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ストーカーVSお兄ちゃん
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夏のある日の夜。人気急上昇中のアイドルSの自宅玄関扉の前にて、男達は対峙していた。ドアノブに手をかけているのは背の高い細い男。その男に声を掛けたのは背の低い小太りの男。
「お、おい、お、お前は、誰だ!」
背の低い男は鼻息荒くオドオドしながら背の高い男の肩に手を伸ばす。
「なんだテメェ。」
背の高い男は背の低い男を睨みつけ、伸びてくる丸々とした手を払う。背の高い男は気付く。
「(こいつ、前にSが言ってたヤベェやつだな。ストーカー野郎め、ここでとっ捕まえてやろう。)」
背の高い男は背の低い男の胸ぐらを掴み、玄関扉側の壁に叩きつける。背の低い男は苦しそうにもがく。
「く、くそ!離せ!Sに手出しはさせないぞ!」
二人はお互いに殴り蹴りを繰り返しながらもみくちゃになり、背中に強い衝撃を感じた時、いよいよ塀を越え中庭へ転落した。ここはマンションの4階。そして落ちる瞬間を丁度帰宅してきたSは目撃し、叫んだ。
「おにいちゃん!」
病室で目を覚ましたのは背の低い小太りの男。彼は腕を骨折したが命は助かっていた。落ちる瞬間に聞こえたSの声が彼を救ったのだ。声が聞こえた瞬間に背の高い男が下になるように落ちたのだ。サイドテーブルにはうさぎの形に整えられたリンゴが三つ皿の上に並んでいる。その横には果物ナイフ。不思議と安堵感が胸のそこから湧き出てくる。結果的にストーカーはどうなったのだろうかと疑問に思っていた。例えばあの背の高い男がほぼ無傷であったとして、Sは無事なのだろうか。彼は胸騒ぎを感じ病院を飛び出す。
タクシーを使い、背の高い男ともみくちゃになったあの現場に到着する。そこにはSがいた。きっちりとした服装でドアに鍵を掛けている。おそらく昨日の出来事で警察と面会をしなければいけないのだろうと彼は推測する。ストーカーと共に落ちたあの現場にいたSに向かって彼は彼女の名前を呼ぶ。
「・・・!お兄ちゃん・・・。」
Sの目には涙が浮かぶ。背の低い小太りの男はSを抱きしめる。
事件の三ヶ月前、Sが所属する事務所の客室にて。ある有名雑誌に掲載される記事のため、Sへのインタビューが行われていた。グレーのスーツを身にまとった女記者がSに質問をする。
「やっぱり、Sちゃんくらい有名になると変なファンとかも出てくるんじゃないですか?」
Sは少し暗い表情になり答える。
「はい。実は最近、ちょっと変わった人がいまして・・・。せっかく応援してくれているのでこんな言い方はよくないのだと思うんですけど。お仕事の帰り道を後ろからつけられたり、夜遅くにノックをされたりするんです。」
記者はヒェと小さく悲鳴をあげる。
「それ完全にストーカーじゃないですか!ちゃんと警察にも相談をしてください!」「もう、事務所の方とはお話していますので。それに兄と同居をしているのでとりあえずは大丈夫かなと。」
記者は「兄と同居」という話題に反応し、すぐに話題は切り替わる。
「あ、お兄さんと同居されているんですね!お兄さんはどんな方なんですか?」
「はい。お兄ちゃんは優しくて、背はちょっと低いんですけど、学生の頃に陸上をやっていたのでヒョロッとしてるんです。」
記者は目を輝かせながら質問を繰り返す。
「そうなんですね。陸上をやっていたってことはお兄さん、スタイル良さそうですね。」
このインタビュー記事は二ヶ月後に刊行された雑誌に掲載された。
夏のある日の夜。玄関前が何やら騒がしい。そろそろ妹が帰ってくるし、厄介なことになる前に追い出そうと少し扉を開く。するとそこには、何度追い払っても仕事帰りの妹にストーキングするのをやめない背の低い小太りの男と、何度か深夜にノックをしては逃げていく背の高い細い男が取っ組み合っていた。真剣に対処してくれない事務所と、止まないストーキング行為に妹は毎晩涙を流していた。俺はこの二人が許せない。俺は気付けば二人の背を力一杯に押し、中庭に突き落としていた。その瞬間を、妹が見ていた。
「おにいちゃん!」
私の兄は二人の男性をここから突き落とした。中庭を見れるようにと、塀が低い作りになっているこのマンションの作りも悪かった。何より、私のためにと兄は行動を起こしてくれたのだ。兄はその後警察の元に行き事情聴取を受けた。今日の朝からは兄は弁護士と話をしている。私たちはその後一緒に駅前でランチをしようと約束をしていた。これから私は駅前に向かう。ドアに鍵を掛けさぁ行こうと振り返った時、あの背の低い小太りの男が私の名前を呼びながらこちらに向かってきている。私は恐怖のあまり兄の助けを求める。
「・・・!お兄ちゃん・・・。」
「次のニュースです。人気急上昇中のアイドルSさんが何者かに鋭利な物で刺され、先ほど搬送先の病院にて死亡が確認されました。凶器は小型のナイフとみられ、Sさんは以前からストーカー被害に悩まされていると所属事務所の〇〇〇からは・・・」
-完
「お、おい、お、お前は、誰だ!」
背の低い男は鼻息荒くオドオドしながら背の高い男の肩に手を伸ばす。
「なんだテメェ。」
背の高い男は背の低い男を睨みつけ、伸びてくる丸々とした手を払う。背の高い男は気付く。
「(こいつ、前にSが言ってたヤベェやつだな。ストーカー野郎め、ここでとっ捕まえてやろう。)」
背の高い男は背の低い男の胸ぐらを掴み、玄関扉側の壁に叩きつける。背の低い男は苦しそうにもがく。
「く、くそ!離せ!Sに手出しはさせないぞ!」
二人はお互いに殴り蹴りを繰り返しながらもみくちゃになり、背中に強い衝撃を感じた時、いよいよ塀を越え中庭へ転落した。ここはマンションの4階。そして落ちる瞬間を丁度帰宅してきたSは目撃し、叫んだ。
「おにいちゃん!」
病室で目を覚ましたのは背の低い小太りの男。彼は腕を骨折したが命は助かっていた。落ちる瞬間に聞こえたSの声が彼を救ったのだ。声が聞こえた瞬間に背の高い男が下になるように落ちたのだ。サイドテーブルにはうさぎの形に整えられたリンゴが三つ皿の上に並んでいる。その横には果物ナイフ。不思議と安堵感が胸のそこから湧き出てくる。結果的にストーカーはどうなったのだろうかと疑問に思っていた。例えばあの背の高い男がほぼ無傷であったとして、Sは無事なのだろうか。彼は胸騒ぎを感じ病院を飛び出す。
タクシーを使い、背の高い男ともみくちゃになったあの現場に到着する。そこにはSがいた。きっちりとした服装でドアに鍵を掛けている。おそらく昨日の出来事で警察と面会をしなければいけないのだろうと彼は推測する。ストーカーと共に落ちたあの現場にいたSに向かって彼は彼女の名前を呼ぶ。
「・・・!お兄ちゃん・・・。」
Sの目には涙が浮かぶ。背の低い小太りの男はSを抱きしめる。
事件の三ヶ月前、Sが所属する事務所の客室にて。ある有名雑誌に掲載される記事のため、Sへのインタビューが行われていた。グレーのスーツを身にまとった女記者がSに質問をする。
「やっぱり、Sちゃんくらい有名になると変なファンとかも出てくるんじゃないですか?」
Sは少し暗い表情になり答える。
「はい。実は最近、ちょっと変わった人がいまして・・・。せっかく応援してくれているのでこんな言い方はよくないのだと思うんですけど。お仕事の帰り道を後ろからつけられたり、夜遅くにノックをされたりするんです。」
記者はヒェと小さく悲鳴をあげる。
「それ完全にストーカーじゃないですか!ちゃんと警察にも相談をしてください!」「もう、事務所の方とはお話していますので。それに兄と同居をしているのでとりあえずは大丈夫かなと。」
記者は「兄と同居」という話題に反応し、すぐに話題は切り替わる。
「あ、お兄さんと同居されているんですね!お兄さんはどんな方なんですか?」
「はい。お兄ちゃんは優しくて、背はちょっと低いんですけど、学生の頃に陸上をやっていたのでヒョロッとしてるんです。」
記者は目を輝かせながら質問を繰り返す。
「そうなんですね。陸上をやっていたってことはお兄さん、スタイル良さそうですね。」
このインタビュー記事は二ヶ月後に刊行された雑誌に掲載された。
夏のある日の夜。玄関前が何やら騒がしい。そろそろ妹が帰ってくるし、厄介なことになる前に追い出そうと少し扉を開く。するとそこには、何度追い払っても仕事帰りの妹にストーキングするのをやめない背の低い小太りの男と、何度か深夜にノックをしては逃げていく背の高い細い男が取っ組み合っていた。真剣に対処してくれない事務所と、止まないストーキング行為に妹は毎晩涙を流していた。俺はこの二人が許せない。俺は気付けば二人の背を力一杯に押し、中庭に突き落としていた。その瞬間を、妹が見ていた。
「おにいちゃん!」
私の兄は二人の男性をここから突き落とした。中庭を見れるようにと、塀が低い作りになっているこのマンションの作りも悪かった。何より、私のためにと兄は行動を起こしてくれたのだ。兄はその後警察の元に行き事情聴取を受けた。今日の朝からは兄は弁護士と話をしている。私たちはその後一緒に駅前でランチをしようと約束をしていた。これから私は駅前に向かう。ドアに鍵を掛けさぁ行こうと振り返った時、あの背の低い小太りの男が私の名前を呼びながらこちらに向かってきている。私は恐怖のあまり兄の助けを求める。
「・・・!お兄ちゃん・・・。」
「次のニュースです。人気急上昇中のアイドルSさんが何者かに鋭利な物で刺され、先ほど搬送先の病院にて死亡が確認されました。凶器は小型のナイフとみられ、Sさんは以前からストーカー被害に悩まされていると所属事務所の〇〇〇からは・・・」
-完
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