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20. Surprise!推しからの供給!
しおりを挟む生徒会室でのあれこれが終わった後。
私はプリプリと怒りながら家庭科室へ行くために1人で廊下を歩いていると、反対側の廊下から桜城くんがこちらに向かって歩いてきた。
私は、あっ、と声を上げそうになったが、その前に桜城くんが、あっ!と声を上げた。
「雪月じゃん!どうしてここに?」
「少々生徒会室に用があったもので」
私は生徒会室に連行された事を伏せて、嘘ではないが本当でもない事を言った。
「そうなんだ。あ、もしかして、レクリエーションの特典の事?」
そうです。と答えると、桜城くんは興味津々に私の貰った特典について聞いてきた。
「雪月は何貰ったんだ?」
「私はリゾート地旅行のペアチケットを貰いましたよ」
「へぇ!じゃあ、雪月も一緒にリゾート地旅行行けるんだな!」
「いいえ、そのチケットは他の方にお譲りしました」
そう言うと、桜城くんは目を丸くして驚いた。
「えぇ!なんで!?」
「とあるお2人が、どうしてもリゾート地旅行に行きたいと仰ってたので、プレゼントしたんです」
「じゃあ雪月は、行かないのか?」
「そうなりますね」
「そっか……あ!なら、俺の特典でリゾート地旅行のペアチケットと交換して、雪月も一緒に行くのはどうだ?!」
ナイスアイデアだろ!と言わんばかりの目でこちらを見る桜城くん。まるで褒めて欲しいと強請る子犬のようだった。
「提案はありがたいのですが、ペアを見つけるのも一苦労ですし……桜城くんのお友達の岩水くんと鮫島くんを誘うのはいかがですか?」
「それもいいな!あ、でも、そうなると雪月が……」
うーん……と1人で悩み始めた桜城くんを見て、私は別に行かなくてもいいんですが……という言葉を言うタイミングを見失った。
「白川?」
その時、聞き覚えのある低い声が耳を打つ。声が聞こえた方に目を向けると、そこには獅子戸先輩がいた。
「獅子戸先輩、こんにちは。奇遇ですね、こんな所で会うなんて」
「ああ、有栖川にプリントを届けて欲しいと言われてな。生徒会室に行く途中なんだ」
そうなんですね、と言うと、獅子戸先輩をじっと見ていた桜城くんが、あっ!と声を上げる。
「レクリエーションの後、雪月を保健室まで運んできた人だ!」
思い出した!と言うように手を打った桜城くん。
「ん?君は確か……桜城、で合ってるか?」
「ああ!合ってるぞ!」
2人がやり取りしている間、私は獅子戸先輩に会って最初に言った桜城くんの言葉が耳に残っていた。
「えっ……し、獅子戸先輩があの時運んでくださったんですか……?凪じゃなくて?」
「ああ、倒れた直後に支えたのが俺だったからな。俺が保健室まで運んで、その間、黒瀬は白川の着替えを取りに行ったんだ」
き、聞いてないですよ凪……!!先に言っといてくださいよ!!!とここにはいない凪に心の中で盛大に喚き散らす。
「そ、その節は、大変ご迷惑をおかけしました!てっきり凪が運んだものかと……お詫びが遅くなってしまい、すみません……」
「気にするな。それよりも元気になったようで良かった」
ペコペコと謝る私に、そんなに謝らなくてもいい。と言ってくれた獅子戸先輩。
「そういえば、白川達は何故ここに?」
「私は用事を済ませたので部活動へ行く途中です」
「俺はレクリエーションの特典を貰いに生徒会室に行こうと思って!」
あ、そうだ!聞いてくれ!と獅子戸先輩に詰め寄る桜城くん。
「雪月がレクリエーションの特典を、他の人に譲ったんだ!それもリゾート地旅行のペアチケット!」
そうなのか?とこちらを見る獅子戸先輩に、はい。と返事をする。
「特に欲しい物も無かったですし」
嘘だ、本当は欲しい物がいくつかあった。まぁ全て調理系のグッズなのだが。
パスタを作るマシンとか、燻製器とか、ホットサンドメーカーとか、アイスクリームメーカーとか、ノンフライ調理器具とか!!どれにしようかな~って、夜な夜な考えてたのに!
だが、これらは買おうと思えば買える品物で、私は特典で、リゾート地旅行の事で言い合う2人からの『安寧』を得たのだ。『安寧』はお金で買えないから。そう、これで良かったのだ。
「なら、俺と行かないか?丁度誘おうと思っていたんだ」
「へ?」
キョトンとする私に獅子戸先輩は、カバンから封筒を取り出した。中身はリゾート地旅行のペアチケットだった。
「鬼側の2位になった特典なんだが、日頃世話になっている白川に礼がしたくてな……どうだろう、一緒に行ってはくれないだろうか?」
お、推しからのお誘い…………?あれ……これ、もしかして夢?と思い、頬を抓るも痛みを感じたため、現実だと認識する。
「わ、私なんかで良いのですか?」
「ああ。白川が嫌でなければだが」
「嫌じゃないです!」
獅子戸先輩の言葉に食い気味に答える。
驚いた様子の獅子戸先輩に私は、あっ、すみません……と小さく謝る。
「えっと、嬉しいです……その、誘っていただいて。私でよろしければ、是非、ご一緒させてください」
昂る気持ちを抑えて、普段の自分を装って答える。
良かった、と安心したように笑う獅子戸先輩をもっと見ていたかったが、用事があるのに引き止めておけない。
「では、私はそろそろ失礼します。獅子戸先輩、誘っていただいてありがとうございます」
「ああ、こちらこそ誘いに乗ってくれてありがとう」
じゃあまた、と言って生徒会室に向かった獅子戸先輩を見送る。
「良かった!これで雪月も一緒に旅行できるな!」
「そうですね、獅子戸先輩に感謝です」
「俺も生徒会室に行って、交換してもらってくる!」
また明日!と元気よく生徒会室に行く桜城くんに手を振り、私は背を向けて歩き出した。
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