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第5章:「子爵になって、神の使徒になって、婚約もして。あ、魔の森の開拓もありました。貴族って、こんなに忙しいものなんですか?」
第59話「王都への出発と再会」
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第59話「伯爵への昇叙と新たな決意」
ある朝。
辺境伯領・旧辺境伯邸。
レンの屋敷。
2階の寝室。
レンが、目を覚ます。
朝日が、窓から差し込んでいる。
アラクネが、胸の上で丸くなっている。
「キュルル~」
「おはよう、アラクネ」
レンが、優しく撫でる。
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
(今日だ……)
レンが、考える。
(第2回領地査察の報告……)
(結果次第で、爵位が上がるかもしれない……)
レンが、起き上がる。
アラクネが、肩に移動する。
「キュルル~」
「今日は、大事な日だ」
レンが、言う。
「キュルル!」
アラクネが、元気に答える。
レンが、身支度を整える。
子爵の正装。
白いシャツ、黒いズボン、紺色のジャケット。
鏡で、確認する。
「よし……」
レンが、頷く。
ノックの音。
「レン様、失礼いたします」
エドガーの声。
「はい、どうぞ」
レンが、答える。
扉が開く。
エドガーが、入ってくる。
黒髪、青い瞳。
端正な顔立ち。
執事服が、完璧に似合っている。
「おはようございます、レン様」
エドガーが、深々とお辞儀する。
「おはよう、エドガー」
レンが、微笑む。
「朝食の準備ができております」
エドガーが、言う。
「分かった。すぐに行く」
朝食と出発準備
食堂
1階の食堂。
大きなテーブル。
既に、グンターとスチュアートが座っている。
「おはようございます、レン様」
スチュアートが、立ち上がって頭を下げる。
白髪の老執事。
穏やかな表情。
「おはよう、スチュアート」
レンが、微笑む。
「おはようございます、レン様」
グンターが、丁寧に頭を下げる。
ドワーフの鍛冶師。
立派な灰色の髭。
「おはよう、グンター」
レンが、席に着く。
エドガーも、席に着く。
その時――
扉が開く。
マルタが、料理を運んでくる。
ふくよかな体型。
優しそうな笑顔。
「おはようございます、レン様」
マルタが、にこやかに言う。
「おはよう、マルタ」
レンが、微笑む。
マルタが、テーブルに料理を並べる。
焼きたてのパン。
スープ。
卵料理。
ベーコン。
サラダ。
美味しそうな香り。
「今日も、美味しそうだ」
レンが、言う。
「ありがとうございます、レン様」
マルタが、嬉しそうに微笑む。
「それでは、いただきます」
レン、エドガー、グンター、スチュアート。
4人で、朝食を始める。
朝食中の会話
「レン様」
スチュアートが、言う。
「はい」
レンが、顔を上げる。
「今日は、王宮での報告ですね」
スチュアートが、確認する。
「はい。第2回領地査察の結果を、陛下に報告します」
レンが、答える。
「素晴らしい成果です」
スチュアートが、微笑む。
「4600人の移民受け入れ、314km²の開拓、周囲90kmの城壁建設……」
「国王陛下は、必ずやあなた様の功績を高く評価されるでしょう」
「ありがとうございます」
レンが、頭を下げる。
「陛下への謁見の作法、覚えていらっしゃいますか?」
エドガーが、レンに確認する。
「はい。スチュアートさんに教わった通りに」
レンが、頷く。
「跪いて、報告書を差し出す」
「陛下の許可があるまで、顔を上げない」
「質問には、簡潔に答える」
「完璧です」
スチュアートが、満足そうに頷く。
「エドガーも、よく教えましたね」
「スチュアート様に、ご指導いただいたおかげです」
エドガーが、謙遜する。
(エドガーは、スチュアートから、この国の貴族の作法を学んでいる……)
レンが、考える。
(元は他国の貴族だから、この国のしきたりには詳しくなかったからな……)
「レン様」
グンターが、丁寧に言う。
「はい、グンター」
「今日は、誰をお連れになりますか?」
グンターが、聞く。
「エドガー、グンター、ライカを連れて行きます」
レンが、答える。
「かしこまりました」
グンターが、頷く。
「準備をしておきます」
朝食を終える。
出発準備
玄関前。
レン、エドガー、グンター、ライカが、準備をしている。
スチュアートが、見送りに来ている。
「レン様、行ってらっしゃいませ」
スチュアートが、深々とお辞儀する。
「はい、行ってきます」
レンが、微笑む。
「良い報告ができるよう、祈っております」
スチュアートが、続ける。
「ありがとう」
その時――
隣の門から、二人の人影が現れる。
辺境伯ヴォルフガング。
アリシア。
「おや、レン様」
辺境伯が、声をかける。
「辺境伯様、おはようございます」
レンが、頭を下げる。
「おはようございます、レン様」
アリシアが、微笑む。
「今日は、王都へ?」
辺境伯が、聞く。
「はい。領地査察の報告に参ります」
レンが、答える。
「そうか。きっと、良い結果になるだろう」
辺境伯が、微笑む。
「ありがとうございます」
「レン様」
アリシアが、言う。
「はい」
「昨夜、エリザベート様と携帯電話でお話ししました」
アリシアが、嬉しそうに言う。
「!」
レンが、微笑む。
「また長電話でしたか?」
レンが、苦笑する。
「はい……」
アリシアが、少し照れる。
「レン様が伯爵に叙される可能性があることをお伝えしたら、エリザベート様がとても喜ばれて……つい、話が弾んでしまって……」
「お父様に注意されませんでしたか?」
レンが、聞く。
「……はい、注意されました……」
アリシアが、顔を赤らめる。
「でも、エリザベート様とお話しするのは楽しいんです」
辺境伯が、苦笑する。
「またか、アリシア」
「すみません、お父様……」
アリシアが、小さくなる。
レンが、微笑む。
「エリザベート様も、きっと喜んでくださるでしょう」
「はい!」
アリシアが、嬉しそうに答える。
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
(アリシアとエリザベート様は、携帯電話で頻繁に話している……)
レンが、思い出す。
(学園時代からの友人だ……)
(長電話で注意されるほど……)
「では、行ってまいります」
レンが、辺境伯とアリシアに頭を下げる。
「うむ。頑張ってこい」
辺境伯が、頷く。
「行ってらっしゃい、レン様」
アリシアが、手を振る。
「転移」
光が、4人を包む。
転移魔法で、王都へ。
王宮での報告
王都到着
王都の転移門広場。
光が、消える。
レン、エドガー、グンター、ライカが、出現する。
「王都だ……」
レンが、周囲を見渡す。
相変わらず、活気に満ちた街。
「王宮へ行きましょう」
エドガーが、言う。
「はい」
4人が、王宮へ向かう。
王宮
巨大な王宮。
正門で、衛兵が待っている。
「子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトです。陛下に謁見を申請しています」
レンが、言う。
衛兵が、名簿を確認する。
「確認しました。お入りください、グリューンヴァルト子爵閣下」
門が、開く。
レンたちが、王宮に入る。
謁見の間。
国王が、玉座に座っている。
両脇に、大臣たちが並んでいる。
レンが、前に進む。
エドガー、グンター、ライカは、後方で待機する。
「陛下、子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトが参上いたしました」
レンが、跪く。
(スチュアートさんに教わった通り……)
レンが、考える。
(陛下の許可があるまで、顔を上げない……)
「うむ、よく来た、レンアスカ」
国王が、言う。
「顔を上げよ」
レンが、顔を上げる。
国王と、目が合う。
国王は、穏やかに微笑んでいる。
(国王陛下……)
レンが、思う。
(公の場では、私が臣下として振る舞う……)
(私的な場では、対等な関係……)
(あの時の約束通り……)
「領地査察の結果を、報告せよ」
国王が、命じる。
「はい、陛下」
レンが、報告書を差し出す。
侍従が、報告書を受け取り、国王に渡す。
国王が、報告書を読む。
「……」
しばらくの沈黙。
そして――
「!」
国王の目が、見開かれる。
「これは……」
国王が、呟く。
「4600人の移民受け入れ……」
「314km²の開拓……」
「周囲90kmの城壁建設……」
「信じられん……」
大臣たちも、ざわめく。
「4600人……!?」
「314km²……!?」
「城壁90km……!?」
「グリューンヴァルト子爵が……」
「レンアスカ」
国王が、言う。
「これは、本当か?」
「はい、陛下。全て事実でございます」
レンが、答える。
「証拠を、お見せします」
レンが、空間収納から魔導具を取り出す。
薄い板状の魔導具。
「!」
国王が、驚く。
「これは……何だ?」
大臣たちも、ざわめく。
「見たことのない魔導具……」
「何に使うのだ……?」
「陛下」
レンが、説明する。
「これは、モニターと呼ぶ魔導具です」
「モニター……?」
国王が、聞き返す。
「はい。映像を映し出す魔導具です」
「映像……?」
大臣の一人が、聞く。
「はい」
レンが、頷く。
「映像とは……目で見た景色を、魔法で記録し、後から見ることができるものです」
「!」
謁見の間が、どよめく。
「景色を記録……!?」
「そのような魔法が……!?」
「実際に、お見せいたします」
レンが、言う。
レンが、モニターを机に置く。
モニターを操作する。
画面に、映像が映る。
「!」
国王が、驚愕する。
大臣たちも、目を見開く。
モニターの中に、景色が映っている。
レンの領地、グリューンヴァルト領。
広大な開拓地。
整然と並ぶ住宅。
畑、果樹園、牧場。
そして――
巨大な城壁。
全てが、映し出される。
「これは……」
国王が、呆然とする。
「本当に……景色が……」
「動いている……!」
大臣の一人が、叫ぶ。
映像の中で、人々が歩いている。
「信じられん……」
「魔法で、景色を記録できるとは……」
謁見の間が、騒然とする。
レンが、説明を続ける。
「これは、私の領地グリューンヴァルトを撮影したものです」
「撮影……?」
国王が、聞く。
「はい。景色を記録することを、撮影と呼びます」
「なるほど……」
国王が、頷く。
映像が、続く。
街を歩く移民たち。
笑顔で働く人々。
子供たちが遊んでいる。
活気に満ちた、領地。
「素晴らしい……」
国王が、感嘆する。
そして――
映像に、果樹園が映る。
整然と並ぶ果樹。
リンゴ、梨、桃、ぶどう……
様々な果樹が、実を付けている。
「!」
国王が、驚く。
「待て」
国王が、言う。
「この果樹園は……」
「はい、陛下」
レンが、答える。
「果樹園です」
「だが……」
国王が、眉をひそめる。
「果樹園は、数年かかるはずだ」
「木を植えてから、実がなるまで……」
「少なくとも3年、長ければ5年以上……」
「どうやって、わずか数ヶ月で果樹園を作ったのだ?」
レンが、説明する。
「はい、陛下」
「開拓中に、野生の果樹を見つけました」
「森の中に、自生していたのです」
「それらを、種類ごとに分けて、果樹園としてまとめました」
「なるほど……」
国王が、納得する。
「野生の果樹を……」
「移植したのか……」
「はい」
レンが、頷く。
「成木を移植しましたので、すぐに実がなります」
「そういうことか……」
国王が、理解する。
「賢い方法だ」
大臣たちも、感心する。
「野生の果樹を利用するとは……」
「普通は思いつかない……」
映像が、続く。
巨大な城壁。
高さ10メートル。
周囲90km。
圧倒的な存在感。
「……」
国王が、言葉を失う。
「本当に……これほどまでに……」
国王が、呟く。
「これが……わずか数ヶ月の成果か……」
「はい、陛下」
レンが、頷く。
爵位授与の決定
国王が、大臣たちと相談する。
小声で、話し合う。
しばらくして――
国王が、レンに向き直る。
「レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
国王が、宣言する。
「!」
「あなたの功績は、計り知れない」
「4600人の移民受け入れ、314km²の開拓、城壁建設……」
「これらは、通常なら数百年はかかる偉業だ」
「!」
大臣たちが、驚愕する。
「数百年……!」
「確かに……」
「一代では不可能な規模……」
「あなたは、わずか数ヶ月でそれを成し遂げた」
「よって――」
国王が、立ち上がる。
「あなたを、伯爵に叙す」
「!」
謁見の間に、どよめきが起こる。
「伯爵……!」
「子爵から、伯爵に……!」
「グリューンヴァルト家が……」
大臣たちが、驚愕する。
レンも、驚く。
(伯爵……!)
レンが、心の中で叫ぶ。
(子爵から、伯爵に……!)
(これで、エリザベート様の婚約者として、さらにふさわしい地位に……)
「跪け、レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
国王が、命じる。
レンが、跪く。
国王が、剣を取る。
レンの両肩に、剣を置く。
「子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトを、伯爵に叙す」
国王が、宣言する。
「今日より、あなたは伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトである」
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
「そして――」
国王が、続ける。
「!」
レンが、顔を上げる。
「あなたが建設を予定している、ダンジョン・タワーが完成した暁には……」
「あなたを、侯爵に叙することを約束する」
「!」
謁見の間が、再びどよめく。
「侯爵……!」
「伯爵から、さらに侯爵に……!」
「前代未聞……!」
大臣たちが、驚愕する。
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
「さらに――」
国王が、宣言する。
「ここに、正式に発表する」
「伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトと、第2王女エリザベート・フォン・アルデリアの婚約を、ここに認める」
「!」
謁見の間が、さらに騒然とする。
「王女との婚約……!」
「公式に発表された……!」
「グリューンヴァルト伯爵が、王族と……!」
大臣たちが、興奮する。
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
(エリザベート様との婚約が……)
レンが、考える。
(正式に、公表された……)
(これで、私たちの関係は……)
(王国中に知られることになる……)
「顔を上げよ、伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
レンが、顔を上げる。
「おめでとう、レンアスカ」
国王が、微笑む。
「これからも、領地の発展に尽くしてくれ」
「そして、エリザベートを幸せにしてやってくれ」
「はい、陛下」
レンが、力強く答える。
「必ず、エリザベート様を幸せにします」
祝福
謁見の後。
大臣たちが、レンに近づいてくる。
「おめでとうございます、グリューンヴァルト伯爵閣下」
「素晴らしい功績です」
「そして、王女殿下との婚約、心よりお祝い申し上げます」
「これからも、頑張ってください」
次々と、祝福の言葉。
「ありがとうございます」
レンが、頭を下げる。
王女エリザベートとの謁見
王女の私室へ
謁見の後。
侍女が、レンに近づく。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
「はい」
「エリザベート様が、お呼びです」
「!」
レンが、顔を上げる。
「分かりました」
レンが、エドガーたちに言う。
「少し、エリザベート様のところへ行ってくる」
「はい、レン様」
エドガーが、頷く。
「ここで、お待ちしております」
王女の私室
豪華な私室。
王女エリザベートが、待っている。
金色の髪。
青い瞳。
美しい顔立ち。
第2王女、エリザベート。
レンの婚約者。
「レン様、おめでとうございます」
エリザベートが、微笑む。
「ありがとうございます、エリザベート様」
レンが、頭を下げる。
「伯爵への叙爵……そして、婚約の公表……」
エリザベートが、言う。
「これで、私たちの婚約は、王国中に知られることになります」
「はい」
レンが、頷く。
「あなた様の功績は、素晴らしいです」
エリザベートが、続ける。
「数百年かかる偉業を、わずか数ヶ月で成し遂げるなんて……」
「恐縮です」
レンが、謙遜する。
「それと……」
エリザベートが、続ける。
「昨夜、アリシアと携帯電話でお話ししました」
「!」
レンが、顔を上げる。
「また長電話でしたね」
レンが、苦笑する。
「はい……つい、話が弾んでしまって……」
エリザベートが、少し照れる。
「アリシアから、あなた様の素晴らしい成果を詳しく聞きました」
「私も、とても嬉しいです」
「私の婚約者が、これほどまでに素晴らしい方だと……」
「誇りに思います」
「ありがとうございます」
レンが、照れる。
「アリシアとは、学園時代からの友人です」
エリザベートが、言う。
「携帯電話ができてから、以前よりもっと頻繁にお話しできるようになりました」
「彼女と話すのは、いつも楽しいです」
「そして……」
エリザベートが、真剣な表情になる。
「あなた様を支える夫人として、彼女(アリシア)と共にあなた様を支えます………よろしくお願いします、レン様」
「こちらこそ、よろしくお願いします、エリザベート様」
レンが、深く頭を下げる。
「ところで……」
エリザベートが、続ける。
「次は、何をされるのですか?」
「はい」
レンが、答える。
「ダンジョン・タワーを建設します」
「ダンジョン・タワー……」
エリザベートが、繰り返す。
「はい。高さ100メートル、地上30階の建物です」
レンが、説明する。
「ダンジョンの管理、冒険者の受付、訓練施設……全てを兼ね備えた施設です」
「!」
エリザベートが、驚く。
「高さ100メートル……!」
「はい」
レンが、頷く。
「完成したら、また報告に参ります」
「そして、陛下が約束してくださった通り……」
「侯爵に叙していただけるよう、頑張ります」
「楽しみにしています」
エリザベートが、微笑む。
「それと……」
エリザベートが、声を落とす。
「私の父、国王陛下が……」
「あなた様を、大変気に入っておられます」
「!」
レンが、驚く。
「これからも、期待していると……」
エリザベートが、言う。
「はい……精一杯、頑張ります……」
レンが、決意する。
(これで……エリザベート様との関係も、さらに深まった……)
レンが、心の中で思う。
(伯爵になった……)
(次は、侯爵……そして、公爵……)
(頑張ろう……)
辞去
レンが、王女の私室を辞する。
「それでは、失礼いたします」
レンが、頭を下げる。
「はい。お気をつけて」
エリザベートが、微笑む。
「それと……」
エリザベートが、付け加える。
「アリシアに、よろしくお伝えください」
「はい」
レンが、頷く。
レンが、部屋を出る。
屋敷への帰還
帰還
レンたちが、転移魔法で辺境伯領に戻る。
「転移」
光が、4人を包む。
一瞬。
光が、消える。
旧辺境伯邸。
レンの屋敷。
玄関前。
スチュアートが、待っている。
「お帰りなさいませ、レン様」
スチュアートが、深々とお辞儀する。
「ただいま、スチュアート」
レンが、微笑む。
「どうでしたか?」
スチュアートが、聞く。
「はい」
レンが、答える。
「伯爵に叙されました」
「!」
スチュアートが、驚く。
そして――
深々と、頭を下げる。
「おめでとうございます、グリューンヴァルト伯爵閣下」
「ありがとう、スチュアート」
レンが、微笑む。
「そして……」
レンが、続ける。
「エリザベート様との婚約が、正式に公表されました」
「!」
スチュアートが、さらに驚く。
「それは……素晴らしい!」
「王女殿下との婚約が、公式に……」
「おめでとうございます、レン様」
その時――
隣の門から、二人の人影が駆けてくる。
辺境伯ヴォルフガング。
アリシア。
「レン様!」
アリシアが、叫ぶ。
「お帰りなさい!」
「ただいま、アリシア」
レンが、微笑む。
「どうでしたか?」
辺境伯が、聞く。
「はい」
レンが、答える。
「伯爵に叙されました」
「!」
辺境伯とアリシアが、驚く。
「伯爵……!」
アリシアが、叫ぶ。
「おめでとうございます、レン様!」
「素晴らしい!」
辺境伯が、喜ぶ。
「子爵から、伯爵に……」
「そして……」
レンが、続ける。
「ダンジョン・タワーが完成したら、侯爵に叙すると、陛下が約束してくださいました」
「!」
二人が、さらに驚く。
「侯爵……!」
辺境伯が、感嘆する。
「それは、凄い!」
「そして……」
レンが、アリシアに言う。
「エリザベート様との婚約が、正式に公表されました」
「!」
アリシアが、嬉しそうに微笑む。
「おめでとうございます、レン様!」
「エリザベート様も、きっとお喜びです!」
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
「それと……」
レンが、アリシアに言う。
「エリザベート様から、よろしくとのことでした」
「!」
アリシアが、嬉しそうに微笑む。
「ありがとうございます」
「昨夜の長電話のこと、お話しされたそうです」
レンが、微笑む。
「はい……」
アリシアが、照れる。
「エリザベート様も、伯爵への叙爵を祝福してくださいました」
「そうですか……」
アリシアが、幸せそうに微笑む。
「祝宴を開きましょう!」
辺境伯が、言う。
「レン様の屋敷で!」
「え?でも……」
レンが、戸惑う。
「良いではないか」
辺境伯が、微笑む。
「グリューンヴァルト伯爵の叙爵を、盛大に祝おう」
「そして、王女殿下との婚約の公表も」
「では……」
レンが、頷く。
「皆を呼びましょう」
祝宴
準備
レンの屋敷。
大広間。
スチュアートが、準備を指揮する。
「マルタ、料理を頼む」
「はい!」
マルタが、元気に答える。
低層マンションから、駆けてくる。
「ガレス、オーウェン、リディア、手伝ってくれ」
「はい」
ガレス一家が、答える。
エミリアも、マルタを手伝う。
子供たち(フィン、トム、リサ、アン)は、庭で遊んでいる。
獣人3人(ザンガ、ガルド、レイド)は、警備を続けている。
ザンガが、レンに近づく。
「レン様、伯爵への昇叙、おめでとうございます」
ザンガが、敬意を持って頭を下げる。
「ありがとう、ザンガ」
ガルドとレイドも、警備の合間に頭を下げる。
ドワーフ5人組(ガルム、ブロス、ドレン、ハーグ、ニル)は、工場から戻ってくる。
「レン様」
ガルムが、敬意を持って頭を下げる。
「伯爵への昇叙、心よりお祝い申し上げます」
「ありがとう、ガルム」
レンが、微笑む。
「これからも、レン様のために働かせていただきます」
ブロスが、言う。
「ありがとう、皆」
レンが、感謝する。
「これからも、よろしく頼む」
「はい、レン様」
ドワーフたちが、声を揃える。
祝宴開始
夕方。
大広間。
豪華な料理が並ぶ。
レン、エドガー、グンター、スチュアート。
辺境伯ヴォルフガング、アリシア。
ガレス一家5人。
カイル一家(カイル、エミリア、子供たちは別室で)。
ドワーフ5人組。
大人たちが、テーブルに座る。
「それでは……」
辺境伯が、杯を掲げる。
「乾杯!」
「伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトの、叙爵を祝して!」
「そして、王女エリザベート殿下との婚約の公表を祝して!」
「乾杯!」
全員が、声を揃える。
宴が、始まる。
美味しい料理。
美味しい酒。
会話が、弾む。
会話
「レン様」
アリシアが、話しかけてくる。
「はい、アリシア」
「伯爵様……本当におめでとうございます」
アリシアが、嬉しそうに言う。
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
「これも、皆さんのおかげです」
「いえ……レン様の努力の賜物です……」
アリシアが、首を振る。
「私は……何もしていません……」
「そんなことはありません」
レンが、言う。
「アリシアは、いつも私を支えてくれています」
「エリザベート様との連絡も、いつもありがとう」
「!」
アリシアが、顔を赤らめる。
「あ、ありがとうございます……」
「エリザベート様は、アリシアとの電話をいつも楽しみにしておられるそうです」
レンが、言う。
「学園時代からの友人として、これからもよろしくお願いします」
「はい!」
アリシアが、嬉しそうに答える。
「エリザベート様と一緒に、レン様を支えます!」
「レン様」
グンターが、丁寧に言う。
「はい、グンター」
「次は、何を建設されますか?」
「ダンジョン・タワーです」
レンが、答える。
「高さ100メートル、地上30階の建物を建てます」
「100メートル……!」
ドワーフたちが、驚く。
「そのような高い建物……」
ガルムが、敬意を込めて言う。
「レン様なら、必ずお作りになれると信じております」
「我々も、全力でお手伝いさせていただきます」
ブロスが、言う。
「ありがとう」
レンが、微笑む。
「期待しています」
宴が、続く。
監視カメラの最終調整
翌日
レンの屋敷。
工房。
レンが、シンリと共に、監視カメラの最終調整をしている。
「シンリ、録画機能のテストをしてください」
レンが、言う。
「はい、レン様」
シンリが、魔導具を操作する。
モニターに、映像が映る。
リアルタイムの映像。
「録画開始」
シンリが、言う。
レンが、手を振る。
映像に、レンが映る。
「録画停止」
「再生」
モニターに、先ほどの映像が再生される。
レンが手を振る場面。
「完璧です」
シンリが、報告する。
「録画機能、正常に動作しています」
「よし」
レンが、満足する。
「これで、監視カメラシステムは完成だ」
ドワーフたちへの説明
同じ日の午後。
レンが、ドワーフ5人組に、監視カメラの量産を依頼する。
工房。
「これが、監視カメラです」
レンが、魔導具ドローンを見せる。
「!」
ドワーフたちが、驚く。
「これは……飛ぶのですか……?」
ガルムが、敬意を持って聞く。
「はい。魔力で浮遊し、撮影します」
レンが、説明する。
「そして、隠蔽魔法で姿を隠します」
「素晴らしい……」
ブロスが、感嘆する。
「これを、800台作りたいのです」
「材料は、こちらで用意します」
レンが、クラフト魔法で材料を作る。
大量の部品が次々と、出現する。
「!」
ドワーフたちが、驚愕する。
「850セット、少し余裕を持って用意しおきました」
ガルムが、呆然とする。
「さすが、レン様……」
ニルが、感嘆する。
「それと魔法陣の型も渡しておきますね。今後はこちらも商品として売り出す事になるかもしれないので、今回はこちらで材料を用意しましたが、材料の調達ルートも作っておいて下さい」
「はい」
「あ、そうだ!但し魔石だけは私が用意します。開拓で大量に手に入れましたし、必要なランクの魔石に変換することもできますので。足りなくなったら言って下さい」
「はい、判りました。では、早速作業を開始させていただきます」
ブロスが、言う。
ドワーフたちが、作業を始める。
その夜
レンの屋敷。
2階の寝室。
レンが、ベッドに横になる。
アラクネが、胸の上に乗る。
「キュルル~」
「今日も、色々あったな……」
レンが、呟く。
(伯爵に叙された……)
レンが、考える。
(子爵から、伯爵に……)
(そして、ダンジョン・タワー完成後は、侯爵に……)
(エリザベート様との婚約も、正式に公表された……)
(これで、私たちの関係は、王国中に知られることになる……)
(エリザベート様も、喜んでくださった……)
(アリシアとエリザベート様は、携帯電話で頻繁に話している……)
(友人として協力してくれる……)
(そして……)
(皆が、私を支えてくれている……)
(エドガー、グンター、スチュアート……)
(ガレスたちも、ドワーフたちも、獣人たちも……)
(感謝しないと……)
(次は、侯爵……そして、公爵……)
(まだまだ、先は長い……)
(でも……頑張ろう……)
その時――
念話が、響く。
『レン様!』
エリシアの声。
『エリシア様』
レンが、答える。
『伯爵への叙爵、本当におめでとうございます!!』
エリシアが、喜ぶ。
『ありがとうございます、エリシア様』
『そして、エリザベート様との婚約の公表も!』
『はい』
『私も、すごく嬉しいです!!』
エリシアが、興奮している。
『レン様が、どんどん偉くなっていく……』
『私も、頑張らないと……』
『エリシア様も、十分頑張っていますよ』
レンが、励ます。
『ありがとうございます……』
エリシアが、嬉しそうに言う。
『それと……明日から、ダンジョン・タワーの建設ですね!』
『はい。頑張ります』
『応援しています!おやすみなさい!』
『おやすみなさい、エリシア様』
念話が、切れる。
レンが、目を閉じる。
(明日から、ダンジョン・タワーの建設だ……)
レンが、考える。
(高さ100メートル、地上30階……)
(完成させて、侯爵になろう……)
レンが、静かに眠りにつく。
明日への、期待を胸に。
第59話 完
次回予告:
第60話「ダンジョン・タワーとダンジョンマスター就任」
ある朝。
辺境伯領・旧辺境伯邸。
レンの屋敷。
2階の寝室。
レンが、目を覚ます。
朝日が、窓から差し込んでいる。
アラクネが、胸の上で丸くなっている。
「キュルル~」
「おはよう、アラクネ」
レンが、優しく撫でる。
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
(今日だ……)
レンが、考える。
(第2回領地査察の報告……)
(結果次第で、爵位が上がるかもしれない……)
レンが、起き上がる。
アラクネが、肩に移動する。
「キュルル~」
「今日は、大事な日だ」
レンが、言う。
「キュルル!」
アラクネが、元気に答える。
レンが、身支度を整える。
子爵の正装。
白いシャツ、黒いズボン、紺色のジャケット。
鏡で、確認する。
「よし……」
レンが、頷く。
ノックの音。
「レン様、失礼いたします」
エドガーの声。
「はい、どうぞ」
レンが、答える。
扉が開く。
エドガーが、入ってくる。
黒髪、青い瞳。
端正な顔立ち。
執事服が、完璧に似合っている。
「おはようございます、レン様」
エドガーが、深々とお辞儀する。
「おはよう、エドガー」
レンが、微笑む。
「朝食の準備ができております」
エドガーが、言う。
「分かった。すぐに行く」
朝食と出発準備
食堂
1階の食堂。
大きなテーブル。
既に、グンターとスチュアートが座っている。
「おはようございます、レン様」
スチュアートが、立ち上がって頭を下げる。
白髪の老執事。
穏やかな表情。
「おはよう、スチュアート」
レンが、微笑む。
「おはようございます、レン様」
グンターが、丁寧に頭を下げる。
ドワーフの鍛冶師。
立派な灰色の髭。
「おはよう、グンター」
レンが、席に着く。
エドガーも、席に着く。
その時――
扉が開く。
マルタが、料理を運んでくる。
ふくよかな体型。
優しそうな笑顔。
「おはようございます、レン様」
マルタが、にこやかに言う。
「おはよう、マルタ」
レンが、微笑む。
マルタが、テーブルに料理を並べる。
焼きたてのパン。
スープ。
卵料理。
ベーコン。
サラダ。
美味しそうな香り。
「今日も、美味しそうだ」
レンが、言う。
「ありがとうございます、レン様」
マルタが、嬉しそうに微笑む。
「それでは、いただきます」
レン、エドガー、グンター、スチュアート。
4人で、朝食を始める。
朝食中の会話
「レン様」
スチュアートが、言う。
「はい」
レンが、顔を上げる。
「今日は、王宮での報告ですね」
スチュアートが、確認する。
「はい。第2回領地査察の結果を、陛下に報告します」
レンが、答える。
「素晴らしい成果です」
スチュアートが、微笑む。
「4600人の移民受け入れ、314km²の開拓、周囲90kmの城壁建設……」
「国王陛下は、必ずやあなた様の功績を高く評価されるでしょう」
「ありがとうございます」
レンが、頭を下げる。
「陛下への謁見の作法、覚えていらっしゃいますか?」
エドガーが、レンに確認する。
「はい。スチュアートさんに教わった通りに」
レンが、頷く。
「跪いて、報告書を差し出す」
「陛下の許可があるまで、顔を上げない」
「質問には、簡潔に答える」
「完璧です」
スチュアートが、満足そうに頷く。
「エドガーも、よく教えましたね」
「スチュアート様に、ご指導いただいたおかげです」
エドガーが、謙遜する。
(エドガーは、スチュアートから、この国の貴族の作法を学んでいる……)
レンが、考える。
(元は他国の貴族だから、この国のしきたりには詳しくなかったからな……)
「レン様」
グンターが、丁寧に言う。
「はい、グンター」
「今日は、誰をお連れになりますか?」
グンターが、聞く。
「エドガー、グンター、ライカを連れて行きます」
レンが、答える。
「かしこまりました」
グンターが、頷く。
「準備をしておきます」
朝食を終える。
出発準備
玄関前。
レン、エドガー、グンター、ライカが、準備をしている。
スチュアートが、見送りに来ている。
「レン様、行ってらっしゃいませ」
スチュアートが、深々とお辞儀する。
「はい、行ってきます」
レンが、微笑む。
「良い報告ができるよう、祈っております」
スチュアートが、続ける。
「ありがとう」
その時――
隣の門から、二人の人影が現れる。
辺境伯ヴォルフガング。
アリシア。
「おや、レン様」
辺境伯が、声をかける。
「辺境伯様、おはようございます」
レンが、頭を下げる。
「おはようございます、レン様」
アリシアが、微笑む。
「今日は、王都へ?」
辺境伯が、聞く。
「はい。領地査察の報告に参ります」
レンが、答える。
「そうか。きっと、良い結果になるだろう」
辺境伯が、微笑む。
「ありがとうございます」
「レン様」
アリシアが、言う。
「はい」
「昨夜、エリザベート様と携帯電話でお話ししました」
アリシアが、嬉しそうに言う。
「!」
レンが、微笑む。
「また長電話でしたか?」
レンが、苦笑する。
「はい……」
アリシアが、少し照れる。
「レン様が伯爵に叙される可能性があることをお伝えしたら、エリザベート様がとても喜ばれて……つい、話が弾んでしまって……」
「お父様に注意されませんでしたか?」
レンが、聞く。
「……はい、注意されました……」
アリシアが、顔を赤らめる。
「でも、エリザベート様とお話しするのは楽しいんです」
辺境伯が、苦笑する。
「またか、アリシア」
「すみません、お父様……」
アリシアが、小さくなる。
レンが、微笑む。
「エリザベート様も、きっと喜んでくださるでしょう」
「はい!」
アリシアが、嬉しそうに答える。
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
(アリシアとエリザベート様は、携帯電話で頻繁に話している……)
レンが、思い出す。
(学園時代からの友人だ……)
(長電話で注意されるほど……)
「では、行ってまいります」
レンが、辺境伯とアリシアに頭を下げる。
「うむ。頑張ってこい」
辺境伯が、頷く。
「行ってらっしゃい、レン様」
アリシアが、手を振る。
「転移」
光が、4人を包む。
転移魔法で、王都へ。
王宮での報告
王都到着
王都の転移門広場。
光が、消える。
レン、エドガー、グンター、ライカが、出現する。
「王都だ……」
レンが、周囲を見渡す。
相変わらず、活気に満ちた街。
「王宮へ行きましょう」
エドガーが、言う。
「はい」
4人が、王宮へ向かう。
王宮
巨大な王宮。
正門で、衛兵が待っている。
「子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトです。陛下に謁見を申請しています」
レンが、言う。
衛兵が、名簿を確認する。
「確認しました。お入りください、グリューンヴァルト子爵閣下」
門が、開く。
レンたちが、王宮に入る。
謁見の間。
国王が、玉座に座っている。
両脇に、大臣たちが並んでいる。
レンが、前に進む。
エドガー、グンター、ライカは、後方で待機する。
「陛下、子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトが参上いたしました」
レンが、跪く。
(スチュアートさんに教わった通り……)
レンが、考える。
(陛下の許可があるまで、顔を上げない……)
「うむ、よく来た、レンアスカ」
国王が、言う。
「顔を上げよ」
レンが、顔を上げる。
国王と、目が合う。
国王は、穏やかに微笑んでいる。
(国王陛下……)
レンが、思う。
(公の場では、私が臣下として振る舞う……)
(私的な場では、対等な関係……)
(あの時の約束通り……)
「領地査察の結果を、報告せよ」
国王が、命じる。
「はい、陛下」
レンが、報告書を差し出す。
侍従が、報告書を受け取り、国王に渡す。
国王が、報告書を読む。
「……」
しばらくの沈黙。
そして――
「!」
国王の目が、見開かれる。
「これは……」
国王が、呟く。
「4600人の移民受け入れ……」
「314km²の開拓……」
「周囲90kmの城壁建設……」
「信じられん……」
大臣たちも、ざわめく。
「4600人……!?」
「314km²……!?」
「城壁90km……!?」
「グリューンヴァルト子爵が……」
「レンアスカ」
国王が、言う。
「これは、本当か?」
「はい、陛下。全て事実でございます」
レンが、答える。
「証拠を、お見せします」
レンが、空間収納から魔導具を取り出す。
薄い板状の魔導具。
「!」
国王が、驚く。
「これは……何だ?」
大臣たちも、ざわめく。
「見たことのない魔導具……」
「何に使うのだ……?」
「陛下」
レンが、説明する。
「これは、モニターと呼ぶ魔導具です」
「モニター……?」
国王が、聞き返す。
「はい。映像を映し出す魔導具です」
「映像……?」
大臣の一人が、聞く。
「はい」
レンが、頷く。
「映像とは……目で見た景色を、魔法で記録し、後から見ることができるものです」
「!」
謁見の間が、どよめく。
「景色を記録……!?」
「そのような魔法が……!?」
「実際に、お見せいたします」
レンが、言う。
レンが、モニターを机に置く。
モニターを操作する。
画面に、映像が映る。
「!」
国王が、驚愕する。
大臣たちも、目を見開く。
モニターの中に、景色が映っている。
レンの領地、グリューンヴァルト領。
広大な開拓地。
整然と並ぶ住宅。
畑、果樹園、牧場。
そして――
巨大な城壁。
全てが、映し出される。
「これは……」
国王が、呆然とする。
「本当に……景色が……」
「動いている……!」
大臣の一人が、叫ぶ。
映像の中で、人々が歩いている。
「信じられん……」
「魔法で、景色を記録できるとは……」
謁見の間が、騒然とする。
レンが、説明を続ける。
「これは、私の領地グリューンヴァルトを撮影したものです」
「撮影……?」
国王が、聞く。
「はい。景色を記録することを、撮影と呼びます」
「なるほど……」
国王が、頷く。
映像が、続く。
街を歩く移民たち。
笑顔で働く人々。
子供たちが遊んでいる。
活気に満ちた、領地。
「素晴らしい……」
国王が、感嘆する。
そして――
映像に、果樹園が映る。
整然と並ぶ果樹。
リンゴ、梨、桃、ぶどう……
様々な果樹が、実を付けている。
「!」
国王が、驚く。
「待て」
国王が、言う。
「この果樹園は……」
「はい、陛下」
レンが、答える。
「果樹園です」
「だが……」
国王が、眉をひそめる。
「果樹園は、数年かかるはずだ」
「木を植えてから、実がなるまで……」
「少なくとも3年、長ければ5年以上……」
「どうやって、わずか数ヶ月で果樹園を作ったのだ?」
レンが、説明する。
「はい、陛下」
「開拓中に、野生の果樹を見つけました」
「森の中に、自生していたのです」
「それらを、種類ごとに分けて、果樹園としてまとめました」
「なるほど……」
国王が、納得する。
「野生の果樹を……」
「移植したのか……」
「はい」
レンが、頷く。
「成木を移植しましたので、すぐに実がなります」
「そういうことか……」
国王が、理解する。
「賢い方法だ」
大臣たちも、感心する。
「野生の果樹を利用するとは……」
「普通は思いつかない……」
映像が、続く。
巨大な城壁。
高さ10メートル。
周囲90km。
圧倒的な存在感。
「……」
国王が、言葉を失う。
「本当に……これほどまでに……」
国王が、呟く。
「これが……わずか数ヶ月の成果か……」
「はい、陛下」
レンが、頷く。
爵位授与の決定
国王が、大臣たちと相談する。
小声で、話し合う。
しばらくして――
国王が、レンに向き直る。
「レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
国王が、宣言する。
「!」
「あなたの功績は、計り知れない」
「4600人の移民受け入れ、314km²の開拓、城壁建設……」
「これらは、通常なら数百年はかかる偉業だ」
「!」
大臣たちが、驚愕する。
「数百年……!」
「確かに……」
「一代では不可能な規模……」
「あなたは、わずか数ヶ月でそれを成し遂げた」
「よって――」
国王が、立ち上がる。
「あなたを、伯爵に叙す」
「!」
謁見の間に、どよめきが起こる。
「伯爵……!」
「子爵から、伯爵に……!」
「グリューンヴァルト家が……」
大臣たちが、驚愕する。
レンも、驚く。
(伯爵……!)
レンが、心の中で叫ぶ。
(子爵から、伯爵に……!)
(これで、エリザベート様の婚約者として、さらにふさわしい地位に……)
「跪け、レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
国王が、命じる。
レンが、跪く。
国王が、剣を取る。
レンの両肩に、剣を置く。
「子爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトを、伯爵に叙す」
国王が、宣言する。
「今日より、あなたは伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトである」
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
「そして――」
国王が、続ける。
「!」
レンが、顔を上げる。
「あなたが建設を予定している、ダンジョン・タワーが完成した暁には……」
「あなたを、侯爵に叙することを約束する」
「!」
謁見の間が、再びどよめく。
「侯爵……!」
「伯爵から、さらに侯爵に……!」
「前代未聞……!」
大臣たちが、驚愕する。
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
「さらに――」
国王が、宣言する。
「ここに、正式に発表する」
「伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトと、第2王女エリザベート・フォン・アルデリアの婚約を、ここに認める」
「!」
謁見の間が、さらに騒然とする。
「王女との婚約……!」
「公式に発表された……!」
「グリューンヴァルト伯爵が、王族と……!」
大臣たちが、興奮する。
「ありがたき幸せにございます、陛下」
レンが、深く頭を下げる。
(エリザベート様との婚約が……)
レンが、考える。
(正式に、公表された……)
(これで、私たちの関係は……)
(王国中に知られることになる……)
「顔を上げよ、伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルト」
レンが、顔を上げる。
「おめでとう、レンアスカ」
国王が、微笑む。
「これからも、領地の発展に尽くしてくれ」
「そして、エリザベートを幸せにしてやってくれ」
「はい、陛下」
レンが、力強く答える。
「必ず、エリザベート様を幸せにします」
祝福
謁見の後。
大臣たちが、レンに近づいてくる。
「おめでとうございます、グリューンヴァルト伯爵閣下」
「素晴らしい功績です」
「そして、王女殿下との婚約、心よりお祝い申し上げます」
「これからも、頑張ってください」
次々と、祝福の言葉。
「ありがとうございます」
レンが、頭を下げる。
王女エリザベートとの謁見
王女の私室へ
謁見の後。
侍女が、レンに近づく。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
「はい」
「エリザベート様が、お呼びです」
「!」
レンが、顔を上げる。
「分かりました」
レンが、エドガーたちに言う。
「少し、エリザベート様のところへ行ってくる」
「はい、レン様」
エドガーが、頷く。
「ここで、お待ちしております」
王女の私室
豪華な私室。
王女エリザベートが、待っている。
金色の髪。
青い瞳。
美しい顔立ち。
第2王女、エリザベート。
レンの婚約者。
「レン様、おめでとうございます」
エリザベートが、微笑む。
「ありがとうございます、エリザベート様」
レンが、頭を下げる。
「伯爵への叙爵……そして、婚約の公表……」
エリザベートが、言う。
「これで、私たちの婚約は、王国中に知られることになります」
「はい」
レンが、頷く。
「あなた様の功績は、素晴らしいです」
エリザベートが、続ける。
「数百年かかる偉業を、わずか数ヶ月で成し遂げるなんて……」
「恐縮です」
レンが、謙遜する。
「それと……」
エリザベートが、続ける。
「昨夜、アリシアと携帯電話でお話ししました」
「!」
レンが、顔を上げる。
「また長電話でしたね」
レンが、苦笑する。
「はい……つい、話が弾んでしまって……」
エリザベートが、少し照れる。
「アリシアから、あなた様の素晴らしい成果を詳しく聞きました」
「私も、とても嬉しいです」
「私の婚約者が、これほどまでに素晴らしい方だと……」
「誇りに思います」
「ありがとうございます」
レンが、照れる。
「アリシアとは、学園時代からの友人です」
エリザベートが、言う。
「携帯電話ができてから、以前よりもっと頻繁にお話しできるようになりました」
「彼女と話すのは、いつも楽しいです」
「そして……」
エリザベートが、真剣な表情になる。
「あなた様を支える夫人として、彼女(アリシア)と共にあなた様を支えます………よろしくお願いします、レン様」
「こちらこそ、よろしくお願いします、エリザベート様」
レンが、深く頭を下げる。
「ところで……」
エリザベートが、続ける。
「次は、何をされるのですか?」
「はい」
レンが、答える。
「ダンジョン・タワーを建設します」
「ダンジョン・タワー……」
エリザベートが、繰り返す。
「はい。高さ100メートル、地上30階の建物です」
レンが、説明する。
「ダンジョンの管理、冒険者の受付、訓練施設……全てを兼ね備えた施設です」
「!」
エリザベートが、驚く。
「高さ100メートル……!」
「はい」
レンが、頷く。
「完成したら、また報告に参ります」
「そして、陛下が約束してくださった通り……」
「侯爵に叙していただけるよう、頑張ります」
「楽しみにしています」
エリザベートが、微笑む。
「それと……」
エリザベートが、声を落とす。
「私の父、国王陛下が……」
「あなた様を、大変気に入っておられます」
「!」
レンが、驚く。
「これからも、期待していると……」
エリザベートが、言う。
「はい……精一杯、頑張ります……」
レンが、決意する。
(これで……エリザベート様との関係も、さらに深まった……)
レンが、心の中で思う。
(伯爵になった……)
(次は、侯爵……そして、公爵……)
(頑張ろう……)
辞去
レンが、王女の私室を辞する。
「それでは、失礼いたします」
レンが、頭を下げる。
「はい。お気をつけて」
エリザベートが、微笑む。
「それと……」
エリザベートが、付け加える。
「アリシアに、よろしくお伝えください」
「はい」
レンが、頷く。
レンが、部屋を出る。
屋敷への帰還
帰還
レンたちが、転移魔法で辺境伯領に戻る。
「転移」
光が、4人を包む。
一瞬。
光が、消える。
旧辺境伯邸。
レンの屋敷。
玄関前。
スチュアートが、待っている。
「お帰りなさいませ、レン様」
スチュアートが、深々とお辞儀する。
「ただいま、スチュアート」
レンが、微笑む。
「どうでしたか?」
スチュアートが、聞く。
「はい」
レンが、答える。
「伯爵に叙されました」
「!」
スチュアートが、驚く。
そして――
深々と、頭を下げる。
「おめでとうございます、グリューンヴァルト伯爵閣下」
「ありがとう、スチュアート」
レンが、微笑む。
「そして……」
レンが、続ける。
「エリザベート様との婚約が、正式に公表されました」
「!」
スチュアートが、さらに驚く。
「それは……素晴らしい!」
「王女殿下との婚約が、公式に……」
「おめでとうございます、レン様」
その時――
隣の門から、二人の人影が駆けてくる。
辺境伯ヴォルフガング。
アリシア。
「レン様!」
アリシアが、叫ぶ。
「お帰りなさい!」
「ただいま、アリシア」
レンが、微笑む。
「どうでしたか?」
辺境伯が、聞く。
「はい」
レンが、答える。
「伯爵に叙されました」
「!」
辺境伯とアリシアが、驚く。
「伯爵……!」
アリシアが、叫ぶ。
「おめでとうございます、レン様!」
「素晴らしい!」
辺境伯が、喜ぶ。
「子爵から、伯爵に……」
「そして……」
レンが、続ける。
「ダンジョン・タワーが完成したら、侯爵に叙すると、陛下が約束してくださいました」
「!」
二人が、さらに驚く。
「侯爵……!」
辺境伯が、感嘆する。
「それは、凄い!」
「そして……」
レンが、アリシアに言う。
「エリザベート様との婚約が、正式に公表されました」
「!」
アリシアが、嬉しそうに微笑む。
「おめでとうございます、レン様!」
「エリザベート様も、きっとお喜びです!」
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
「それと……」
レンが、アリシアに言う。
「エリザベート様から、よろしくとのことでした」
「!」
アリシアが、嬉しそうに微笑む。
「ありがとうございます」
「昨夜の長電話のこと、お話しされたそうです」
レンが、微笑む。
「はい……」
アリシアが、照れる。
「エリザベート様も、伯爵への叙爵を祝福してくださいました」
「そうですか……」
アリシアが、幸せそうに微笑む。
「祝宴を開きましょう!」
辺境伯が、言う。
「レン様の屋敷で!」
「え?でも……」
レンが、戸惑う。
「良いではないか」
辺境伯が、微笑む。
「グリューンヴァルト伯爵の叙爵を、盛大に祝おう」
「そして、王女殿下との婚約の公表も」
「では……」
レンが、頷く。
「皆を呼びましょう」
祝宴
準備
レンの屋敷。
大広間。
スチュアートが、準備を指揮する。
「マルタ、料理を頼む」
「はい!」
マルタが、元気に答える。
低層マンションから、駆けてくる。
「ガレス、オーウェン、リディア、手伝ってくれ」
「はい」
ガレス一家が、答える。
エミリアも、マルタを手伝う。
子供たち(フィン、トム、リサ、アン)は、庭で遊んでいる。
獣人3人(ザンガ、ガルド、レイド)は、警備を続けている。
ザンガが、レンに近づく。
「レン様、伯爵への昇叙、おめでとうございます」
ザンガが、敬意を持って頭を下げる。
「ありがとう、ザンガ」
ガルドとレイドも、警備の合間に頭を下げる。
ドワーフ5人組(ガルム、ブロス、ドレン、ハーグ、ニル)は、工場から戻ってくる。
「レン様」
ガルムが、敬意を持って頭を下げる。
「伯爵への昇叙、心よりお祝い申し上げます」
「ありがとう、ガルム」
レンが、微笑む。
「これからも、レン様のために働かせていただきます」
ブロスが、言う。
「ありがとう、皆」
レンが、感謝する。
「これからも、よろしく頼む」
「はい、レン様」
ドワーフたちが、声を揃える。
祝宴開始
夕方。
大広間。
豪華な料理が並ぶ。
レン、エドガー、グンター、スチュアート。
辺境伯ヴォルフガング、アリシア。
ガレス一家5人。
カイル一家(カイル、エミリア、子供たちは別室で)。
ドワーフ5人組。
大人たちが、テーブルに座る。
「それでは……」
辺境伯が、杯を掲げる。
「乾杯!」
「伯爵レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトの、叙爵を祝して!」
「そして、王女エリザベート殿下との婚約の公表を祝して!」
「乾杯!」
全員が、声を揃える。
宴が、始まる。
美味しい料理。
美味しい酒。
会話が、弾む。
会話
「レン様」
アリシアが、話しかけてくる。
「はい、アリシア」
「伯爵様……本当におめでとうございます」
アリシアが、嬉しそうに言う。
「ありがとう、アリシア」
レンが、微笑む。
「これも、皆さんのおかげです」
「いえ……レン様の努力の賜物です……」
アリシアが、首を振る。
「私は……何もしていません……」
「そんなことはありません」
レンが、言う。
「アリシアは、いつも私を支えてくれています」
「エリザベート様との連絡も、いつもありがとう」
「!」
アリシアが、顔を赤らめる。
「あ、ありがとうございます……」
「エリザベート様は、アリシアとの電話をいつも楽しみにしておられるそうです」
レンが、言う。
「学園時代からの友人として、これからもよろしくお願いします」
「はい!」
アリシアが、嬉しそうに答える。
「エリザベート様と一緒に、レン様を支えます!」
「レン様」
グンターが、丁寧に言う。
「はい、グンター」
「次は、何を建設されますか?」
「ダンジョン・タワーです」
レンが、答える。
「高さ100メートル、地上30階の建物を建てます」
「100メートル……!」
ドワーフたちが、驚く。
「そのような高い建物……」
ガルムが、敬意を込めて言う。
「レン様なら、必ずお作りになれると信じております」
「我々も、全力でお手伝いさせていただきます」
ブロスが、言う。
「ありがとう」
レンが、微笑む。
「期待しています」
宴が、続く。
監視カメラの最終調整
翌日
レンの屋敷。
工房。
レンが、シンリと共に、監視カメラの最終調整をしている。
「シンリ、録画機能のテストをしてください」
レンが、言う。
「はい、レン様」
シンリが、魔導具を操作する。
モニターに、映像が映る。
リアルタイムの映像。
「録画開始」
シンリが、言う。
レンが、手を振る。
映像に、レンが映る。
「録画停止」
「再生」
モニターに、先ほどの映像が再生される。
レンが手を振る場面。
「完璧です」
シンリが、報告する。
「録画機能、正常に動作しています」
「よし」
レンが、満足する。
「これで、監視カメラシステムは完成だ」
ドワーフたちへの説明
同じ日の午後。
レンが、ドワーフ5人組に、監視カメラの量産を依頼する。
工房。
「これが、監視カメラです」
レンが、魔導具ドローンを見せる。
「!」
ドワーフたちが、驚く。
「これは……飛ぶのですか……?」
ガルムが、敬意を持って聞く。
「はい。魔力で浮遊し、撮影します」
レンが、説明する。
「そして、隠蔽魔法で姿を隠します」
「素晴らしい……」
ブロスが、感嘆する。
「これを、800台作りたいのです」
「材料は、こちらで用意します」
レンが、クラフト魔法で材料を作る。
大量の部品が次々と、出現する。
「!」
ドワーフたちが、驚愕する。
「850セット、少し余裕を持って用意しおきました」
ガルムが、呆然とする。
「さすが、レン様……」
ニルが、感嘆する。
「それと魔法陣の型も渡しておきますね。今後はこちらも商品として売り出す事になるかもしれないので、今回はこちらで材料を用意しましたが、材料の調達ルートも作っておいて下さい」
「はい」
「あ、そうだ!但し魔石だけは私が用意します。開拓で大量に手に入れましたし、必要なランクの魔石に変換することもできますので。足りなくなったら言って下さい」
「はい、判りました。では、早速作業を開始させていただきます」
ブロスが、言う。
ドワーフたちが、作業を始める。
その夜
レンの屋敷。
2階の寝室。
レンが、ベッドに横になる。
アラクネが、胸の上に乗る。
「キュルル~」
「今日も、色々あったな……」
レンが、呟く。
(伯爵に叙された……)
レンが、考える。
(子爵から、伯爵に……)
(そして、ダンジョン・タワー完成後は、侯爵に……)
(エリザベート様との婚約も、正式に公表された……)
(これで、私たちの関係は、王国中に知られることになる……)
(エリザベート様も、喜んでくださった……)
(アリシアとエリザベート様は、携帯電話で頻繁に話している……)
(友人として協力してくれる……)
(そして……)
(皆が、私を支えてくれている……)
(エドガー、グンター、スチュアート……)
(ガレスたちも、ドワーフたちも、獣人たちも……)
(感謝しないと……)
(次は、侯爵……そして、公爵……)
(まだまだ、先は長い……)
(でも……頑張ろう……)
その時――
念話が、響く。
『レン様!』
エリシアの声。
『エリシア様』
レンが、答える。
『伯爵への叙爵、本当におめでとうございます!!』
エリシアが、喜ぶ。
『ありがとうございます、エリシア様』
『そして、エリザベート様との婚約の公表も!』
『はい』
『私も、すごく嬉しいです!!』
エリシアが、興奮している。
『レン様が、どんどん偉くなっていく……』
『私も、頑張らないと……』
『エリシア様も、十分頑張っていますよ』
レンが、励ます。
『ありがとうございます……』
エリシアが、嬉しそうに言う。
『それと……明日から、ダンジョン・タワーの建設ですね!』
『はい。頑張ります』
『応援しています!おやすみなさい!』
『おやすみなさい、エリシア様』
念話が、切れる。
レンが、目を閉じる。
(明日から、ダンジョン・タワーの建設だ……)
レンが、考える。
(高さ100メートル、地上30階……)
(完成させて、侯爵になろう……)
レンが、静かに眠りにつく。
明日への、期待を胸に。
第59話 完
次回予告:
第60話「ダンジョン・タワーとダンジョンマスター就任」
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