スカーレットオーク

はぎわら歓

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第三部

2 優樹

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 次の日、直樹は仕事だったが緋紗は休みだ。(休みで良かった。身体中痛い……)
 昨晩の激しい情事で筋肉痛になったようだった。(直樹さん平気なのかしら)

  直樹は林業に従事しており普段から肉体労働が多い。
そのおかげか、もう四十代半ばなのにもかかわらず、筋肉質でたるみもなく程よい厚みもった肉体だ。
 緋紗は直樹の身体を思い出しながら『もっとこんな時間が欲しいな』と昨日の直樹の言葉を頭の中でリピートさせて熱くなっていた。


 「ただいまー!」
  夕方、優樹が元気な声で帰宅し、まっすぐに台所へ向かい緋紗のもとへやってきた。
 「どうだった?」
 「楽しかったよ。でもご飯が美味しくなかった」
  優しく緋紗は笑って優樹の髪を撫でる。

 「今日はカレーだけどいい?」
 「うん。お母さんのカレー大好きだよ」
  まだ緋紗より頭一つ分小さい背の優樹は緋紗の背中に手を回し、胸に顔をうずめて匂いを胸いっぱいに吸い込んでいるようだ。
 (あーあ。こんなとこ直樹さん見たらムスっとするんだろうなあ)
 「ほら、ちゃんと手洗いうがいして。荷物おいておいで」
 「はーい」
  優樹は緋紗の言う事に素直に従って部屋に行った。
 引き続き食事の支度をしていると直樹も帰ってきた。

 「ただいま」
 「おかえりなさい」
  直樹は緋紗の頬を撫でた。
 「もう帰ってるのか」
 「ええ。今部屋よ。もうご飯になるから呼んでやってくれる?」
 「いいよ。じゃ俺も着替えてくる」
この日の食卓は優樹の土産話でもちきりだった。
 優樹は祖母と伯父夫婦へと緋紗の職場のペンションにお菓子を買ってきていた。
 「気が利くな」
 「まあね」
 直樹がほめると優樹は誇らしげに笑った。

 「明日は土曜日だからお母さんだけ仕事なの。ごめんね。二人でゆっくりしてて。午後には帰るから」
 緋紗はペンション『セレナーデ』を経営している吉田和夫にアトリエを借りて陶芸教室を開催している。
また市内の公民館や福祉施設でも陶芸教室を行っており精力的な活動を行っていた。

 「おばあちゃんとこでも行くか」
 「うん。お土産渡すよ。聖乃ねえちゃんと孝太にいちゃんいるかな」
 「どうだろなあ。二人とも部活じゃないのか。おばあちゃんと伯父さん達はいると思うけど」

 直樹の実家は車で二十分ほど下って行った町中にあり、母の慶子と兄夫婦と子供二人の五人が暮らしている。
 優樹の従兄にあたる孝太は歳も近いので兄弟のようだ。
 優樹は一人っ子だが従兄弟たちと吉田和夫の娘、和奏に可愛がられて育っているため一人っ子らしい身勝手さがあまりなく、どちらかというと末っ子特有の甘え上手さや空気を読むことに長けている。

 「あー。おなか一杯。もう眠いや」
 「すぐお風呂入れるから。早く寝なさい」
 「んー」
  優樹は目をこすってあくびをした。
 風呂から上がり、自分の部屋で眠っていると思ったらやはり直樹と緋紗の眠っている間に割り込んでくる。
 「おいおい。自分の部屋で寝てろよ」
  直樹が言っても「寒いもん……」 と言って優樹は緋紗にくっついてすっかり寝込んでしまった。
  直樹のため息に緋紗も同じようにやれやれと言う顔して、二人は優樹を挟んで手をつないで眠ることにした。
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