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第5章:「子爵になって、神の使徒になって、婚約もして。あ、魔の森の開拓もありました。貴族って、こんなに忙しいものなんですか?」
第61話「冒険者ギルドへの報告と圧力」
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第61話「冒険者ギルドへの報告と圧力」
翌朝。
ダンジョン・タワー。
30階。
レンの部屋。
朝日が、窓から差し込んでいる。
アラクネが、枕元で丸くなっている。
「キュルル~」
「おはよう、アラクネ」
レンが、起き上がる。
(昨夜は、大変だったな……)
レンが、考える。
(でも、ダンジョンマスターになれた……)
(スタンピードの危機も、去った……)
レンが、窓の外を見る。
グリューンヴァルト領。
朝の光に照らされた、美しい領地。
「今日は、ギルドへの報告だ」
レンが、呟く。
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
「お前は、今日は留守番だ」
レンが、アラクネに言う。
「キュルル……」
アラクネが、不満そうに鳴く。
「昨夜、頑張ってくれたからな。ゆっくり休んでいなさい」
レンが、アラクネを撫でる。
「キュルル~」
アラクネが、納得したように鳴く。
出発準備
1階。
エドガー、グンター、ライカが、待っている。
「おはようございます、レン様」
エドガーが、深々と頭を下げる。
「おはよう、エドガー」
レンが、微笑む。
「昨夜は、お疲れ様でした」
エドガーが、心配そうに言う。
「ご無事で、本当に良かったです……」
「はい。おかげ様で」
レンが、頷く。
「今日は、王都のギルドへ報告に行きます。エドガー、グンター、ライカ、一緒に来てください」
「はい、かしこまりました」
3人が、返事する。
その時――
スチュアートが、ギルドエリアの入口から姿を現す。
ゲートで、辺境伯領から来たのだ。
「レン様、おはようございます」
スチュアートが、深々と頭を下げる。
「おはよう、スチュアート。ゲートで来たんですか?」
レンが、微笑む。
「はい。昨夜の騒動の後、心配でしたので……」
スチュアートが、穏やかに言う。
「ご無事で、何よりです」
「ありがとうございます」
レンが、頷く。
「今日、ギルドへ報告に行きますが……何か、気をつけることはありますか?」
レンが、スチュアートに聞く。
スチュアートが、少し考える。
「ギルドマスターは、長年その地位にある実力者です」
スチュアートが、説明する。
「プライドが高い方が多い。ただ、商人気質でもありますので……利益になると分かれば、動きます」
「なるほど」
レンが、頷く。
「映像で実態を見せて、判断させる。それが良いかと思います」
スチュアートが、続ける。
「選択を迫るのも、有効です。相手に決断させる……」
「分かりました」
レンが、微笑む。
「さすが、スチュアートさんですね」
「いえ……長年、貴族社会を見てきただけです」
スチュアートが、謙遜する。
「では、行ってまいります」
「お気をつけて、レン様」
スチュアートが、深々と頭を下げる。
エドガーも、スチュアートに目を向ける。
(師匠の助言……しっかり覚えておこう)
エドガーが、心の中で思う。
「転移」
光が、4人を包む。
王都へ。
王都冒険者ギルド
到着
王都の転移門広場。
光が、消える。
レン、エドガー、グンター、ライカが、出現する。
「王都だ……」
レンが、周囲を見渡す。
朝の活気に満ちた街。
人々が、行き交っている。
「ギルドへ行きましょう」
エドガーが、言う。
「はい」
4人が、歩き出す。
冒険者ギルド。
石造りの大きな建物。
正面玄関。
レンが、扉を開ける。
ギシッ。
中は、広い。
朝から、冒険者たちが集まっている。
依頼ボードを見る者。
受付に並ぶ者。
仲間と話す者。
「にぎやかだな……」
グンターが、周囲を見渡す。
レンが、受付へ向かう。
受付嬢との会話
受付カウンター。
若い女性が、座っている。
茶色の髪。
緑の瞳。
丁寧な笑顔。
「いらっしゃいませ」
受付嬢が、微笑む。
「本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「はい」
レンが、答える。
「グリューンヴァルト伯爵、レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトと申します」
「!」
受付嬢の表情が、変わる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下……!」
受付嬢が、慌てて立ち上がる。
周囲の冒険者たちが、チラリとこちらを見る。
「ダンジョン発見の報告に参りました」
レンが、静かに言う。
「ギルドマスターに、取り次いでいただけますか?」
「ダンジョン……!?」
受付嬢が、息を呑む。
「かしこまりました!少々、お待ちください!」
受付嬢が、奥へ駆けていく。
しばらくすると――
戻ってくる。
「閣下、どうぞこちらへ」
受付嬢が、案内する。
「ありがとうございます」
レンたちが、ついて行く。
廊下を歩く。
「レン様」
エドガーが、小声で言う。
「はい」
「受付嬢の様子……ダンジョン発見という言葉に、驚いておられましたね」
エドガーが、観察する。
「はい。ダンジョン発見は、ギルドにとって重大事ですから」
レンが、頷く。
「ギルドマスターも、同様でしょう」
「そうですね……」
エドガーが、頷く。
ギルドマスターの部屋
部屋へ
廊下の突き当たり。
重厚な扉。
受付嬢が、ノックする。
「どうぞ」
重厚な声。
扉が開く。
広い部屋。
大きな樫の机。
壁に、各地の地図や冒険者ランクの掲示物。
棚には、分厚い記録書。
椅子に、大柄な男が座っている。
50代。
白髪混じりの黒髪。
鋭い目。
がっしりとした体格。
歴戦の冒険者を思わせる、風格。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
ギルドマスターが、立ち上がる。
深々と、頭を下げる。
「ようこそ、いらっしゃいました」
「ギルドマスター殿、お時間をいただき感謝します」
レンが、丁寧に頭を下げる。
「私は、ヴィクトール・ハーゲン。このギルドのマスターを務めております」
ヴィクトールが、自己紹介する。
「レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトです」
「どうぞ、お座りください」
ヴィクトールが、椅子を勧める。
「ありがとうございます」
レンが、席に着く。
エドガーは、レンの後ろに控える。
グンターとライカは、部屋の隅で待機する。
「ダンジョン発見……とのことですが」
ヴィクトールが、真剣な表情で言う。
「詳しく、お聞かせいただけますか?」
「はい」
レンが、頷く。
「まず……映像でご覧いただきましょう」
モニターの登場
「これを、ご覧ください」
レンが、空間収納から魔導具を取り出す。
薄い板状の魔導具。
机の上に、置く。
「!」
ヴィクトールが、身を乗り出す。
「これは……何ですか?」
「モニターと申します」
レンが、説明する。
「映像を映し出す魔導具です。景色を記録し、後から映し出すことができます」
「……!」
ヴィクトールが、驚く。
「そのような魔導具が……」
「実際に、ご覧ください」
レンが、モニターを操作する。
画面が、光る。
ダンジョンの映像
映像が、流れ始める。
「これが……」
レンが、説明を始める。
「私の領地グリューンヴァルトの地下100メートルに発見した、ダンジョンです」
「!」
ヴィクトールが、目を見開く。
映像の中に、巨大な扉。
石造り。
高さ10メートル。
幅5メートル。
古代の文字が刻まれた、圧倒的な存在感。
「これが、ダンジョンの入口……」
ヴィクトールが、呟く。
映像が、続く。
ダンジョン内部。
広大な空間。
「このダンジョンは、100階層以上あります」
レンが、説明する。
「私自身が、100階層全てを踏破しました。昨夜のことです」
「!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「100階層……全て……昨夜一晩で……!?」
「はい」
レンが、頷く。
「各階層の状況を説明します」
「1階層:Fランク魔獣」
「10階層:Dランク魔獣」
「30階層:Bランク魔獣」
「50階層:Aランク魔獣」
「80階層:Sランク魔獣」
「そして100階層のボスは……七つ首のヒュドラでした」
「……!!」
ヴィクトールが、息を呑む。
「七つ首のヒュドラ……SSランク相当の魔獣……」
ヴィクトールが、唸る。
「100階層を一晩で……そして、そのボスを倒した……」
ヴィクトールが、レンを見る。
「閣下は……一体……」
「それは、追ってご説明します」
レンが、静かに言う。
ヴィクトールが、頷く。
「そして……」
レンが、続ける。
「現在、ダンジョンは私が直接管理しています。封印も、七重に強化されています。スタンピードは、起こりません」
「七重の封印……」
ヴィクトールが、確認する。
「どのような仕組みで……」
「それも、後ほど詳しく説明します」
レンが、答える。
「まず、全体像をご覧ください」
ダンジョン・タワーの映像
「次に……」
レンが、モニターを切り替える。
「こちらをご覧ください」
映像が、変わる。
「!」
ヴィクトールが、目を見開く。
映像の中に、巨大な塔。
高さ100メートル。
地上30階建て。
湖の中の円形陸地に、そびえ立つ。
「これは……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「何ですか、この塔は……!」
「ダンジョン・タワーです」
レンが、答える。
「ダンジョンを管理するために建設しました。高さ100メートル、地上30階、地下5階の建物です。地下1階に、ダンジョンの入口があります」
「……!」
ヴィクトールが、唸る。
「各階の説明をします」
レンが、続ける。
ヴィクトールが、姿勢を正す。
用意していた紙とペンを取り出す。
「記録させていただきます」
「どうぞ」
レンが、頷く。
各階の説明
映像が、各フロアを順番に映し出す。
「1階です」
レンが、説明する。
映像に、広々としたフロアが映る。
「1階は、冒険者ギルド兼食事処を予定しています。こちらはすでに完成しています」
「!」
ヴィクトールが、モニターに釘付けになる。
広大なギルドエリア。
美しい石畳の床。
高い天井。
魔石灯で、明るく照らされている。
受付カウンターが、10台。
依頼ボードの設置スペース。
広々とした食事処のエリア。
「受付カウンターが10台……この広さ……」
ヴィクトールが、メモを取る。
「2階です」
映像が、切り替わる。
広い空間。
「2階は、訓練施設を予定しています」
「3階から5階です」
映像が、切り替わる。
「3階から5階は、冒険者ショップを予定しています。武器、防具、ポーション……冒険者に必要なものを全て揃えます」
「!」
ヴィクトールが、頷く。
「6階です」
「6階は、治療院と入院部屋を予定しています。ダンジョンで怪我をした冒険者が、すぐに治療を受けられるようにします」
「これは……必要ですね……」
ヴィクトールが、頷く。
「ダンジョン内では、常に負傷のリスクがある。その場で治療できれば……」
「はい。命に関わる怪我も、すぐに対処できます」
「7階です」
「7階は、食料品売場を予定しています。パン屋、惣菜屋……生活に必要な食料品を揃えます」
「8階です」
「8階は、お土産売場とデザートショップ、そして茶店を予定しています」
「観光客向けですか?」
ヴィクトールが、聞く。
「はい。ダンジョンを目的に、各地から人が集まります。冒険者だけでなく、見物客や商人も来るでしょう」
レンが、答える。
「なるほど……」
「9階です」
「9階は、衣料品、美容品、化粧品、リネン系の販売店を予定しています」
「10階です」
「10階は、図書館を予定しています。ダンジョンの研究資料、魔法書、歴史書……様々な本を揃えます」
「図書館……ダンジョン攻略の情報収集に役立つ……」
ヴィクトールが、メモを取る。
「11階から13階です」
映像が、切り替わる。
綺麗な廊下が映る。
「11階から13階は、職員専用の住居……社宅です。こちらも、すでに完成しています」
「社宅まで……!」
ヴィクトールが、驚く。
「はい。各階35部屋。3フロアで合計105部屋です」
レンが、説明する。
「全て、2LDKです」
「2LDK……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「それだけでも凄いですが……」
レンが、続ける。
「全室に、この世界の最高水準の魔導具設備を完備しています。魔導自動調光システム、魔導温水器、魔導浴槽……」
「最高水準の……」
「そして……」
レンが、少し間を置く。
「全室に、ウォシュレット付きの水洗トイレを設置しています」
「!」
ヴィクトールが、首を傾げる。
「ウォシュレット……水洗トイレ……?」
「水で洗浄できる、衛生的なトイレです。レバーを操作すると水が流れ、別のボタンで温水洗浄もできます。臭いは全くありません」
レンが、説明する。
「……!!」
ヴィクトールが、目を丸くする。
「そのようなトイレが……全105部屋に……」
「はい」
レンが、頷く。
「働く職員には、快適な環境を提供します。それが、良い仕事につながりますから」
「……」
ヴィクトールが、しばらく言葉を失う。
「14階から15階です」
「14階と15階は、領地関係の各役所を予定しています」
「16階から17階です」
「16階と17階は、高ランク冒険者専用の高級宿屋を予定しています。Aランク以上の冒険者が、快適に滞在できる施設です」
「Aランク以上専用……!」
ヴィクトールが、反応する。
「それは……Aランク冒険者を呼び込む、大きな魅力になりますね」
「はい。腕利きの冒険者が常駐すれば、ギルドの依頼も増えます」
レンが、答える。
「18階です」
「18階は、ダンジョン内の監視ルームです。ダンジョン内に設置した800台の監視カメラの映像を、ここで24時間体制で確認します」
「800台……!!」
ヴィクトールが、叫ぶ。
「スタンピードの予兆も、早期に発見できます。冒険者が危険な状況になった場合も、監視ルームから確認できます」
「……!」
ヴィクトールが、目を見開く。
「冒険者の様子を……常時監視……」
「はい。ただし……」
レンが、続ける。
「ダンジョンは、危険な場所です。監視しているからといって、助けに行くわけではありません」
ヴィクトールが、頷く。
「当然です。ダンジョンは、命懸けで挑む場所。冒険者も、それを承知の上で入ります」
「はい。見返りが大きい分、リスクも大きい。それが、ダンジョンというものです」
レンが、同意する。
「ただ、スタンピードの予兆は早期に発見できます。それだけでも、周辺の安全に大きく貢献します」
「なるほど……」
「19階から28階は、現在未定です。将来の拡張に備えています」
「29階は、展望台です。グリューンヴァルト領全体が見渡せます」
「30階は、私の領主館です」
映像が、終わる。
「……」
ヴィクトールが、しばらく沈黙する。
圧倒された、表情。
メモが、びっしりと埋まっている。
「これは……」
ヴィクトールが、呟く。
「前代未聞の……施設です……」
ギルドへの圧力
「さて、ギルドマスター殿」
レンが、静かに言う。
穏やかな声。
だが、どこか鋭い。
「はい……」
ヴィクトールが、レンを見る。
「一つ、お聞きしてもよいですか?」
レンが、続ける。
「もちろんです」
ヴィクトールが、姿勢を正す。
レンが、ヴィクトールをまっすぐ見る。
「冒険者ギルドは、このダンジョン・タワーに関与されますか?」
レンが、問う。
静かに。
明確に。
「それとも、関与されませんか?」
「……!」
ヴィクトールが、目を見開く。
レンが、続ける。
「1階の冒険者ギルドエリアは、すでに完成しています。受付カウンターも、依頼ボードの設置スペースも……全て、ギルドが運営することを前提に作りました」
レンが、モニターに映像を映す。
完成した1階のギルドエリア。
美しい内装。
完璧な設備。
「職員の社宅も、11階から13階に合計105部屋用意してあります。2LDK、最新魔導具設備付き、ウォシュレット付き水洗トイレ完備の、この世界最高水準の住宅です」
レンが、淡々と言う。
「全て、ギルドの職員のために用意しました」
「……」
ヴィクトールが、沈黙する。
「もちろん……」
レンが、続ける。
「ギルドが関与されないという選択もあります」
「!」
ヴィクトールが、顔を上げる。
「その場合は、私が独自の組織を立ち上げます」
レンが、静かに言う。
「冒険者の受付、依頼の管理、ランク認定……全て、独自に行うことができます。クラフト魔法があります。施設も完備しています。監視システムもあります」
レンが、淡々と説明する。
「ただ……」
レンが、続ける。
「ギルドには、長年の経験とノウハウがある。全国に張り巡らされたネットワークもある。冒険者からの信頼も厚い」
「……」
「もし、ギルドが関与してくださるなら……このダンジョン・タワーは、より多くの冒険者を引きつける拠点になるでしょう」
レンが、ヴィクトールを見る。
「ですから、お聞きします」
レンが、明確に問う。
「ギルドは、関与されますか?」
「それとも、関与されませんか?」
「どちらを選ばれますか、ギルドマスター殿?」
「……」
ヴィクトールが、沈黙する。
額に、じっとりと汗が浮かぶ。
(これほどのダンジョン……)
ヴィクトールが、考える。
(100階層以上……SSランク相当のボスが出現する……)
(王国最大どころか、大陸最大のダンジョンになるかもしれない……)
(そして、このダンジョン・タワー……)
(1階の冒険者ギルドエリアが、すでに完成している……)
(105部屋の最高水準社宅まで用意されている……)
(全部ギルドのために用意してあると言った……)
(もしギルドが断れば……)
(この伯爵は、本当に独自の組織を立ち上げるだろう……)
(半神の力を持つ、神の使徒……)
(やると言ったら、必ずやる……)
(そうなれば……)
(冒険者ギルドは、大陸最大のダンジョンへの関与を、みすみす失うことになる……)
(そんな失態は……絶対に許されない……)
「……」
ヴィクトールが、ゆっくりと立ち上がる。
そして――
深々と、頭を下げる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
ヴィクトールが、言う。
「是非……」
「冒険者ギルドも、関わらせてください」
ヴィクトールが、頭を下げたまま、続ける。
「このダンジョン・タワーへの参加を……心よりお願い申し上げます」
「!」
レンが、微笑む。
「よろしい」
レンが、頷く。
「では、喜んでお願いします」
「ありがとうございます……!」
ヴィクトールが、顔を上げる。
安堵した、表情。
後ろに控えていたエドガーが、小さく息をつく。
(スチュアート師匠の言う通りだった……利益になると分かれば、動く……)
エドガーが、心の中で思う。
「ただし……」
レンが、続ける。
「条件があります」
「はい。何なりと」
ヴィクトールが、真剣な表情で聞く。
「一つ目。職員は、秘密を守れる方を選んでください。ダンジョン・タワーの全情報は、現時点では秘密です。全員に、契約魔法を結んでいただきます」
レンが、言う。
「二つ目。最終的な管理権は、私にあります。ギルドは、冒険者の受付と管理を担当していただきます」
「三つ目。3階から5階のショップについて……武器商、防具商、ポーション商の手配も、ギルドのネットワークでお願いしたいのです」
「!」
ヴィクトールが、身を乗り出す。
「商人の手配まで……」
「はい。信頼できる業者を、厳選して紹介していただけますか。ただし……」
レンが、続ける。
「粗悪品を売る業者はお断りです。ダンジョン内での冒険者の命に関わりますから」
「もちろんです」
ヴィクトールが、力強く答える。
「ギルドが保証した業者のみ、紹介します」
「よろしくお願いします」
レンが、頷く。
「全ての条件、承知しました」
ヴィクトールが、答える。
実地視察
「それと……」
レンが、立ち上がる。
「言葉と映像だけでは、伝わらないことも多いかと思います」
レンが、ヴィクトールを見る。
「実際に、ダンジョン・タワーをご覧になりますか?」
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「グリューンヴァルト領は……王都から馬車で3日以上かかりますが……」
「問題ありません。今すぐ行けます」
レンが、微笑む。
「今すぐ……?」
ヴィクトールが、困惑する。
「ただし……」
レンが、真剣な表情で言う。
「これからお見せする移動方法については、秘密にしていただけますか?契約魔法でお約束いただきたいのですが」
「……分かりました」
ヴィクトールが、頷く。
レンが、契約魔法を発動する。
「では……少し驚かれるかもしれません。ご安心ください」
レンが、ヴィクトールの肩に手を置く。
「転移」
光が、二人を包む。
「!」
ヴィクトールが、驚く。
一瞬。
光が消える。
「……!!」
ヴィクトールが、周囲を見渡す。
目の前に、巨大な塔。
高さ100メートルのダンジョン・タワー。
湖の中の、円形陸地。
「こ、ここは……!」
ヴィクトールが、呆然とする。
「グリューンヴァルト領です」
レンが、静かに言う。
「王都から、一瞬で……」
ヴィクトールが、震える声で言う。
「はい」
レンが、微笑む。
「くれぐれも、秘密でお願いします」
「……は、はい……」
ヴィクトールが、まだ動揺している。
「では、ご案内します」
レンが、タワーの正面玄関へ向かう。
ダンジョン・タワー内部の視察
1階
タワーの正面玄関。
大きな扉が開く。
「1階です」
レンが、案内する。
ヴィクトールが、中に入る。
「……!」
ヴィクトールが、息を呑む。
映像で見たよりも、遥かに広い。
広大なギルドエリア。
美しい石畳の床。
高い天井。
魔石灯で、明るく照らされている。
受付カウンターが、10台。
依頼ボードの設置スペース。
広々とした食事処のエリア。
テーブルと椅子が、整然と並んでいる。
「これが……1階……」
ヴィクトールが、周囲を見渡す。
「映像では分からなかった……本当に、広いですね……」
「食事処のエリアは、200名以上が同時に食事できます」
レンが、説明する。
「ここで食事しながら、依頼の話ができます」
「冒険者には、うってつけの場所ですね……」
ヴィクトールが、頷く。
ヴィクトールが、受付カウンターを触る。
作りを確認する。
「この品質……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「王都のギルドより、立派な設備です……」
社宅の視察
「次に、社宅をご覧いただきましょう」
レンが、言う。
「魔導エレベーターで参ります」
「魔導……エレベーター?」
ヴィクトールが、首を傾げる。
レンが、エレベーターの前に立つ。
扉が、開く。
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「この箱は……」
「上下に移動する装置です。乗ってください」
二人が、乗り込む。
扉が閉まる。
上昇する。
「!」
ヴィクトールが、壁に手を触れる。
「動いている……!」
「はい。魔力で動きます」
11階に到着する。
扉が開く。
廊下。
整然と並ぶ扉。
「こちらが、社宅です」
レンが、一室の扉を開ける。
「どうぞ」
ヴィクトールが、中に入る。
「……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
広い玄関。
リビング。
キッチン。
2つの寝室。
「2LDKです」
レンが、説明する。
ヴィクトールが、部屋を見回す。
「この魔石灯……自動で明るさが変わる……」
「はい。魔導自動調光システムです」
「こちらが浴室です」
レンが、扉を開ける。
「!」
広い浴室。
魔導温水器。
魔導浴槽。
「いつでも、温かいお湯に入れます。温度も調整できます」
「素晴らしい……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「そして……こちらが、トイレです」
レンが、別の扉を開ける。
清潔な、水洗トイレ。
ウォシュレット付き。
「これは……!」
ヴィクトールが、近づく。
「先ほど説明したウォシュレット付き水洗トイレです。臭いは全くありません」
「……!!」
ヴィクトールが、しばし絶句する。
「このようなトイレが……全105部屋に……」
「はい。職員に、快適な環境で働いていただきたいのです」
レンが、微笑む。
「こんな住宅……王都の上級貴族でも、なかなか住めないでしょう……」
ヴィクトールが、呟く。
(この伯爵は……本物だ……)
ヴィクトールが、心の中で思う。
(領民のために……職員のために……本当に考えている……)
18階・監視ルーム
「18階の監視ルームもご覧ください」
レンが、言う。
再び、エレベーターで移動する。
18階。
扉が開く。
広い部屋。
壁一面に、モニターが並んでいる。
「!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「これが……監視ルーム……」
「はい。ダンジョン内800台の監視カメラの映像が、ここに映し出されます」
レンが、モニターを操作する。
各階の映像が、映し出される。
封印されたダンジョンの内部。
「これが……ダンジョンの内部……」
ヴィクトールが、食い入るように見る。
「各階の様子が、リアルタイムで確認できます」
レンが、説明する。
「スタンピードの予兆……魔物の異常な動き……全て、ここで察知できます」
「……素晴らしいシステムです……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「ここに、職員を常駐させますか?」
ヴィクトールが、聞く。
「はい。24時間体制で、交代で監視します。ギルドの職員の中に、担当者を選んでいただけますか?」
レンが、聞く。
「承知しました。責任感の強い者を選びます」
ヴィクトールが、頷く。
29階・展望台
「最後に、29階へ」
レンが、言う。
エレベーターで上昇する。
29階。
展望台。
扉が開く。
「!」
ヴィクトールが、息を呑む。
窓の外に、広大な景色。
グリューンヴァルト領全体が、見渡せる。
整然と並ぶ住宅地。
美しい林。
中央の、大きな湖。
その中に、今まさにいるダンジョン・タワー。
遥か彼方まで続く、城壁。
「凄い……」
ヴィクトールが、窓に近づく。
「これが全部……グリューンヴァルト領……」
「はい。314km²です」
レンが、答える。
「……!!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「314km²……王国内でも、上位の広さではないですか……」
「はい」
「……信じられない……」
ヴィクトールが、しばらく景色を眺める。
目が、輝いている。
(この領地に、大陸最大のダンジョンがある……)
ヴィクトールが、考える。
(ここは、王国最大の冒険者拠点になる……)
(いや、大陸最大に……)
「素晴らしい……」
ヴィクトールが、呟く。
「閣下……このダンジョン・タワーが完成した暁には……」
ヴィクトールが、振り返る。
「王国中の冒険者が、ここを目指すでしょう」
「はい。そのために、ギルドの力が必要です」
レンが、答える。
「お任せください」
ヴィクトールが、力強く言う。
「ギルドの総力を挙げて、支援します」
職員の人数と今後の方針
「では、改めて確認させてください」
1階に戻って。
ヴィクトールが、真剣な表情で言う。
「何名の職員を、派遣させていただけますか?」
「そうですね……」
レンが、考える。
「最初は50名でしょうか。1階のギルドエリアの運営、18階の監視ルームの担当……まずは、この二つを優先で」
「50名……」
ヴィクトールが、計算する。
「実際に施設を拝見して……確かに、最初は50名が適切かと思います」
ヴィクトールが、頷く。
「ただ……」
ヴィクトールが、続ける。
「このダンジョンが開放されれば、全国から冒険者が集まります。100階層以上の大規模ダンジョン……受付だけで、相当な数が必要になります」
「はい」
レンが、頷く。
「最初は50名で始めて、状況を見ながら増員しましょう。社宅は105部屋ありますから、余裕があります」
「承知しました」
ヴィクトールが、答える。
「最終的には、100名以上になることも想定しています」
「分かりました」
レンが、頷く。
「それと……3階から5階の商人の手配……」
ヴィクトールが、確認する。
「はい。武器商、防具商、ポーション商……信頼できる業者を厳選してください」
「承知しました。必ずや、腕利きの業者を揃えます」
ヴィクトールが、力強く言う。
「1週間以内に、職員50名と商人の目処を立てることは……できますか?」
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「1週間……!」
「はい。ダンジョンは封印済み。監視システムも完備しています。あとは、職員と商人が揃えば開業できます」
レンが、説明する。
「……承知しました」
ヴィクトールが、頷く。
「1週間以内に、必ず揃えます」
「よろしくお願いします」
レンが、頭を下げる。
「詳細は、後ほど書面でお送りします」
「はい、お待ちしております」
ヴィクトールが、立ち上がる。
再び、深々と頭を下げる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下……」
「はい」
「このダンジョン・タワーと共に……ギルドも成長させていただきます」
ヴィクトールが、感慨深く言う。
「はい。一緒に、作り上げていきましょう」
レンが、微笑む。
「では、王都にお戻りいただきましょう」
レンが、ヴィクトールの肩に手を置く。
「では……また驚かれますが……」
「は、はい……今度は、覚悟しています……」
ヴィクトールが、目をつぶる。
「転移」
光が、二人を包む。
一瞬。
王都のギルドマスターの部屋。
光が消える。
「……」
ヴィクトールが、目を開ける。
部屋に戻っている。
「これが……転移魔法……」
ヴィクトールが、呟く。
「本当に、一瞬で……」
「くれぐれも、秘密でお願いします」
レンが、念を押す。
「は、はい……契約魔法で誓いました。誰にも言いません……」
ヴィクトールが、頷く。
「では、よろしくお願いします」
レンが、頭を下げる。
「はい!必ず、1週間以内に!」
ヴィクトールが、力強く答える。
帰還
ギルドを出る
レンが、ギルドマスターの部屋を出る。
廊下を歩く。
エドガー、グンター、ライカが、待っている。
「レン様、どうでしたか?」
エドガーが、聞く。
「うまくいきました」
レンが、微笑む。
「ギルドマスターが、1週間以内に職員50名と商人を手配してくれます」
「!」
「本当ですか!」
グンターが、喜ぶ。
「商人まで手配してくれるとは……さすがです」
ライカが、尻尾を振る。
「実際にタワーをご覧いただいたことが、大きかったようです」
レンが、答える。
「それと……」
エドガーが、言う。
「圧力をかける場面、後ろで見ていましたが……スチュアート師匠の言う通りでしたね」
「はい。利益になると分かれば動く……まさに、その通りでした」
レンが、微笑む。
「スチュアートさんの助言には、いつも助けられます」
「師匠に、報告しておきます」
エドガーが、携帯電話を取り出す。
「012」を入力。
スチュアート。
『はい、スチュアートです』
「エドガーです。ギルドとの交渉が、うまくいきました。スチュアート師匠の助言通りでした」
『そうですか……それは良かったです』
スチュアートが、静かに言う。
『レン様のご判断と実力あってのことですよ』
「では、帰ります」
エドガーが、通話を切る。
「では、帰りましょう」
レンが、言う。
4人が、ギルドを出る。
「転移」
光が、4人を包む。
グリューンヴァルト領へ。
一瞬。
光が消える。
ダンジョン・タワーの前。
そびえ立つ、100メートルの塔。
「あそこに、ギルドが入る……」
レンが、タワーを見上げる。
「1週間後には、開業できる……」
(これからが、本当のスタートだ)
レンが、考える。
その夜・30階の執務室
30階の領主館。
レンの執務室。
窓から、グリューンヴァルト領が見渡せる。
美しい夜景。
アラクネが、肩に乗っている。
「キュルル~」
「今日は、大きな一歩だったな」
レンが、呟く。
携帯電話を、手に取る。
「002」を入力。
辺境伯。
『もしもし、辺境伯です』
「レンです。今日、王都のギルドに報告してきました。1週間以内に50名の職員と、商人も手配してもらえることになりました」
『!』
『本当ですか!素晴らしい!ギルドマスターを動かすとは……さすが、レン殿ですね』
「ありがとうございます。実際にタワーを見せたのが、効果的でした」
レンが、答える。
『いよいよ、開業ですね。楽しみにしています』
通話を切る。
「004」を入力。
アリシア。
『もしもし、アリシアです』
「レンです。ギルドから50名の職員と商人を手配してもらえることになりました」
レンが、報告する。
『!』
『凄いです!どうやって説得されたのですか?』
「映像を見せた後に、実際にタワーへご案内しました。社宅の2LDK……ウォシュレット付き水洗トイレを見た時の、ギルドマスターの顔が印象的でしたよ」
レンが、苦笑する。
『ふふ……』
アリシアが、笑う。
『ウォシュレットで……』
「はい。そして……少し圧力もかけました。関与しますか、しませんかと聞いたら……ギルドマスターが頭を下げてくれました」
『レン様らしいです……でも、上手くいったのですね』
「はい。1週間後には、開業できます。楽しみにしていてください」
『はい!楽しみにしています!おやすみなさい、レン様!』
「おやすみなさい、アリシア」
通話を切る。
レンが、窓の外を見る。
夜のグリューンヴァルト領。
静かに、広がっている。
「もう少しで、開業だ……楽しみだな、アラクネ」
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
その時――
念話が、響く。
『レン様!』
エリシアの声。
『エリシア様』
レンが、答える。
『ギルドの説得、完璧でした!実際にタワーを見せるとは……スチュアートさんの助言を活かしましたね!』
エリシアが、賞賛する。
『ありがとうございます。スチュアートさんには、いつも助けられています』
『「関与しますか、しませんか」という問いかけ……ギルドマスターが頭を下げるしかない状況に……上手でしたよ』
エリシアが、笑う。
『でも、これがお互いのためになりますから』
レンが、答える。
『はい!それが一番ですよ!では、おやすみなさい!1週間後の開業、楽しみにしています!』
エリシアが、励ます。
『はい。おやすみなさい、エリシア様』
念話が、切れる。
レンが、椅子に座る。
(1週間後……)
レンが、考える。
(ダンジョン・タワーが、開業する……)
(冒険者たちが、やって来る……)
(危険なダンジョンに、命懸けで挑む者たちが……)
(それを支える施設を……しっかり作り上げなければ……)
レンが、微笑む。
目を閉じる。
静かに、眠りにつく。
明日への、期待を胸に。
第61話 完
次回予告:
第62話「ダンジョン・タワー開業前夜」
1週間後。
ギルドから、職員50名が到着。
ギルドマスター・ヴィクトールも、同行する。
武器商、防具商、ポーション商も続々と到着。
全員に、契約魔法を結ばせる。
タワー内の説明会。
監視ルームの使い方。
緊急時の対応手順。
スタンピード発生時の行動マニュアル。
そして――
グリューンヴァルト領の住民たち、辺境伯と騎士たちも集まる。
開業前夜。
準備が、整っていく。
翌日の開業に向けて。
翌朝。
ダンジョン・タワー。
30階。
レンの部屋。
朝日が、窓から差し込んでいる。
アラクネが、枕元で丸くなっている。
「キュルル~」
「おはよう、アラクネ」
レンが、起き上がる。
(昨夜は、大変だったな……)
レンが、考える。
(でも、ダンジョンマスターになれた……)
(スタンピードの危機も、去った……)
レンが、窓の外を見る。
グリューンヴァルト領。
朝の光に照らされた、美しい領地。
「今日は、ギルドへの報告だ」
レンが、呟く。
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
「お前は、今日は留守番だ」
レンが、アラクネに言う。
「キュルル……」
アラクネが、不満そうに鳴く。
「昨夜、頑張ってくれたからな。ゆっくり休んでいなさい」
レンが、アラクネを撫でる。
「キュルル~」
アラクネが、納得したように鳴く。
出発準備
1階。
エドガー、グンター、ライカが、待っている。
「おはようございます、レン様」
エドガーが、深々と頭を下げる。
「おはよう、エドガー」
レンが、微笑む。
「昨夜は、お疲れ様でした」
エドガーが、心配そうに言う。
「ご無事で、本当に良かったです……」
「はい。おかげ様で」
レンが、頷く。
「今日は、王都のギルドへ報告に行きます。エドガー、グンター、ライカ、一緒に来てください」
「はい、かしこまりました」
3人が、返事する。
その時――
スチュアートが、ギルドエリアの入口から姿を現す。
ゲートで、辺境伯領から来たのだ。
「レン様、おはようございます」
スチュアートが、深々と頭を下げる。
「おはよう、スチュアート。ゲートで来たんですか?」
レンが、微笑む。
「はい。昨夜の騒動の後、心配でしたので……」
スチュアートが、穏やかに言う。
「ご無事で、何よりです」
「ありがとうございます」
レンが、頷く。
「今日、ギルドへ報告に行きますが……何か、気をつけることはありますか?」
レンが、スチュアートに聞く。
スチュアートが、少し考える。
「ギルドマスターは、長年その地位にある実力者です」
スチュアートが、説明する。
「プライドが高い方が多い。ただ、商人気質でもありますので……利益になると分かれば、動きます」
「なるほど」
レンが、頷く。
「映像で実態を見せて、判断させる。それが良いかと思います」
スチュアートが、続ける。
「選択を迫るのも、有効です。相手に決断させる……」
「分かりました」
レンが、微笑む。
「さすが、スチュアートさんですね」
「いえ……長年、貴族社会を見てきただけです」
スチュアートが、謙遜する。
「では、行ってまいります」
「お気をつけて、レン様」
スチュアートが、深々と頭を下げる。
エドガーも、スチュアートに目を向ける。
(師匠の助言……しっかり覚えておこう)
エドガーが、心の中で思う。
「転移」
光が、4人を包む。
王都へ。
王都冒険者ギルド
到着
王都の転移門広場。
光が、消える。
レン、エドガー、グンター、ライカが、出現する。
「王都だ……」
レンが、周囲を見渡す。
朝の活気に満ちた街。
人々が、行き交っている。
「ギルドへ行きましょう」
エドガーが、言う。
「はい」
4人が、歩き出す。
冒険者ギルド。
石造りの大きな建物。
正面玄関。
レンが、扉を開ける。
ギシッ。
中は、広い。
朝から、冒険者たちが集まっている。
依頼ボードを見る者。
受付に並ぶ者。
仲間と話す者。
「にぎやかだな……」
グンターが、周囲を見渡す。
レンが、受付へ向かう。
受付嬢との会話
受付カウンター。
若い女性が、座っている。
茶色の髪。
緑の瞳。
丁寧な笑顔。
「いらっしゃいませ」
受付嬢が、微笑む。
「本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「はい」
レンが、答える。
「グリューンヴァルト伯爵、レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトと申します」
「!」
受付嬢の表情が、変わる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下……!」
受付嬢が、慌てて立ち上がる。
周囲の冒険者たちが、チラリとこちらを見る。
「ダンジョン発見の報告に参りました」
レンが、静かに言う。
「ギルドマスターに、取り次いでいただけますか?」
「ダンジョン……!?」
受付嬢が、息を呑む。
「かしこまりました!少々、お待ちください!」
受付嬢が、奥へ駆けていく。
しばらくすると――
戻ってくる。
「閣下、どうぞこちらへ」
受付嬢が、案内する。
「ありがとうございます」
レンたちが、ついて行く。
廊下を歩く。
「レン様」
エドガーが、小声で言う。
「はい」
「受付嬢の様子……ダンジョン発見という言葉に、驚いておられましたね」
エドガーが、観察する。
「はい。ダンジョン発見は、ギルドにとって重大事ですから」
レンが、頷く。
「ギルドマスターも、同様でしょう」
「そうですね……」
エドガーが、頷く。
ギルドマスターの部屋
部屋へ
廊下の突き当たり。
重厚な扉。
受付嬢が、ノックする。
「どうぞ」
重厚な声。
扉が開く。
広い部屋。
大きな樫の机。
壁に、各地の地図や冒険者ランクの掲示物。
棚には、分厚い記録書。
椅子に、大柄な男が座っている。
50代。
白髪混じりの黒髪。
鋭い目。
がっしりとした体格。
歴戦の冒険者を思わせる、風格。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
ギルドマスターが、立ち上がる。
深々と、頭を下げる。
「ようこそ、いらっしゃいました」
「ギルドマスター殿、お時間をいただき感謝します」
レンが、丁寧に頭を下げる。
「私は、ヴィクトール・ハーゲン。このギルドのマスターを務めております」
ヴィクトールが、自己紹介する。
「レンアスカ・フォン・グリューンヴァルトです」
「どうぞ、お座りください」
ヴィクトールが、椅子を勧める。
「ありがとうございます」
レンが、席に着く。
エドガーは、レンの後ろに控える。
グンターとライカは、部屋の隅で待機する。
「ダンジョン発見……とのことですが」
ヴィクトールが、真剣な表情で言う。
「詳しく、お聞かせいただけますか?」
「はい」
レンが、頷く。
「まず……映像でご覧いただきましょう」
モニターの登場
「これを、ご覧ください」
レンが、空間収納から魔導具を取り出す。
薄い板状の魔導具。
机の上に、置く。
「!」
ヴィクトールが、身を乗り出す。
「これは……何ですか?」
「モニターと申します」
レンが、説明する。
「映像を映し出す魔導具です。景色を記録し、後から映し出すことができます」
「……!」
ヴィクトールが、驚く。
「そのような魔導具が……」
「実際に、ご覧ください」
レンが、モニターを操作する。
画面が、光る。
ダンジョンの映像
映像が、流れ始める。
「これが……」
レンが、説明を始める。
「私の領地グリューンヴァルトの地下100メートルに発見した、ダンジョンです」
「!」
ヴィクトールが、目を見開く。
映像の中に、巨大な扉。
石造り。
高さ10メートル。
幅5メートル。
古代の文字が刻まれた、圧倒的な存在感。
「これが、ダンジョンの入口……」
ヴィクトールが、呟く。
映像が、続く。
ダンジョン内部。
広大な空間。
「このダンジョンは、100階層以上あります」
レンが、説明する。
「私自身が、100階層全てを踏破しました。昨夜のことです」
「!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「100階層……全て……昨夜一晩で……!?」
「はい」
レンが、頷く。
「各階層の状況を説明します」
「1階層:Fランク魔獣」
「10階層:Dランク魔獣」
「30階層:Bランク魔獣」
「50階層:Aランク魔獣」
「80階層:Sランク魔獣」
「そして100階層のボスは……七つ首のヒュドラでした」
「……!!」
ヴィクトールが、息を呑む。
「七つ首のヒュドラ……SSランク相当の魔獣……」
ヴィクトールが、唸る。
「100階層を一晩で……そして、そのボスを倒した……」
ヴィクトールが、レンを見る。
「閣下は……一体……」
「それは、追ってご説明します」
レンが、静かに言う。
ヴィクトールが、頷く。
「そして……」
レンが、続ける。
「現在、ダンジョンは私が直接管理しています。封印も、七重に強化されています。スタンピードは、起こりません」
「七重の封印……」
ヴィクトールが、確認する。
「どのような仕組みで……」
「それも、後ほど詳しく説明します」
レンが、答える。
「まず、全体像をご覧ください」
ダンジョン・タワーの映像
「次に……」
レンが、モニターを切り替える。
「こちらをご覧ください」
映像が、変わる。
「!」
ヴィクトールが、目を見開く。
映像の中に、巨大な塔。
高さ100メートル。
地上30階建て。
湖の中の円形陸地に、そびえ立つ。
「これは……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「何ですか、この塔は……!」
「ダンジョン・タワーです」
レンが、答える。
「ダンジョンを管理するために建設しました。高さ100メートル、地上30階、地下5階の建物です。地下1階に、ダンジョンの入口があります」
「……!」
ヴィクトールが、唸る。
「各階の説明をします」
レンが、続ける。
ヴィクトールが、姿勢を正す。
用意していた紙とペンを取り出す。
「記録させていただきます」
「どうぞ」
レンが、頷く。
各階の説明
映像が、各フロアを順番に映し出す。
「1階です」
レンが、説明する。
映像に、広々としたフロアが映る。
「1階は、冒険者ギルド兼食事処を予定しています。こちらはすでに完成しています」
「!」
ヴィクトールが、モニターに釘付けになる。
広大なギルドエリア。
美しい石畳の床。
高い天井。
魔石灯で、明るく照らされている。
受付カウンターが、10台。
依頼ボードの設置スペース。
広々とした食事処のエリア。
「受付カウンターが10台……この広さ……」
ヴィクトールが、メモを取る。
「2階です」
映像が、切り替わる。
広い空間。
「2階は、訓練施設を予定しています」
「3階から5階です」
映像が、切り替わる。
「3階から5階は、冒険者ショップを予定しています。武器、防具、ポーション……冒険者に必要なものを全て揃えます」
「!」
ヴィクトールが、頷く。
「6階です」
「6階は、治療院と入院部屋を予定しています。ダンジョンで怪我をした冒険者が、すぐに治療を受けられるようにします」
「これは……必要ですね……」
ヴィクトールが、頷く。
「ダンジョン内では、常に負傷のリスクがある。その場で治療できれば……」
「はい。命に関わる怪我も、すぐに対処できます」
「7階です」
「7階は、食料品売場を予定しています。パン屋、惣菜屋……生活に必要な食料品を揃えます」
「8階です」
「8階は、お土産売場とデザートショップ、そして茶店を予定しています」
「観光客向けですか?」
ヴィクトールが、聞く。
「はい。ダンジョンを目的に、各地から人が集まります。冒険者だけでなく、見物客や商人も来るでしょう」
レンが、答える。
「なるほど……」
「9階です」
「9階は、衣料品、美容品、化粧品、リネン系の販売店を予定しています」
「10階です」
「10階は、図書館を予定しています。ダンジョンの研究資料、魔法書、歴史書……様々な本を揃えます」
「図書館……ダンジョン攻略の情報収集に役立つ……」
ヴィクトールが、メモを取る。
「11階から13階です」
映像が、切り替わる。
綺麗な廊下が映る。
「11階から13階は、職員専用の住居……社宅です。こちらも、すでに完成しています」
「社宅まで……!」
ヴィクトールが、驚く。
「はい。各階35部屋。3フロアで合計105部屋です」
レンが、説明する。
「全て、2LDKです」
「2LDK……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「それだけでも凄いですが……」
レンが、続ける。
「全室に、この世界の最高水準の魔導具設備を完備しています。魔導自動調光システム、魔導温水器、魔導浴槽……」
「最高水準の……」
「そして……」
レンが、少し間を置く。
「全室に、ウォシュレット付きの水洗トイレを設置しています」
「!」
ヴィクトールが、首を傾げる。
「ウォシュレット……水洗トイレ……?」
「水で洗浄できる、衛生的なトイレです。レバーを操作すると水が流れ、別のボタンで温水洗浄もできます。臭いは全くありません」
レンが、説明する。
「……!!」
ヴィクトールが、目を丸くする。
「そのようなトイレが……全105部屋に……」
「はい」
レンが、頷く。
「働く職員には、快適な環境を提供します。それが、良い仕事につながりますから」
「……」
ヴィクトールが、しばらく言葉を失う。
「14階から15階です」
「14階と15階は、領地関係の各役所を予定しています」
「16階から17階です」
「16階と17階は、高ランク冒険者専用の高級宿屋を予定しています。Aランク以上の冒険者が、快適に滞在できる施設です」
「Aランク以上専用……!」
ヴィクトールが、反応する。
「それは……Aランク冒険者を呼び込む、大きな魅力になりますね」
「はい。腕利きの冒険者が常駐すれば、ギルドの依頼も増えます」
レンが、答える。
「18階です」
「18階は、ダンジョン内の監視ルームです。ダンジョン内に設置した800台の監視カメラの映像を、ここで24時間体制で確認します」
「800台……!!」
ヴィクトールが、叫ぶ。
「スタンピードの予兆も、早期に発見できます。冒険者が危険な状況になった場合も、監視ルームから確認できます」
「……!」
ヴィクトールが、目を見開く。
「冒険者の様子を……常時監視……」
「はい。ただし……」
レンが、続ける。
「ダンジョンは、危険な場所です。監視しているからといって、助けに行くわけではありません」
ヴィクトールが、頷く。
「当然です。ダンジョンは、命懸けで挑む場所。冒険者も、それを承知の上で入ります」
「はい。見返りが大きい分、リスクも大きい。それが、ダンジョンというものです」
レンが、同意する。
「ただ、スタンピードの予兆は早期に発見できます。それだけでも、周辺の安全に大きく貢献します」
「なるほど……」
「19階から28階は、現在未定です。将来の拡張に備えています」
「29階は、展望台です。グリューンヴァルト領全体が見渡せます」
「30階は、私の領主館です」
映像が、終わる。
「……」
ヴィクトールが、しばらく沈黙する。
圧倒された、表情。
メモが、びっしりと埋まっている。
「これは……」
ヴィクトールが、呟く。
「前代未聞の……施設です……」
ギルドへの圧力
「さて、ギルドマスター殿」
レンが、静かに言う。
穏やかな声。
だが、どこか鋭い。
「はい……」
ヴィクトールが、レンを見る。
「一つ、お聞きしてもよいですか?」
レンが、続ける。
「もちろんです」
ヴィクトールが、姿勢を正す。
レンが、ヴィクトールをまっすぐ見る。
「冒険者ギルドは、このダンジョン・タワーに関与されますか?」
レンが、問う。
静かに。
明確に。
「それとも、関与されませんか?」
「……!」
ヴィクトールが、目を見開く。
レンが、続ける。
「1階の冒険者ギルドエリアは、すでに完成しています。受付カウンターも、依頼ボードの設置スペースも……全て、ギルドが運営することを前提に作りました」
レンが、モニターに映像を映す。
完成した1階のギルドエリア。
美しい内装。
完璧な設備。
「職員の社宅も、11階から13階に合計105部屋用意してあります。2LDK、最新魔導具設備付き、ウォシュレット付き水洗トイレ完備の、この世界最高水準の住宅です」
レンが、淡々と言う。
「全て、ギルドの職員のために用意しました」
「……」
ヴィクトールが、沈黙する。
「もちろん……」
レンが、続ける。
「ギルドが関与されないという選択もあります」
「!」
ヴィクトールが、顔を上げる。
「その場合は、私が独自の組織を立ち上げます」
レンが、静かに言う。
「冒険者の受付、依頼の管理、ランク認定……全て、独自に行うことができます。クラフト魔法があります。施設も完備しています。監視システムもあります」
レンが、淡々と説明する。
「ただ……」
レンが、続ける。
「ギルドには、長年の経験とノウハウがある。全国に張り巡らされたネットワークもある。冒険者からの信頼も厚い」
「……」
「もし、ギルドが関与してくださるなら……このダンジョン・タワーは、より多くの冒険者を引きつける拠点になるでしょう」
レンが、ヴィクトールを見る。
「ですから、お聞きします」
レンが、明確に問う。
「ギルドは、関与されますか?」
「それとも、関与されませんか?」
「どちらを選ばれますか、ギルドマスター殿?」
「……」
ヴィクトールが、沈黙する。
額に、じっとりと汗が浮かぶ。
(これほどのダンジョン……)
ヴィクトールが、考える。
(100階層以上……SSランク相当のボスが出現する……)
(王国最大どころか、大陸最大のダンジョンになるかもしれない……)
(そして、このダンジョン・タワー……)
(1階の冒険者ギルドエリアが、すでに完成している……)
(105部屋の最高水準社宅まで用意されている……)
(全部ギルドのために用意してあると言った……)
(もしギルドが断れば……)
(この伯爵は、本当に独自の組織を立ち上げるだろう……)
(半神の力を持つ、神の使徒……)
(やると言ったら、必ずやる……)
(そうなれば……)
(冒険者ギルドは、大陸最大のダンジョンへの関与を、みすみす失うことになる……)
(そんな失態は……絶対に許されない……)
「……」
ヴィクトールが、ゆっくりと立ち上がる。
そして――
深々と、頭を下げる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下」
ヴィクトールが、言う。
「是非……」
「冒険者ギルドも、関わらせてください」
ヴィクトールが、頭を下げたまま、続ける。
「このダンジョン・タワーへの参加を……心よりお願い申し上げます」
「!」
レンが、微笑む。
「よろしい」
レンが、頷く。
「では、喜んでお願いします」
「ありがとうございます……!」
ヴィクトールが、顔を上げる。
安堵した、表情。
後ろに控えていたエドガーが、小さく息をつく。
(スチュアート師匠の言う通りだった……利益になると分かれば、動く……)
エドガーが、心の中で思う。
「ただし……」
レンが、続ける。
「条件があります」
「はい。何なりと」
ヴィクトールが、真剣な表情で聞く。
「一つ目。職員は、秘密を守れる方を選んでください。ダンジョン・タワーの全情報は、現時点では秘密です。全員に、契約魔法を結んでいただきます」
レンが、言う。
「二つ目。最終的な管理権は、私にあります。ギルドは、冒険者の受付と管理を担当していただきます」
「三つ目。3階から5階のショップについて……武器商、防具商、ポーション商の手配も、ギルドのネットワークでお願いしたいのです」
「!」
ヴィクトールが、身を乗り出す。
「商人の手配まで……」
「はい。信頼できる業者を、厳選して紹介していただけますか。ただし……」
レンが、続ける。
「粗悪品を売る業者はお断りです。ダンジョン内での冒険者の命に関わりますから」
「もちろんです」
ヴィクトールが、力強く答える。
「ギルドが保証した業者のみ、紹介します」
「よろしくお願いします」
レンが、頷く。
「全ての条件、承知しました」
ヴィクトールが、答える。
実地視察
「それと……」
レンが、立ち上がる。
「言葉と映像だけでは、伝わらないことも多いかと思います」
レンが、ヴィクトールを見る。
「実際に、ダンジョン・タワーをご覧になりますか?」
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「グリューンヴァルト領は……王都から馬車で3日以上かかりますが……」
「問題ありません。今すぐ行けます」
レンが、微笑む。
「今すぐ……?」
ヴィクトールが、困惑する。
「ただし……」
レンが、真剣な表情で言う。
「これからお見せする移動方法については、秘密にしていただけますか?契約魔法でお約束いただきたいのですが」
「……分かりました」
ヴィクトールが、頷く。
レンが、契約魔法を発動する。
「では……少し驚かれるかもしれません。ご安心ください」
レンが、ヴィクトールの肩に手を置く。
「転移」
光が、二人を包む。
「!」
ヴィクトールが、驚く。
一瞬。
光が消える。
「……!!」
ヴィクトールが、周囲を見渡す。
目の前に、巨大な塔。
高さ100メートルのダンジョン・タワー。
湖の中の、円形陸地。
「こ、ここは……!」
ヴィクトールが、呆然とする。
「グリューンヴァルト領です」
レンが、静かに言う。
「王都から、一瞬で……」
ヴィクトールが、震える声で言う。
「はい」
レンが、微笑む。
「くれぐれも、秘密でお願いします」
「……は、はい……」
ヴィクトールが、まだ動揺している。
「では、ご案内します」
レンが、タワーの正面玄関へ向かう。
ダンジョン・タワー内部の視察
1階
タワーの正面玄関。
大きな扉が開く。
「1階です」
レンが、案内する。
ヴィクトールが、中に入る。
「……!」
ヴィクトールが、息を呑む。
映像で見たよりも、遥かに広い。
広大なギルドエリア。
美しい石畳の床。
高い天井。
魔石灯で、明るく照らされている。
受付カウンターが、10台。
依頼ボードの設置スペース。
広々とした食事処のエリア。
テーブルと椅子が、整然と並んでいる。
「これが……1階……」
ヴィクトールが、周囲を見渡す。
「映像では分からなかった……本当に、広いですね……」
「食事処のエリアは、200名以上が同時に食事できます」
レンが、説明する。
「ここで食事しながら、依頼の話ができます」
「冒険者には、うってつけの場所ですね……」
ヴィクトールが、頷く。
ヴィクトールが、受付カウンターを触る。
作りを確認する。
「この品質……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「王都のギルドより、立派な設備です……」
社宅の視察
「次に、社宅をご覧いただきましょう」
レンが、言う。
「魔導エレベーターで参ります」
「魔導……エレベーター?」
ヴィクトールが、首を傾げる。
レンが、エレベーターの前に立つ。
扉が、開く。
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「この箱は……」
「上下に移動する装置です。乗ってください」
二人が、乗り込む。
扉が閉まる。
上昇する。
「!」
ヴィクトールが、壁に手を触れる。
「動いている……!」
「はい。魔力で動きます」
11階に到着する。
扉が開く。
廊下。
整然と並ぶ扉。
「こちらが、社宅です」
レンが、一室の扉を開ける。
「どうぞ」
ヴィクトールが、中に入る。
「……!」
ヴィクトールが、驚愕する。
広い玄関。
リビング。
キッチン。
2つの寝室。
「2LDKです」
レンが、説明する。
ヴィクトールが、部屋を見回す。
「この魔石灯……自動で明るさが変わる……」
「はい。魔導自動調光システムです」
「こちらが浴室です」
レンが、扉を開ける。
「!」
広い浴室。
魔導温水器。
魔導浴槽。
「いつでも、温かいお湯に入れます。温度も調整できます」
「素晴らしい……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「そして……こちらが、トイレです」
レンが、別の扉を開ける。
清潔な、水洗トイレ。
ウォシュレット付き。
「これは……!」
ヴィクトールが、近づく。
「先ほど説明したウォシュレット付き水洗トイレです。臭いは全くありません」
「……!!」
ヴィクトールが、しばし絶句する。
「このようなトイレが……全105部屋に……」
「はい。職員に、快適な環境で働いていただきたいのです」
レンが、微笑む。
「こんな住宅……王都の上級貴族でも、なかなか住めないでしょう……」
ヴィクトールが、呟く。
(この伯爵は……本物だ……)
ヴィクトールが、心の中で思う。
(領民のために……職員のために……本当に考えている……)
18階・監視ルーム
「18階の監視ルームもご覧ください」
レンが、言う。
再び、エレベーターで移動する。
18階。
扉が開く。
広い部屋。
壁一面に、モニターが並んでいる。
「!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「これが……監視ルーム……」
「はい。ダンジョン内800台の監視カメラの映像が、ここに映し出されます」
レンが、モニターを操作する。
各階の映像が、映し出される。
封印されたダンジョンの内部。
「これが……ダンジョンの内部……」
ヴィクトールが、食い入るように見る。
「各階の様子が、リアルタイムで確認できます」
レンが、説明する。
「スタンピードの予兆……魔物の異常な動き……全て、ここで察知できます」
「……素晴らしいシステムです……」
ヴィクトールが、感嘆する。
「ここに、職員を常駐させますか?」
ヴィクトールが、聞く。
「はい。24時間体制で、交代で監視します。ギルドの職員の中に、担当者を選んでいただけますか?」
レンが、聞く。
「承知しました。責任感の強い者を選びます」
ヴィクトールが、頷く。
29階・展望台
「最後に、29階へ」
レンが、言う。
エレベーターで上昇する。
29階。
展望台。
扉が開く。
「!」
ヴィクトールが、息を呑む。
窓の外に、広大な景色。
グリューンヴァルト領全体が、見渡せる。
整然と並ぶ住宅地。
美しい林。
中央の、大きな湖。
その中に、今まさにいるダンジョン・タワー。
遥か彼方まで続く、城壁。
「凄い……」
ヴィクトールが、窓に近づく。
「これが全部……グリューンヴァルト領……」
「はい。314km²です」
レンが、答える。
「……!!」
ヴィクトールが、驚愕する。
「314km²……王国内でも、上位の広さではないですか……」
「はい」
「……信じられない……」
ヴィクトールが、しばらく景色を眺める。
目が、輝いている。
(この領地に、大陸最大のダンジョンがある……)
ヴィクトールが、考える。
(ここは、王国最大の冒険者拠点になる……)
(いや、大陸最大に……)
「素晴らしい……」
ヴィクトールが、呟く。
「閣下……このダンジョン・タワーが完成した暁には……」
ヴィクトールが、振り返る。
「王国中の冒険者が、ここを目指すでしょう」
「はい。そのために、ギルドの力が必要です」
レンが、答える。
「お任せください」
ヴィクトールが、力強く言う。
「ギルドの総力を挙げて、支援します」
職員の人数と今後の方針
「では、改めて確認させてください」
1階に戻って。
ヴィクトールが、真剣な表情で言う。
「何名の職員を、派遣させていただけますか?」
「そうですね……」
レンが、考える。
「最初は50名でしょうか。1階のギルドエリアの運営、18階の監視ルームの担当……まずは、この二つを優先で」
「50名……」
ヴィクトールが、計算する。
「実際に施設を拝見して……確かに、最初は50名が適切かと思います」
ヴィクトールが、頷く。
「ただ……」
ヴィクトールが、続ける。
「このダンジョンが開放されれば、全国から冒険者が集まります。100階層以上の大規模ダンジョン……受付だけで、相当な数が必要になります」
「はい」
レンが、頷く。
「最初は50名で始めて、状況を見ながら増員しましょう。社宅は105部屋ありますから、余裕があります」
「承知しました」
ヴィクトールが、答える。
「最終的には、100名以上になることも想定しています」
「分かりました」
レンが、頷く。
「それと……3階から5階の商人の手配……」
ヴィクトールが、確認する。
「はい。武器商、防具商、ポーション商……信頼できる業者を厳選してください」
「承知しました。必ずや、腕利きの業者を揃えます」
ヴィクトールが、力強く言う。
「1週間以内に、職員50名と商人の目処を立てることは……できますか?」
「!」
ヴィクトールが、驚く。
「1週間……!」
「はい。ダンジョンは封印済み。監視システムも完備しています。あとは、職員と商人が揃えば開業できます」
レンが、説明する。
「……承知しました」
ヴィクトールが、頷く。
「1週間以内に、必ず揃えます」
「よろしくお願いします」
レンが、頭を下げる。
「詳細は、後ほど書面でお送りします」
「はい、お待ちしております」
ヴィクトールが、立ち上がる。
再び、深々と頭を下げる。
「グリューンヴァルト伯爵閣下……」
「はい」
「このダンジョン・タワーと共に……ギルドも成長させていただきます」
ヴィクトールが、感慨深く言う。
「はい。一緒に、作り上げていきましょう」
レンが、微笑む。
「では、王都にお戻りいただきましょう」
レンが、ヴィクトールの肩に手を置く。
「では……また驚かれますが……」
「は、はい……今度は、覚悟しています……」
ヴィクトールが、目をつぶる。
「転移」
光が、二人を包む。
一瞬。
王都のギルドマスターの部屋。
光が消える。
「……」
ヴィクトールが、目を開ける。
部屋に戻っている。
「これが……転移魔法……」
ヴィクトールが、呟く。
「本当に、一瞬で……」
「くれぐれも、秘密でお願いします」
レンが、念を押す。
「は、はい……契約魔法で誓いました。誰にも言いません……」
ヴィクトールが、頷く。
「では、よろしくお願いします」
レンが、頭を下げる。
「はい!必ず、1週間以内に!」
ヴィクトールが、力強く答える。
帰還
ギルドを出る
レンが、ギルドマスターの部屋を出る。
廊下を歩く。
エドガー、グンター、ライカが、待っている。
「レン様、どうでしたか?」
エドガーが、聞く。
「うまくいきました」
レンが、微笑む。
「ギルドマスターが、1週間以内に職員50名と商人を手配してくれます」
「!」
「本当ですか!」
グンターが、喜ぶ。
「商人まで手配してくれるとは……さすがです」
ライカが、尻尾を振る。
「実際にタワーをご覧いただいたことが、大きかったようです」
レンが、答える。
「それと……」
エドガーが、言う。
「圧力をかける場面、後ろで見ていましたが……スチュアート師匠の言う通りでしたね」
「はい。利益になると分かれば動く……まさに、その通りでした」
レンが、微笑む。
「スチュアートさんの助言には、いつも助けられます」
「師匠に、報告しておきます」
エドガーが、携帯電話を取り出す。
「012」を入力。
スチュアート。
『はい、スチュアートです』
「エドガーです。ギルドとの交渉が、うまくいきました。スチュアート師匠の助言通りでした」
『そうですか……それは良かったです』
スチュアートが、静かに言う。
『レン様のご判断と実力あってのことですよ』
「では、帰ります」
エドガーが、通話を切る。
「では、帰りましょう」
レンが、言う。
4人が、ギルドを出る。
「転移」
光が、4人を包む。
グリューンヴァルト領へ。
一瞬。
光が消える。
ダンジョン・タワーの前。
そびえ立つ、100メートルの塔。
「あそこに、ギルドが入る……」
レンが、タワーを見上げる。
「1週間後には、開業できる……」
(これからが、本当のスタートだ)
レンが、考える。
その夜・30階の執務室
30階の領主館。
レンの執務室。
窓から、グリューンヴァルト領が見渡せる。
美しい夜景。
アラクネが、肩に乗っている。
「キュルル~」
「今日は、大きな一歩だったな」
レンが、呟く。
携帯電話を、手に取る。
「002」を入力。
辺境伯。
『もしもし、辺境伯です』
「レンです。今日、王都のギルドに報告してきました。1週間以内に50名の職員と、商人も手配してもらえることになりました」
『!』
『本当ですか!素晴らしい!ギルドマスターを動かすとは……さすが、レン殿ですね』
「ありがとうございます。実際にタワーを見せたのが、効果的でした」
レンが、答える。
『いよいよ、開業ですね。楽しみにしています』
通話を切る。
「004」を入力。
アリシア。
『もしもし、アリシアです』
「レンです。ギルドから50名の職員と商人を手配してもらえることになりました」
レンが、報告する。
『!』
『凄いです!どうやって説得されたのですか?』
「映像を見せた後に、実際にタワーへご案内しました。社宅の2LDK……ウォシュレット付き水洗トイレを見た時の、ギルドマスターの顔が印象的でしたよ」
レンが、苦笑する。
『ふふ……』
アリシアが、笑う。
『ウォシュレットで……』
「はい。そして……少し圧力もかけました。関与しますか、しませんかと聞いたら……ギルドマスターが頭を下げてくれました」
『レン様らしいです……でも、上手くいったのですね』
「はい。1週間後には、開業できます。楽しみにしていてください」
『はい!楽しみにしています!おやすみなさい、レン様!』
「おやすみなさい、アリシア」
通話を切る。
レンが、窓の外を見る。
夜のグリューンヴァルト領。
静かに、広がっている。
「もう少しで、開業だ……楽しみだな、アラクネ」
「キュルル!」
アラクネが、元気に鳴く。
その時――
念話が、響く。
『レン様!』
エリシアの声。
『エリシア様』
レンが、答える。
『ギルドの説得、完璧でした!実際にタワーを見せるとは……スチュアートさんの助言を活かしましたね!』
エリシアが、賞賛する。
『ありがとうございます。スチュアートさんには、いつも助けられています』
『「関与しますか、しませんか」という問いかけ……ギルドマスターが頭を下げるしかない状況に……上手でしたよ』
エリシアが、笑う。
『でも、これがお互いのためになりますから』
レンが、答える。
『はい!それが一番ですよ!では、おやすみなさい!1週間後の開業、楽しみにしています!』
エリシアが、励ます。
『はい。おやすみなさい、エリシア様』
念話が、切れる。
レンが、椅子に座る。
(1週間後……)
レンが、考える。
(ダンジョン・タワーが、開業する……)
(冒険者たちが、やって来る……)
(危険なダンジョンに、命懸けで挑む者たちが……)
(それを支える施設を……しっかり作り上げなければ……)
レンが、微笑む。
目を閉じる。
静かに、眠りにつく。
明日への、期待を胸に。
第61話 完
次回予告:
第62話「ダンジョン・タワー開業前夜」
1週間後。
ギルドから、職員50名が到着。
ギルドマスター・ヴィクトールも、同行する。
武器商、防具商、ポーション商も続々と到着。
全員に、契約魔法を結ばせる。
タワー内の説明会。
監視ルームの使い方。
緊急時の対応手順。
スタンピード発生時の行動マニュアル。
そして――
グリューンヴァルト領の住民たち、辺境伯と騎士たちも集まる。
開業前夜。
準備が、整っていく。
翌日の開業に向けて。
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