呪いから始まる恋

めぐみ

文字の大きさ
6 / 52

5

しおりを挟む

「1人だけ…ウィルは生き残ったが…他の2人は…」

「…っ!……っ、ごめ、なさ…ッ」

分かりきっていた。呪いはふたり分受けた実感があった。そしてその呪いの発動条件は自分が殺された時。呪いを受けた段階で私は殺しているのだ。

「謝るのは俺たちのせいだ。君は…彼らにとてもよくしてくれていたのに…俺たち蛇の獣人のトラブルに巻き込んでしまった。火に箱をくべたのだって…中身がわからず、その上自身の命を脅かされて…仕方なくやったものだったのだろう?」

「そんなの…言い訳になりません」

「君は被害者なのだから…そうも、背負わないでくれ。それを言ったら俺があと5分早ければ…君が呪いを受けることも…火傷を負うことも…彼らを失うことも無かったんだ」

彼は額を押さえて深くため息をついた。そこでようやく彼の様子を確認する余裕が生まれた。何日も寝ていないのかサングラスを外した目の下には深いクマが出来ていて、彼が纏う悲壮感は重々しく、彼も自分を慕っていた子供達を救えなかった無力感がのしかかっていたようだった。

「貴方も…休んでください。隣の部屋は今はいない両親の寝室になってます。」

「…いや、今は動いていた方が気がまぎれる。起きたばかりのところ申し訳ないが…色々と説明させてくれ」

私は彼の言葉に頷いた。とりあえず今の状況を知る必要はある。彼から聞いた話はこうだった。
ここ最近蛇の獣人を嗅ぎ回る組織の存在を確認していた。蛇の獣人の国王の剣という立場にあった彼は独自にその組織を捜査していたがそんな中よりにもよって王子、王女の三つ子がその組織に拐われてしまった。彼は日々血眼になって彼らを捜していたが組織も尻尾を掴ませない手練れだった。そうしてようやく見つけた頃には悲劇の後で、何もかもが遅かった。
組織は蛇の獣人を兵器として商品扱いし、金持ち達に売り付けようとしていたらしい。私の舞台はデモンストレーションであそこで金持ち達の支援を受け本格的に蛇の獣人を狩るつもりだったらしい。

「酷い…」

「どうしてかな…昔から蛇の獣人は人間から酷い扱いを受けることが多くてな。人間と交わらないように過ごしていたんだが、どこで呪いのことなんて知ったんだが」

「なんで…獣人だって、痛いのだって、怖いのだって愛おしいのだって…全部私たちと一緒なはずでしょ?」

「みんながみんな…君みたいに考えられる人間だったら良かったんだがな」

苦笑する彼の表情は痛々しくてそれは彼がしてきた苦労を物語るようだった。
子供たちも私の考えに驚きの目を向けていた。人間は自分たちを恐れて傷つけてしまう生き物だと思っていたのだから。

「ウィル君から聞きました…その後頭部の傷…幼い頃に人間に傷つけられたって…」

「あぁ…聞いてたのか。俺がちょうどウィルたちと同じくらいの歳の頃…彼らと同じく姿を制御できなくてな。蛇の姿になったまま人間界を走っていたら、運悪くよくない人間に捕まってな…ザックリやられちまった」

彼は後頭部に手をやるとバツの形についた傷を撫でた。皮が剥げているのか皮膚の色が変わったその傷は痛々しい。ウィルから聞いていたその傷は実際に見ると想像以上に大きく、きっとそのせいで髪も剃っているのだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...