69 / 127
69 見習いの卒業
しおりを挟む
そろそろ軍師見習いから、助手に昇格もしくは、軍師省を去る時期がやってくる。毎年、軍師見習いの試験はあるが、しばらく合格するものはなく、星羅と郭蒼樹、徐忠弘3の人のままだった。この三年の間に変わったことは、徐忠弘が星羅の身長を抜いたことだった。
「俺は脱落するかもなあ」
気の抜けた徐忠弘の言葉に星羅は筆をとめる。
「なぜだ? そんなこと言うなよ」
「うーん。やっぱさあ。軍師って俺には合わないと思う。策も商売のことばかりしか出てこないし」
「商売だっていいだろ。国が富むことだって十分策だろうし」
「なんていうかさ。根本的にあんまり国に対する忠誠心っていうものがやっぱり薄いんだ」
「じゃあ、どうするつもりだ?」
「家を継ぐかな」
徐忠弘の実家は南方では有名な商家だ。
「せっかくここまで一緒に頑張ってきたのに」
残念そうな星羅に郭蒼樹が口をはさむ。
「確かに、ここで決断することは良いだろう。忠弘はきっと助手になれるがそのあとは厳しいと思う」
「蒼樹もそう思うか? 軍師というものは蒼樹や星雷みたいな、頭が冷め切ったやつか、心が熱いやつがなるもんさ」
徐忠弘は話しながら、より納得していっているようだった。
竹簡に記した策を三人は教官の孫公弘に渡した。徐忠弘は商品の流通に関して、郭蒼樹は軍事に関して、星羅は治水に関する策を講じた。結果は明後日ということで三人は久しぶりに町へ行き、酒屋で慰労会を始める。今日はしこたま飲んでやろうと、二階の奥座敷を用意してもらう。
「お疲れ様」
「一仕事だったなあ」
「手ごたえがあったな」
あっという間の三年間だったが、濃厚だった。星羅は曹隆明を男として意識する恋心と、父としての思慕の間で苦しみながら過ごした。治水に関する策は、隆明が黄河の氾濫で苦しむ民のことを話していたからだ。星羅は隆明の心の負担が少しでも軽くなるようにと策を講じる。結果的に良策であるが、その策を生み出す過程を知られれば、感傷的な策だとよい顔をされないだろう。
「忠弘の策も通ると思うけど、本当に辞めるのか?」
星羅は、徐忠弘の能力を惜しむ。
「ああ。通ったとしてもな。もうこれ以上策は出てこないよ」
「惜しい気がするがな」
郭蒼樹は徐忠弘の杯に酒を注ぐ。
「お前たちは軍師になってくれよ?」
「頑張るよ」
「ほかにやることがないからな」
「はははっ。やることないからって、さっと試験に合格されたじゃあなあ」
忠弘は笑って杯を空ける。
「しょうがないだろう。商人にも農民にもなれぬだろうし」
「確かに、蒼樹が商人だと仏頂面で何も売れそうにないなあ」
「土を耕す前に考えていそうだよなあ」
「人には適材適所というものがあるからな」
「忠弘はどこで何をしても適材適所ってかんじだなあ」
「それもなあ。器用貧乏ってやつか?」
「貧乏じゃないだろう」
他愛もないことから、真剣な話、想像までいろいろな会話を交わしあう。3人ともはっきりした個性と考え方があり、切磋琢磨しあってきた。これから徐忠弘がいなくなると思うと星羅は残念でならなかった。
人が引け始め、店の者がそろそろ終いたいと言ってきた。
「ああ、もうそんな時間なのか」
「僕はそろそろ帰るよ。二人はまだゆっくりしたらいい」
遅くなると京湖に伝えてはいたが、ほどほどにしておこうと星羅は二人に別れを告げる。
「夜も遅いことだし、送ろう」
「いや、いいよ。優々であっという間に帰れるから」
「まあまあ、星雷。遠慮するな。さすがにこの時間におなご一人を帰らせるわけにはなあ」
「え?」
徐忠弘の言葉に星羅は驚きまじまじと彼の顔を見る。
「なんだ?」
「あの、僕が女だと知っていたのか?」
郭蒼樹も怪訝そうに徐忠弘を見ている。
「ああ、最近だけどな。星雷はちっとも背丈が伸びないし、声も変わらないからな、そうかなーって」
「そっか、わかってたのか」
「だからって別にどうだってこともなかったんだけどな」
「ありがとう」
「気にするなよ。女軍師目指してがんばってくれよ」
「うん!」
「じゃ、ここで。蒼樹、後は頼む」
「ああ、任せておけ」
徐忠弘は機嫌のよい顔を見せ去っていった。星羅は郭蒼樹と二人で軍師省の厩舎にむかい、それぞれ馬を引いてきた。
「帰るか」
「うん」
2人は無言で馬に乗り走らせる。思う言葉は同じで『寂しくなる』ということだった。
徐忠弘が寄宿舎に帰ってくると、教官の孫公弘もちょうど帰ってきたようで「ようっ」と声を掛けられた。
「孫教官、お疲れ様です」
「どうだ。食堂で一杯やらねえか?」
「今、蒼樹と星雷と飲んだばっかりなんだよなあ……」
頭をひねっていると「まあ、こいよ」と強引に連れていかれた。夜更けの食堂は誰もおらず広々としていた。
「もう調理員は寝てるんじゃないですか?」
「いやいや、オヤジはまだまだ起きてるさ。なあっ! 酒と何か肴を頼む」
厨房へ孫公弘が大声でどなると「ちょっと待ってろっ」と返答があった。
「な? ほら、そこ座れ」
「は、はあ」
すぐに厨房から男が酒を運んできた。初老の男はいかつく目つきが鋭い。徐忠弘は相変わらず迫力のある食堂のオヤジだと、目をそらす。酒瓶を置くとすぐに戻り、肉と青菜を炒めたものを持ってきた。
「ほらよ」
「おお、すまんすまん」
「ゆっくりやんな」
男はまたプイっと厨房へ戻っていった。
「ほら」
「あっ、おっとと」
なみなみと酒を注ぎ杯を重ね飲み干した。軽く一杯やった後で孫公弘が尋ねる。
「結果は気にならないのか?」
「結果? ああ」
「なんだよ。気にしてなかったのかよ」
「あいやー。気にしてないというか、どっちにしても俺はもう、この辺が引き際かなって」
「お前がいるといい均衡を保つんだが、これからどうなるかなあ」
「蒼樹と星雷の組はなかなかいいと思いますけどね。夫婦軍師とかになったりとか。はははっ」
おやっという顔をして孫公弘は杯をそのまま空に浮かせた。
「星雷が女って知ってたのか」
「途中からですけどね。うちは女中だらけなので女には目ざといですよ。教官も知ってたんですか?」
「そりゃあな。上のものはみんな知ってるさ。まあ軍師省初の女人ということで、星雷の希望で男装してたわけだが」
「星雷も変わってるよなあ。嫁の行きてがあればいいが」
「嫁に行く気などないだろう。ああ、でも嫁ぎ先はたくさんありそうだぞ。わはははっ」
徐忠弘はその話を聞いてちょっと残念な気がした。秘かに彼女を気に入っていたので、行き遅れたら自分が娶ってもいいくらいに思っていた。
「そうか。じゃ、せめて婚礼衣装くらいうちで用意してやるかな」
そんな徐忠弘の気持ちに気づいてかいないのか、孫公弘はどんどん酒をつぐ。
「ここに入ったばっかりの時にもさんざん飲んだよなあ」
自分の部屋で歓迎会と称する飲み会を、徐忠弘は懐かしく思い出した。なみなみと注がれた杯の酒には、あの頃の少年のような徐忠弘ではなく、立派な青年が映っている。
「華夏一番の商人にでもなるか」
「おう! お前ならできる!」
再び乾杯して門出を祝った。
「俺は脱落するかもなあ」
気の抜けた徐忠弘の言葉に星羅は筆をとめる。
「なぜだ? そんなこと言うなよ」
「うーん。やっぱさあ。軍師って俺には合わないと思う。策も商売のことばかりしか出てこないし」
「商売だっていいだろ。国が富むことだって十分策だろうし」
「なんていうかさ。根本的にあんまり国に対する忠誠心っていうものがやっぱり薄いんだ」
「じゃあ、どうするつもりだ?」
「家を継ぐかな」
徐忠弘の実家は南方では有名な商家だ。
「せっかくここまで一緒に頑張ってきたのに」
残念そうな星羅に郭蒼樹が口をはさむ。
「確かに、ここで決断することは良いだろう。忠弘はきっと助手になれるがそのあとは厳しいと思う」
「蒼樹もそう思うか? 軍師というものは蒼樹や星雷みたいな、頭が冷め切ったやつか、心が熱いやつがなるもんさ」
徐忠弘は話しながら、より納得していっているようだった。
竹簡に記した策を三人は教官の孫公弘に渡した。徐忠弘は商品の流通に関して、郭蒼樹は軍事に関して、星羅は治水に関する策を講じた。結果は明後日ということで三人は久しぶりに町へ行き、酒屋で慰労会を始める。今日はしこたま飲んでやろうと、二階の奥座敷を用意してもらう。
「お疲れ様」
「一仕事だったなあ」
「手ごたえがあったな」
あっという間の三年間だったが、濃厚だった。星羅は曹隆明を男として意識する恋心と、父としての思慕の間で苦しみながら過ごした。治水に関する策は、隆明が黄河の氾濫で苦しむ民のことを話していたからだ。星羅は隆明の心の負担が少しでも軽くなるようにと策を講じる。結果的に良策であるが、その策を生み出す過程を知られれば、感傷的な策だとよい顔をされないだろう。
「忠弘の策も通ると思うけど、本当に辞めるのか?」
星羅は、徐忠弘の能力を惜しむ。
「ああ。通ったとしてもな。もうこれ以上策は出てこないよ」
「惜しい気がするがな」
郭蒼樹は徐忠弘の杯に酒を注ぐ。
「お前たちは軍師になってくれよ?」
「頑張るよ」
「ほかにやることがないからな」
「はははっ。やることないからって、さっと試験に合格されたじゃあなあ」
忠弘は笑って杯を空ける。
「しょうがないだろう。商人にも農民にもなれぬだろうし」
「確かに、蒼樹が商人だと仏頂面で何も売れそうにないなあ」
「土を耕す前に考えていそうだよなあ」
「人には適材適所というものがあるからな」
「忠弘はどこで何をしても適材適所ってかんじだなあ」
「それもなあ。器用貧乏ってやつか?」
「貧乏じゃないだろう」
他愛もないことから、真剣な話、想像までいろいろな会話を交わしあう。3人ともはっきりした個性と考え方があり、切磋琢磨しあってきた。これから徐忠弘がいなくなると思うと星羅は残念でならなかった。
人が引け始め、店の者がそろそろ終いたいと言ってきた。
「ああ、もうそんな時間なのか」
「僕はそろそろ帰るよ。二人はまだゆっくりしたらいい」
遅くなると京湖に伝えてはいたが、ほどほどにしておこうと星羅は二人に別れを告げる。
「夜も遅いことだし、送ろう」
「いや、いいよ。優々であっという間に帰れるから」
「まあまあ、星雷。遠慮するな。さすがにこの時間におなご一人を帰らせるわけにはなあ」
「え?」
徐忠弘の言葉に星羅は驚きまじまじと彼の顔を見る。
「なんだ?」
「あの、僕が女だと知っていたのか?」
郭蒼樹も怪訝そうに徐忠弘を見ている。
「ああ、最近だけどな。星雷はちっとも背丈が伸びないし、声も変わらないからな、そうかなーって」
「そっか、わかってたのか」
「だからって別にどうだってこともなかったんだけどな」
「ありがとう」
「気にするなよ。女軍師目指してがんばってくれよ」
「うん!」
「じゃ、ここで。蒼樹、後は頼む」
「ああ、任せておけ」
徐忠弘は機嫌のよい顔を見せ去っていった。星羅は郭蒼樹と二人で軍師省の厩舎にむかい、それぞれ馬を引いてきた。
「帰るか」
「うん」
2人は無言で馬に乗り走らせる。思う言葉は同じで『寂しくなる』ということだった。
徐忠弘が寄宿舎に帰ってくると、教官の孫公弘もちょうど帰ってきたようで「ようっ」と声を掛けられた。
「孫教官、お疲れ様です」
「どうだ。食堂で一杯やらねえか?」
「今、蒼樹と星雷と飲んだばっかりなんだよなあ……」
頭をひねっていると「まあ、こいよ」と強引に連れていかれた。夜更けの食堂は誰もおらず広々としていた。
「もう調理員は寝てるんじゃないですか?」
「いやいや、オヤジはまだまだ起きてるさ。なあっ! 酒と何か肴を頼む」
厨房へ孫公弘が大声でどなると「ちょっと待ってろっ」と返答があった。
「な? ほら、そこ座れ」
「は、はあ」
すぐに厨房から男が酒を運んできた。初老の男はいかつく目つきが鋭い。徐忠弘は相変わらず迫力のある食堂のオヤジだと、目をそらす。酒瓶を置くとすぐに戻り、肉と青菜を炒めたものを持ってきた。
「ほらよ」
「おお、すまんすまん」
「ゆっくりやんな」
男はまたプイっと厨房へ戻っていった。
「ほら」
「あっ、おっとと」
なみなみと酒を注ぎ杯を重ね飲み干した。軽く一杯やった後で孫公弘が尋ねる。
「結果は気にならないのか?」
「結果? ああ」
「なんだよ。気にしてなかったのかよ」
「あいやー。気にしてないというか、どっちにしても俺はもう、この辺が引き際かなって」
「お前がいるといい均衡を保つんだが、これからどうなるかなあ」
「蒼樹と星雷の組はなかなかいいと思いますけどね。夫婦軍師とかになったりとか。はははっ」
おやっという顔をして孫公弘は杯をそのまま空に浮かせた。
「星雷が女って知ってたのか」
「途中からですけどね。うちは女中だらけなので女には目ざといですよ。教官も知ってたんですか?」
「そりゃあな。上のものはみんな知ってるさ。まあ軍師省初の女人ということで、星雷の希望で男装してたわけだが」
「星雷も変わってるよなあ。嫁の行きてがあればいいが」
「嫁に行く気などないだろう。ああ、でも嫁ぎ先はたくさんありそうだぞ。わはははっ」
徐忠弘はその話を聞いてちょっと残念な気がした。秘かに彼女を気に入っていたので、行き遅れたら自分が娶ってもいいくらいに思っていた。
「そうか。じゃ、せめて婚礼衣装くらいうちで用意してやるかな」
そんな徐忠弘の気持ちに気づいてかいないのか、孫公弘はどんどん酒をつぐ。
「ここに入ったばっかりの時にもさんざん飲んだよなあ」
自分の部屋で歓迎会と称する飲み会を、徐忠弘は懐かしく思い出した。なみなみと注がれた杯の酒には、あの頃の少年のような徐忠弘ではなく、立派な青年が映っている。
「華夏一番の商人にでもなるか」
「おう! お前ならできる!」
再び乾杯して門出を祝った。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる