悠久の大陸

彩森ゆいか

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第65話 卑猥な根っこ

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 戦闘開始。
 ナツキは剣を振り上げた。助走をつけて地面を蹴る。
「やぁっ!」
 植物の形をしたボスモンスターを、思い切り斬りつける。赤い数字が跳ねた。少ない。数値が低い。これでは時間がかかってしまう。思っていたよりもだいぶ硬い。いや、強いのか?
 ナツキのレベルで戦える相手ではないのかもしれない。
(どうしよう……っ!)
 焦った。だがもう戦いは始まってしまっている。途中で逃げることができないわけではないが、できることなら倒したい。パーティで挑まず、ソロで行動したのがまずかったのだろうか。
「あっ」
 植物の根元でうねうねと動いている大量の根っこの一部が、ナツキの足首に絡みついた。引っ張られ、地面に倒れてしまう。心底から焦った。
(やばい……っ!)
 ここはアダルト空間。触手に犯された記憶が蘇る。フラッシュバック。
(やだ……っ!)
 根っこが腕にも胴体にも絡みついてきた。ぐるぐるに巻かれる。しかも地面に引きずられ、ライフがガンガン減っていく。
「やだっ、やっ……」
 痛い。背中が痛い。引きずられた痛みはリアルだ。
 しかも空中に全身を持ち上げられて、ガンッと地面に叩きつけられた。ライフがごっそり減る。反撃なんてとてもできそうにない。強い人はこういう時どうしているのか。根っこに絡みつかれた状態のまま、剣を振るうのだろうか。
 根っこを斬る。いや、とてもそんな余力はない。
 無理だ。
 ガンッと地面に叩きつけられた。ナツキはそのままぐったりとする。
 ……無理だ。
 ライフがゼロになり全滅すると、直前の状態で蘇る。今の場合はボスモンスターと戦う前の状態まで戻る。ペナルティはある。生き返る代わりにレベルがひとつ下がる。
 レベルが下がらない方法もある。課金すれば。 
 一人ではなく、二人以上なら、魔法かアイテムで生き返らせることができるので、全滅にはならない。
 だが、今は一人だ。
「……あ……?」
 根っこが不穏な動きを見せる。嫌な予感が的中したようだ。手足、身体の上をずるずると這う。
 装備が脱がされていく。だが全身が痛み、動けない。
 ナツキは深く息をつき、早々と諦めた。全身の力を抜く。
 実はすでに気持ちよくなりはじめていた。気持ち悪いはずの根っこが気持ちいい。ずるずると身体の上を這われ、無駄に数値を高められた性感帯が反応する。
「……はっ……ぁっ……」
 びくびくと小刻みに震えた。根っこは心得たような絶妙な動きを見せる。おそらくナツキの性感スキルの高さに対応しているのだろう。
「ふっ……」
 足がむき出しになる。素肌を根っこが這う。足を高く持ち上げられた。
 いつの間にか下腹部もむき出しだった。よく見れば胸元も。
「あっ」
 乳首の上を根っこが這う。絶妙な力加減と速度。ナツキはめまいでくらくらした。
 根っこは局部にも巻きつき、何か粘液のようなものを分泌しながら、ぬるぬるとしごいてきた。
「あっ……」
 もうナツキにはどうする術もなかった。されるがままになるしかない。
(……だめ、だ……気持ち、いぃ……っ)
 巻きつかれた両足は、左右に大きく広げられたまま固定され、窄まりを狙うように数本の根っこが迫ってきた。
 狭いそこに、強引にねじ込むように何本かが入ってくる。
「うぁっ……」
 根っこは奥まで入り込むと、ずるずると引いていく。そしてまた入ってきた。溢れるほどの粘液を滲ませ、ぬちゃぬちゃと音を立てながら縦横無尽に動き、這いまわる。
 気持ち悪いはずなのに、気持ちよくて、ナツキはもうわけがわからなくなってしまった。
「んっ……、んっ、んぁっ……」
 がくがくと全身を震わせながら、目元に涙を滲ませ、悶え喘ぐ生き物と化していく。
(数値がっ……数値がもっと低かったら、こんな、風には……っ)
 意識がどろどろに溶けていく。自分がどういう状態なのかさえも、わからなくなっていく。
 粘膜をなぞり、押し上げてくる根っこが、もっとも感度の強い場所を攻撃してくる。ナツキはびくりと跳ね、目を見開いた。
「あっ、あぁっ、あ……っ、ひぁっ……」
 達する寸前に、どこかから剣が閃いて、根っこがブチッと切れた。シュウウと音を立てながら、根っこがすべて霧散していく。
 ナツキは涙の滲んだ瞳で、剣の主を見上げた。
「いったい何をやってるんだ、おまえは」
 呆れたような声で、リュウトが告げた。そして、ナツキには目もくれずに、植物のボスモンスターの方へと向かっていく。
 ザンッ!
 ザンッ、ザンッ、ザンッ、ザンッ、ザンッ!
 舞い踊るように剣を操り、たちまち倒してしまった。
 早かった。
 しかも無傷。反撃すらさせない強さ。
 植物のボスモンスターが霧散し、金貨やアイテムがドロップされる。その中に強そうな武器もあった。大地の剣だ。
「これはおまえが使うといい。少しはマシな強さになるだろう。火の属性の敵なら炎の剣、水の属性の敵なら氷の剣、雷の属性の敵なら雷鳴の剣、土の属性の敵なら大地の剣をドロップする。店には売ってない武器だから、しばらくは重宝するだろう。ちなみに素材アイテムを揃えてから改造すると、新しい武器として生まれ変わる」
 ナツキのアイテム欄に大地の剣が入った。経験値もたくさん入り、レベルもあがった。
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