定年オヤジ、現代ダンジョンを論破する

塩塚 和人

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第7話:理屈で組み立てる最適無双

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 深層。
 光量ゼロ、湿度95%。
 敵の熱源だけが、赤く滲んで見える。

 俺は冷静に、戦闘方程式を組み立てた。

 火球の出力は、単位秒あたり0.83MJ。
 軌道は空気密度と風速を計算して補正。
 敵の反応時間と身体構造から、最小破壊点を割り出す。

 ……理屈だ。
 魔法ではない。
 現象の数値化だ。

 前方に三体、上位個体。
 統率も位置も完璧だ。

「……効率を最優先」

 火球を左壁に反射させ、中央の敵を狙う。
 残り二体は、赤外線センサーで軌道予測。
 最小出力で、最大効果。

 一瞬で、一体消滅。

 残る二体も、地形と火球の反射角で順次撃破。
 連鎖計算は、経験値により瞬時に完了。

 隣で若者パーティが息を呑む。

「……何やってるんですか、今の」

「効率化だ。数値通りにやっているだけ」

 理論上、無駄はない。
 敵も減る。
 俺の疲労もゼロに近い。

 最終個体。
 サイズ二倍。反応速度も早い。
 通常なら数人がかりで倒す相手。

 だが俺は、先ほどの理屈を応用する。

 火球を複数回、壁反射+空気圧操作で軌道を変化。
 敵の回避動作を数秒先まで予測して命中。

 一撃で消滅。

 全員、固まる。

「……老害、じゃ済まないっすね」

「数字は嘘をつかん。
 感情論は無意味だ」

 俺は装備を整え直し、通路を進む。

 周囲の若者たちは、戦闘を見て学ぶしかなかった。

 無双は楽しいか、と聞かれれば否定する。
 だが、合理的に敵を削ぎ落とす感覚は、
 少しだけ、脳を刺激する。

 ――次は、さらに困難な敵だ。

 計算、観測、効率化。
 それが、俺の無双だ。
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