木の実と少年

B.Branch

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第1章

魔剣誕生。

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「カリン様、どうぞ」
キリが黄金色の欠片を差し出した。

『これを剣に嵌め込むの?』

「はい、カリン様の魔力と一緒に剣に注ぎ込んでください」

ほうほう、やってみましょう!!

魔力を込めて黄金の欠片を剣に押し当てる。
次の瞬間、剣がまばゆい黄金の光に包まれた。

黄金の光!?や、当然といえば当然だけど・・・
まさか、また、派手くさい黄金剣が誕生してしまうの!?
望んでないよ!!目立っちゃダメだから!!

『質実剛健な機能重視でお願いします!!』

切実な思いで光を見つめていると、黄金の光がどんどん剣に吸い込まれ小さくなっていく。

「お」
『あ~』
「おお」

みんなが現れた剣に声を上げた。

お~、一緒でした。
全く完璧に寸分違わず一緒。
手入れはされているが、華美装飾の一切ない初心者向けの普通の剣。

『つまんないね~』

レンちゃん・・・絶対、金ピカな悪目立ち剣を期待してたよね?
しかも、理由は「ちょっと、面白そう」だよね?
実は私も内心思ったけども!!

『ウィル、剣を抜いてみてくれる?』

「あ、うん」

ウィルが柄に手をかけ、ゆっくりと剣を抜いた。

あっ、ありますね。
装飾ありました。
剣の中程から先にかけて、金の花のが浮かび上がっている。
華美にならず、上品で美しい精緻な意匠だ。

「すごい・・・」

ウィルが、指で刀身をなぞりながら、嬉しそうに呟いた。

うん、いいじゃないですか!!
あとは、性能ですね!!機能重視になっているはず!!

『ウィル、あんまり切るものないから、その積んである石でも崩してみてよ』

「うん、・・・えいっっ、うわっと・・・」

ウィルは、石を崩そうと軽く剣を振った瞬間、バランスを崩して前によろめいた。

大丈夫?
お?お~、石は崩れなかったらしい。
でも、それはウィルが空振りしたせいではない。

「切れ、ましたね・・・」

キリが呆然と呟いた。

うん、切れた。
不安定に積み上げられた石たちが、軽く刃を当てただけで、下部分の石は崩れることなく横なぎにすっぱり切れている。
レーザーか!?ってくらいの切れ味だ。

機能重視って言ったけど~・・・切れすぎでしょう?
なんか、他にもとんでも機能がついてそうで怖い・・・
知りたくないです。

『よし、剣も無事強化できたみたいだし、私が入ってもいいかな?』

「そ、そうだね。いいよ」

ウィルも剣の件はサラッと流したいみたいだ。
現実を見たくない時ってあるよね。うん、ある。

『じゃあ、入りま~す』

意識を剣に集中させて・・・なんてことしなくても、はい、もう、私は剣です。
やぱっり、木とは違って、冷たくて硬い感じがする。
でも、悪くないよ!!

『命名「林」と名付けます』

名付けた途端、剣がピカッと光を放った。
お?どうした?

「カリン様・・・それ以上剣に力を与えると魔剣になってしまいますよ」

キリが呆れ顔で疲れたように溜息をついた。

「魔剣、リン~」

やっちゃった?
ハハハ~っとね。
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