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16. Return!学校へ帰ろう!
しおりを挟む「それでな、急に友達が突然走り出したんだよ、スーパーのセールに間に合わねぇ!って言いながら!」
「あー、そのお友達の気持ちすごく分かります。セールは大事ですからね」
「雪月は、セールとか行ったことあるのか?」
「ええ。中学上がる前までは普通の学校に通っていましたよ。それと私の両親、休日も仕事が忙しくて、負担を減らすために家事は大体私がやってましたから。勿論、料理も」
「へぇ、凄いな!俺は3日も続きそうにないなぁ……」
「慣れたらそうでも無いですよ?」
クスクスと笑いながら、桜城くんと雑談していたが、ふと雨音が小さくなっているのに気がついた。ドアを開けて外を見ると、小雨になっていた。
「桜城くん、小雨になってきました。今なら帰れると思います」
「本当か!なら、帰ろう!」
「ええ。桜城くん、焦らなくて大丈夫なので、安全に、気をつけて帰りましょう」
「おう!」
元気な返事を聞いてから、私は桜城くんに肩を貸して、学校への帰り道を歩いていくのだった。
桜城くんを支えながら歩いている途中、耳鳴りが聞こえてきた。
キーンという嫌な音に顔を顰めると、桜城くんが隣で心配そうに私を見た。
「雪月、大丈夫か?」
「大丈夫です。桜城くんは、自分の心配をしてください。注意力が欠けると転けますよ」
「っと、そうだったな…でも、辛くなったら休もう。雨も止み始めたから大丈夫だ!」
「ありがとうございます。ですが、本当に大丈夫なのでご心配なく」
表面上そう言うものの、やはり耳鳴りは治まらず、酷くなる一方だ。一回力を抜くと立ち上がれなくなりそうなので、奥歯を噛み締めて、一歩一歩を慎重に歩いていく。
歩き続けると、知った道に出た。
「このまま真っ直ぐ行けば、学校に、着きますよ」
「そうなのか!良かった、帰れるんだな、俺達!」
「ええ、ですが、油断禁物、です。滑らない、ように、気をつけ、て……」
「雪月、大丈夫か?一旦休む?」
「いいえ、休む、のは、学校に、着いてから、です」
「でも、息も切れ切れだろ?疲れてるんじゃ……」
「大丈夫、私は、大丈夫です。だから、早く、帰りましょう」
「……分かった」
真っ直ぐ進む。
暗くじめじめとした学校への帰り道。
雨は止んでいた。けれど、そんなことはどうでもよかった。ただ、早く、帰りたい。その一心だった。
学校が見えてきた。それから、グラウンドも。
グラウンドには、先生と何人かの生徒の姿が見えた。会長と副会長、凪、それと……獅子戸先輩?
「おーい!」
桜城くんが私の肩に掛けている方と別の腕を上にあげ、ブンブンと左右に振る
「蓮っ!」
そう言いながら、副会長が走ってきた。そして、桜城くんを抱きしめた。
「良かった、無事で、本当に良かったです……!」
「心配かけてごめんな、雅。でも、雪月がいたから、帰ってこれたんだ!」
「白川さん、ありがとうございます。あなたも無事で良かったです」
「いえ。……副会長、桜城くんは左足首を捻挫してますので、保健室に連れて行ってあげてください」
「そうなんですか、蓮?」
「うん、落ちた時に、ちょっと」
「なら、早く保健室へ行きましょう。白川さん、ここからは僕が」
「でも、雪月……」
「副会長、よろしくお願いします」
桜城くんは、何か言いたげな面持ちで私を見ながらも、副会長にお姫様抱っこされて保健室へ運ばれていった。そして、その後ろを会長がついて行ったのが見えた。
「白川!」
「凪……それに、獅子戸先輩まで……」
「白川、怪我はないか?どこか痛いところは……」
「ありません。私は、大丈夫です……ご心配をおかけして、すみませんでした」
「本当だ、全く。でも、無事で良かった……」
「ごめん、なさい……」
ああ、帰ってこれたんだ。
そう安心した途端、激しい耳鳴りに加え、目眩がして、それと同時に体から力が抜けた。
「「白川!!」」
2人の声が聞こえたが、返事をする気力もなく、そのまま意識が真っ黒に塗りつぶされた。
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