こり過ぎて頭が回らない。だけど……

私の身体から、少しだけ力が抜けた気がした。


「……何だかよく分かりませんが、殿下。闇の精霊様がアリス嬢に授けている魅了の魔法を早く何とかしましょう」

「そうだな。まずは闇の精霊殿と話してみるとしよう。ファイス、頼めるか?」

「ああ」

「よし!!今日ここに、『アリスを魅了の魔法から助け隊』、結成だ!!」



* * *

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