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ドキドキワクワク野球拳

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宿屋の一室。俺たちは凶暴な魔物討伐の祝賀会として3人で集まっていた。

「「「かんぱーい」」」

発泡スライムの入ったお酒。俺も最近飲めるようになったので遠慮なく楽しめる。

ところで。

「いや、お前はダメだろ」

「はぁ? 燃やすわよ」

魔法使いは年齢を教えてくれないため本当のこところは分からないが、酒を片手にするその姿は明らかに法に喧嘩を売っている。

対して僧侶は上品に酒を嗜みながら。

「それにしても戦士さんは参加しないのですか?」

ってお前も何ちゃっかり飲んでんだ聖職者。

「それが勇者の顔を今は見たくないんだってさ……あんた何したの?」

「さぁ……あはは。そんなことより何か盛り上がることでも無いのか?」

俺が無理やり話題を逸らすと。

「私に任せなさい!! 今日はいいものを持ってきたわ!」

待ってましたと言わんばかりに、魔法使いは立ち上がって無い胸を張りあげる。

「え、なんかご馳走でもあんの?」

「ほんとうですか!? 魔法使いさん」

「ご馳走はないけど、とびっきり盛り上がる魔法を考えてきたんだから」

ちなみに今僧侶の瞳からハイライトが消えたのを俺は見逃さない。

「魔法かよ。こんなめでたい日に自作魔法なんてやめとけ、おっかない」

「誰に物を言ってるの? この高尚な魔法のエキスパートが考案した魔法名は、そう『野球拳魔法』」

「よし話を聞こう」

ちなみに野球拳とはジャンケンをして負けた者が一枚脱ぐと言う魅惑のゲームだ。深い意味はないがこの場を盛り上げるための手段の一つとしては最高……いや悪くないかなと思う。

「や、野球拳……ですか?」

何かを察したのだろう。僧侶は顔を赤らめながら脱いでいた上着を羽織ろうとすると。

「きゃっ!!」

なんと上着は謎の閃光を放ち僧侶から飛んでいった。

「ふふ、その魔法はもう発動済み。この室内において服を着るという動作はもうできないわ」

「なるほど! もう今から脱ぐことしかできないということか!!」

盛り上がる俺に魔法使いは少し引き気味に。

「……あんた最初の態度に比べて妙にノリがいいわね。まあそうよ、今からジャンケンで負けた人は魔法で服が消し飛ぶわ」

今にも始めたい気分だったが、ここで一抹の不安が脳裏によぎる。

「って……俺四枚しか着てないんだが」

パッと見て僧侶も薄着なのだが、女性なので俺よりかは着込んでいる事だろう。

中でも魔法使い、こいつは魔法着を着ていて明らかに厚着。

「ふふん、さあゲームをはじめましょう」

「おまえ!卑怯だぞ!」

「じゃあやらないの?」

沈黙。

シュワシュワとした飲み物の音が部屋に小さく鳴り響いた。

「やります」

希望と欲望には勝てない。

「あのー私の意見は」

黙って見ていた僧侶がおずおずと手を挙げる。

「それじゃ2人とも、出さなきゃ負けのーー」

「強制!!?」

さあいくぞ、この手で勝利を。

「「「ジャンケンポン」」」






「さあ最後の一枚になったわね」

閃光と共に俺のズボンが弾け飛ぶ。

「勇者様……流石にそれは運がなさすぎですよ」

「お、おかしい……何故勝てない。三連敗なんて……」

「じゃあ次いくわよー、じゃんけんぽん!」

渾身のグー。

流石に四連続ストレートKOなんてありえないだろう。

恐る恐る2人の手を見ると。

「嘘ぉおおお!!!」

自身の完敗に気づくや否や、俺の最後の一枚は消え失せた。

「あっはっは!! 勇者弱すぎ」

「勇者様……」

高らかに笑う魔法使い、指の隙間から視線を寄せる僧侶。

「こ、こんなの!! インチキだ! イカサマだ! 正々堂々戦え!!」

「ブラブラさせながら何言ってんのよ」

「あっ!! ちょっ見るな」

「勇者様、かわいい……」

慌てて手で隠すと、魔法使いが杖をぶんぶんと俺の股間に向けて。

「敗者が隠したらダメでしょ、意味ないじゃない」

「い、いやだ!!」

「というかイカサマなんてしてるわけ無いでしょ。仮にしてたら厚着なんて卑怯な真似しないし」

確かに……というか卑怯な自覚はあったのか。

「はやく手どかしなさい。さもないともうゲームをお開きにするわよ」

なん……だと?

「てことは2人のどちらが裸になるまで続けるつもりなのか?」

「勇者次第ね」

愚か、あまりに愚鈍な提案。

ここで魔法使いの案に乗ることすなわち、俺が2人の裸を見たいです、と呈するようなものである。それはパーティのリーダーとしての信頼に大きく関わるだろう。

従って、勇者である俺が取る決断はひとつ。

「うわ、お粗末ね……身も心も」

「こ、小像さん……!!」

何とでも言うがいい、俺は勇敢なる者と書いて
勇者だ。

「じゃあ僧侶、始めるわよ」

「ちょっ……ちょっと待って下さい。私やるなんて一言も」

「舐め回すように勇者のこと見ながらそれはないんじゃない?」

僧侶はびくっと顔を背けて。

「み、見てない!! 見てないからね!」

耳まで赤くしながら手を前に振る聖職者。

そうだ、言ってやれ魔法使い。こいつ今は清楚ぶってるが、一枚下はドスケベ性色者だ。

「出さなきゃ負けのー」

「あわわわわ」

眼福すぎる野球拳が今、始まった。





それから10回ほどジャンケンは行われただろうか? 

目の前には下着一枚となった魔法使いが涙目で立っている。

「そ、そんな……」

そして今勝敗が決して、魔法使いのお子様パンツが消し飛んだ。

「きゃあああ!!!」

両手で必死に上と下を隠しながらしゃがみ込む魔法使い。健康的なおしりが丸見えとなった。

「やったー! 勝利です!!」

「な、なんで……ありえない」

結果は僧侶が下着すら見せることなく勝利。残念の極みだが、魔法使いの綺麗な桃と因果応報を見ることができたので良しとしよう。

「それよりクマさんパンツかよ……ぷっ」

「ゆ、勇者様! 私も思ってましたけど口に出したらダメですよ!!」

「う、うるさい!! あんた最初に負けたくせに!! あと僧侶も黙りなさい!!」

「おーん? 俺より酷い連敗を見た気がするがなぁ。あれ? あんだけ着込んでたお洋服はどこにいった?」

「ぎぎ……」

ギシギシと歯を噛む魔法使い。だがこれもルールだ、仕方ない。

「ほらほら、手をどかしなさい。敗者が隠したらダメでしょ??」

下手くそな魔法使いの物真似をしながらそう言うと、魔法使いは言葉にならない声を漏らしながらゆっくりと立ち上がった。

「ふんっ 見ればいいじゃない! ありがたく思いなさい!!」

片手に軽く収まりそうな控えめな膨らみ。そのなだらかな曲線の先にある綺麗なピンク色は、見るだけで、興奮するというよりかは先に背徳感を覚える。

正直今にも塔を建設してしまいそうだったが、ここ数日の破廉恥な事件の数々で鍛えられたのか、なんとか耐えることができた。

「ちょっと勇者……私を前にしているというのに何で反応してないのよ!! さては出してきたわね」

慌てて男の証を隠す。

「な、何てこと言うんだよ!! そんなわけ無いだろ! 俺は、仲間のあられもない姿に興奮するような屑ではない!!」

「えー……」

じとっと冷たい視線を送ってくる僧侶は無視だ。

「私のこといつもいつもお子様だと思って……!!」

「そ、そんなことは」

「てりゃ!!」

魔法使いが杖を振りかざしたと同時に、僧侶の衣服が、大人っぽい黒のパンティを残して消滅する。

「えっ…………ひゃああああ!!!!」

両手で掴みきれないほど大きな膨らみ。

それは服の消滅と共に支点を失い、バウンドしながら重力に従った。

急いで隠そうとするも、魔法使いは僧侶を後ろから羽交締めにする。

「や、やめて!! 私勝ったのに!!」

僧侶がじたばたと魔法使いの腕の中を暴れるたびに、たわわな夢と希望がそれ以上に大暴れだ。

あまりの幸せな光景に俺は下半身の違和感に気づかない。

「ほら! 一瞬でおっ立ててるじゃない! このド変態!」

「あ!! た、立ってないぞ!」

「隠せてないわよ! 結局この胸なんでしょ!!」

「触らないで下さいっ、あ……揉まないでっ……!!」

酔いの回った裸の三人は収集のつかないまま、朝まで大騒ぎするのであった。
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