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胡蝶は俺の手を取る。
「行きましょうか。依頼人も待っておられます」
俺と繋いでいない方の手で胡蝶は祠に手を入れた。

音も立てずに手が祠に吸い込まれている。
胡蝶の髪の毛が少し浮いたように見えた。

さあっと胡蝶が黒くなる。
薄く透けているような黒さだ。
そのまま俺はグイと引っ張られた。
祠の戸がバタンと閉じた音も今回は聞こえた。
つまり祠の戸が開いてたってことだ。

俺は尻餅をついた。ドスン。
そこにはもう胡蝶の姿は無く、真っ赤な絨毯が敷き詰められていて俺の目はチカチカいった。

「おお!ロンバート!召喚はうまくいったようだぞ!」
「トーゼン!私の術でありますからな」
ガッハッハと笑い声がする。
俺はしかしそれを気にするよりも早く自分の体を触って見回した。
今回は赤ん坊にならなかったらしいな。
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