スカーレットオーク

はぎわら歓

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第二部

14 歓喜

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 スカーレットオークの葉が赤く色づき、直樹の誕生日で二人の結婚記念日がやってきた。
ここのところ二人きりでゆっくり過ごすことができなかったが、ペンションの繁忙期前の休暇が始まり記念日を祝うことにする。

 「久しぶりですね。こんな時間」
 「忙しかったからね」
 「なにもプレゼントが用意できなくて……」
 「ごめんね。俺もだよ。でも一緒に過ごせる時間がなによりだよ」

  今日は一日何もせず二人でだらだら過ごすことにした。
まだ日の光が明るい昼間からベッドの上で抱き合っている。

 「明るくて恥ずかしいな」
  直樹は笑って「まだ恥ずかしいことがあるの?」 と言いながら緋紗の服を脱がし、ゆっくりキスを交わした。
 緋紗の背中に舌を這わせると喘ぎながら彼女は尋ねる。
 「直樹さんって背中が好きなんですか?」
 「ん。意識したことなかったけど、そうみたいだね」

  緋紗はぞくぞくする感じに気分が高揚する。
 「直樹さんはどこが気持ちいい?」
 「男の性感帯なんて知れてるからね」
  笑いながら言う直樹に変なことを聞いてしまったと緋紗は赤面した。
 「緋紗はいっぱい気持ちいいところがあっていいね」
  恥ずかしいがその通りだと思い快感に身を委ねていると甘い痛みを肩に感じた。
 「ああ」

  直樹の巧みな指と舌が緋紗の身体中を這いまわり、眼鏡のレンズと同じく硬質でクールな眼差しが緋紗を征服し、『愛してるよ』という言葉が心をとろけさせた。
 全ての器官と感覚と思考が快感によって混じる。
 直樹が緋紗の中に入ってくると、混じり合った『緋紗の全て』が拡大し発散し真っ白に燃え尽きる気がする。
そして大きな快感がまた緋紗を貫き『直樹の全て』と一体化するような錯覚を起こす。
 我を忘れるようなこの官能の歓びの前では、自分の自我がとるに足らないものに思えた。

  直樹も同じように全てを手放すと同時に、全てを得るような不思議な感覚を得るのだった。
 二人は見つめあって同じところに同じようにいて同じように感じることを歓んだ。
 祝福されるような大きな歓喜の中、二人は果てた。
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