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第13話 反撃
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ベティーナはその場に崩れ落ちるように座り込む。理解が追いついていないようで、まだ呆然としている。レイが彼女を拘束し、広間のソファーに座らせた。俺自身も何がなんだかわからず、立ち尽くしていた。そこにマキナが駆け寄ってくる。
「タクト、無事ですか?怪我は?」
マキナは俺の体をペタペタと触り無事を確認しているようであった。
「あぁ、とりあえずなんともないみたいだけど・・・。何が何だか。」
そこにレイもやってくる。
「タクト・・・。なんであんな危険なことをしたんだ!死んでいたかもしれないんだぞ!馬鹿者!」
レイは涙をこらえながら怒っていた。そして俺が言葉を返す前に、俺の両肩に手を掛け、笑う。
「だけど、ありがとう。君は命の恩人だ。君に命を拾われたな、私は。」
「何て言うか、とりあえずみんな無事でよかったです。レイさんもマキナも、ベティーナも。」
「まったく、君は優しすぎるな。」
レイは優しく微笑み掛けてくれる。
「ところで、その子は?君はマキナと呼んでいたが。」
俺はマキナとの出会いから今までの経緯を全て話した。レイには話しても問題ないだろうと思ったからだ。
「なるほど。しかし、ベティーナ嬢がマキナのことを知っていたという点が気になるな。」
「はい。俺もそこが引っかかっています。異世界人嫌いの彼女がなぜ知っているのか。そして俺がマキナを誘拐したと思って激昂していたことも・・・。そもそも、マキナは彼女と会ったことがないんだろ?」
明後日の方向を見てボーッとしているマキナに問いかける。
「私は初対面です。”マキナ”違いだと思います。」
「マキナ違い?まるでマキナが複数いるみたいな言い草だな。」
「”マキナ”は複数います。見た目も身体能力も使命も同じです。私はあなたのマキナ。彼女が出会ったのは他の誰かのマキナでしょう。私ではありません。」
どうやら、世界の管理者の使い-マキナ-は複数存在するようだ。もうそんな事実では驚かなくなってきた。それに気になることは他にもっとあるのだ。俺はそれらの疑問を解決すべくマキナに質問を始める。
「マキナ、聞きたいことがいくつかある。」
「異世界特性のことですか?私も戦闘の中急に思い出したことですが、それは異世界人がそれぞれ持つ”異世界において戦う術”になります。私たちマキナは、その各々が持つ力がもっとも有利に働く世界の救世主として転移をさせます。」
「つまり、俺が持っている”魔法妨害”は、この世界18002において有利に働くと思われたわけか。」
俺の力は、自分には存在しない”異能力”を無効化できる力だ。発動条件は対象を指差して波動を打ち込むだけ。直線的でかつ距離にも制限があるみたいだから、万能では無いが・・・。続いてレイが質問をする。
「つまり、タクトの能力によってあの黒炎も防ぐことができたというわけか?」
「いや、それは違う気がします。俺の能力は無意識には発動しないみたいですし、無効にしたい対象を指で指さなきゃいけないんです。」
それが、俺の二つ目の疑問。まだ自分の能力にも気づいていなく、発動条件も満たしていない俺がなぜあの炎を防ぐことができたのか。俺が炎を受けた周りに生えていた草は完全に燃え尽きていることから、炎自体が熱を持っていたのは間違いない。この疑問はマキナにもわからないようだ。
「そもそも、皆さんはどうやって魔具を使っているんですか?俺には魔法を使う感覚がわからなくて・・・。」
「体内から魔素を集めるのさ。たとえば、こうやって右手に集中させたり・・・」
レイは右手に意識を集中させる。すると、右手の指先から微かに輝く粒子のようなものが飛び交う。
「おぉ!すごい!本当に魔法使いみたいですね。」
「我々からすると呼吸をするのと変わらないくらい普通なことだがな。体内の魔素を生成する臓器から排出されて体内を満たすんだ。魔具から発生する魔法はこの魔素に反応して効果を発揮する。例えばベティーナ嬢が使う炎は魔素に反応して熱を発生させることができるわけだ。」
レイは右手をマキナの頭に持っていき、なんとなく撫で始める。
「そもそもタクトは異世界人で、魔素を生成できないから魔具を使えないん・・・待てよ。」
「どうしました?」
「そうか。君は魔素を一切持っていないんだ。だから、そもそも君は”魔具の影響を一切受けない”のか!」
たしかに、現場検証をしたときに冷気の魔具による冷気を感じなかったし、黒炎にも反応しなかったんだ。俺は世界18002では物理攻撃しか受けないようだ。
「魔具が生活はもちろん、攻撃・防御の双方でも当然のように使われているこの世界で、異世界人が”厄災”とも”英雄”とも言われる所以がわかったよ。全ての異世界人がタクトのように、正しい心の持ち主であれば”英雄”として迎え入れられるわけだ。」
なんだか照れ臭くなって、レイから目を背けてしまう。そして俺は残っている疑問を解決しようと話を変える。
「そういえば、マキナが使ったあの飛ぶ刃は何だったの?あれも魔具?」
「いいえ、あれは”マキナ”特有の迎撃システムです。魔素などの類ではありません。切れ味はどんな世界の業物にも負けません。」
マキナはドヤ顔で手刀をこちらに向ける。”切れ味”というフレーズがこの館で起きた事件を連想させる。
「マキナ、同等の能力を持った”マキナ”は複数いるって言ったよな?ということは、異世界人を転移させるたびに、それぞれの異世界人に”マキナ”がくっついてくるってこと?」
「そうなります。異世界転移をした人物に救世主として機能していただくべく、可能な限りの援助を行います。そして、今回のように段階的に”マキナ”の能力や知識が解放されていきます。管理者は救世主の肉体的・精神的にも成長を促す意図があるようです。」
「なるほど。」
部屋で出会った頃とは段違いの情報量だ。異世界特性に目覚めたことをきっかけにマキナのロックされてた知識がアンロックされたわけか。
しかし、これでこの事件の真相が見えてきた。あとはその証拠が必要だ。そのための策もいくつかある。時間制限がある以上すぐにでも動く必要があった。
「これだけ騒いだんだから、さすがにそろそろ皆集まってきますよね。その前に、レイさんにお願いしたいことがあるんですが、良いですか?」
「あぁ、無論だ。君は命の恩人だからな。何だってしよう。」
「ありがとうございます!心強いです。」
ここまではずっと犯人の手の平で踊らされていたが、ここからは違う。反撃開始だ。
「それじゃあ、探しましょうか。もう一人の異世界人を。」
「タクト、無事ですか?怪我は?」
マキナは俺の体をペタペタと触り無事を確認しているようであった。
「あぁ、とりあえずなんともないみたいだけど・・・。何が何だか。」
そこにレイもやってくる。
「タクト・・・。なんであんな危険なことをしたんだ!死んでいたかもしれないんだぞ!馬鹿者!」
レイは涙をこらえながら怒っていた。そして俺が言葉を返す前に、俺の両肩に手を掛け、笑う。
「だけど、ありがとう。君は命の恩人だ。君に命を拾われたな、私は。」
「何て言うか、とりあえずみんな無事でよかったです。レイさんもマキナも、ベティーナも。」
「まったく、君は優しすぎるな。」
レイは優しく微笑み掛けてくれる。
「ところで、その子は?君はマキナと呼んでいたが。」
俺はマキナとの出会いから今までの経緯を全て話した。レイには話しても問題ないだろうと思ったからだ。
「なるほど。しかし、ベティーナ嬢がマキナのことを知っていたという点が気になるな。」
「はい。俺もそこが引っかかっています。異世界人嫌いの彼女がなぜ知っているのか。そして俺がマキナを誘拐したと思って激昂していたことも・・・。そもそも、マキナは彼女と会ったことがないんだろ?」
明後日の方向を見てボーッとしているマキナに問いかける。
「私は初対面です。”マキナ”違いだと思います。」
「マキナ違い?まるでマキナが複数いるみたいな言い草だな。」
「”マキナ”は複数います。見た目も身体能力も使命も同じです。私はあなたのマキナ。彼女が出会ったのは他の誰かのマキナでしょう。私ではありません。」
どうやら、世界の管理者の使い-マキナ-は複数存在するようだ。もうそんな事実では驚かなくなってきた。それに気になることは他にもっとあるのだ。俺はそれらの疑問を解決すべくマキナに質問を始める。
「マキナ、聞きたいことがいくつかある。」
「異世界特性のことですか?私も戦闘の中急に思い出したことですが、それは異世界人がそれぞれ持つ”異世界において戦う術”になります。私たちマキナは、その各々が持つ力がもっとも有利に働く世界の救世主として転移をさせます。」
「つまり、俺が持っている”魔法妨害”は、この世界18002において有利に働くと思われたわけか。」
俺の力は、自分には存在しない”異能力”を無効化できる力だ。発動条件は対象を指差して波動を打ち込むだけ。直線的でかつ距離にも制限があるみたいだから、万能では無いが・・・。続いてレイが質問をする。
「つまり、タクトの能力によってあの黒炎も防ぐことができたというわけか?」
「いや、それは違う気がします。俺の能力は無意識には発動しないみたいですし、無効にしたい対象を指で指さなきゃいけないんです。」
それが、俺の二つ目の疑問。まだ自分の能力にも気づいていなく、発動条件も満たしていない俺がなぜあの炎を防ぐことができたのか。俺が炎を受けた周りに生えていた草は完全に燃え尽きていることから、炎自体が熱を持っていたのは間違いない。この疑問はマキナにもわからないようだ。
「そもそも、皆さんはどうやって魔具を使っているんですか?俺には魔法を使う感覚がわからなくて・・・。」
「体内から魔素を集めるのさ。たとえば、こうやって右手に集中させたり・・・」
レイは右手に意識を集中させる。すると、右手の指先から微かに輝く粒子のようなものが飛び交う。
「おぉ!すごい!本当に魔法使いみたいですね。」
「我々からすると呼吸をするのと変わらないくらい普通なことだがな。体内の魔素を生成する臓器から排出されて体内を満たすんだ。魔具から発生する魔法はこの魔素に反応して効果を発揮する。例えばベティーナ嬢が使う炎は魔素に反応して熱を発生させることができるわけだ。」
レイは右手をマキナの頭に持っていき、なんとなく撫で始める。
「そもそもタクトは異世界人で、魔素を生成できないから魔具を使えないん・・・待てよ。」
「どうしました?」
「そうか。君は魔素を一切持っていないんだ。だから、そもそも君は”魔具の影響を一切受けない”のか!」
たしかに、現場検証をしたときに冷気の魔具による冷気を感じなかったし、黒炎にも反応しなかったんだ。俺は世界18002では物理攻撃しか受けないようだ。
「魔具が生活はもちろん、攻撃・防御の双方でも当然のように使われているこの世界で、異世界人が”厄災”とも”英雄”とも言われる所以がわかったよ。全ての異世界人がタクトのように、正しい心の持ち主であれば”英雄”として迎え入れられるわけだ。」
なんだか照れ臭くなって、レイから目を背けてしまう。そして俺は残っている疑問を解決しようと話を変える。
「そういえば、マキナが使ったあの飛ぶ刃は何だったの?あれも魔具?」
「いいえ、あれは”マキナ”特有の迎撃システムです。魔素などの類ではありません。切れ味はどんな世界の業物にも負けません。」
マキナはドヤ顔で手刀をこちらに向ける。”切れ味”というフレーズがこの館で起きた事件を連想させる。
「マキナ、同等の能力を持った”マキナ”は複数いるって言ったよな?ということは、異世界人を転移させるたびに、それぞれの異世界人に”マキナ”がくっついてくるってこと?」
「そうなります。異世界転移をした人物に救世主として機能していただくべく、可能な限りの援助を行います。そして、今回のように段階的に”マキナ”の能力や知識が解放されていきます。管理者は救世主の肉体的・精神的にも成長を促す意図があるようです。」
「なるほど。」
部屋で出会った頃とは段違いの情報量だ。異世界特性に目覚めたことをきっかけにマキナのロックされてた知識がアンロックされたわけか。
しかし、これでこの事件の真相が見えてきた。あとはその証拠が必要だ。そのための策もいくつかある。時間制限がある以上すぐにでも動く必要があった。
「これだけ騒いだんだから、さすがにそろそろ皆集まってきますよね。その前に、レイさんにお願いしたいことがあるんですが、良いですか?」
「あぁ、無論だ。君は命の恩人だからな。何だってしよう。」
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ここまではずっと犯人の手の平で踊らされていたが、ここからは違う。反撃開始だ。
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