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風の住処(番外編)
23 結婚
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新緑が眩しい季節がやってきて颯介と早苗は結婚した。
挙式は人前式で簡素なものだったが、颯介の遊ばない宣言と、遊びに誘うな宣言には友人たちを大いに驚かせる。
しかし、颯介の友人たちは、新婦には気の毒だが颯介のふらつきは健在だと思っており、
いつまで結婚が続くか賭けをするぐらいだった。
颯介の宣言に会場はざわめいたが、その後の早苗の宣言には水を打ったように静かになり、感動し涙を流すものもあった。
これならさすがの颯介も落ち着くだろうと皆、感心したのだった。
『今日は私たちの結婚式に集まってくださってありがとうございました。
まだ出会って一年でお互いのことを良く知っているとは言えません。
でも颯介さんは私のことをもっと知りたいと言ってくれました。
私ももっと知りたいと思っています。
彼は私に愛される歓びと愛する喜びをくれました。
与えられたものを私もあげたいと思っています。
歳をとっても今の気持ちを忘れずに生涯ともに歩んでいくことを誓います。』
颯介も感動したらしく潤んだ目で早苗を見つめていた。
友人たちのヤジの中、披露宴はガーデンパーティーに続いて行く。
緑の綺麗な柔らかい芝生の上で披露宴は行われた。
気の置けない立食パーティーで、白のウエディングドレスから薄いグリーンのシンプルなドレスに着替えた早苗は、
まるでアヤメの花のようですっと伸び、まっすぐな美しさを感じさせる。
「あれ見てよ。颯介のだらしない顔」
ニヤニヤ笑いながら絵里奈は直樹に耳打ちした。
「あんなだらしない顔した兄貴見るのも初めてかも」
直樹は感心して眼鏡を直しながら颯介を眺めている。
「おじちゃんも先生も良かったね」
葵はケーキを頬張りながらにっこり笑っている。
「まあねえ。さすがの颯介ももう遊ばないかな。
しっかし、早苗先生あんなに綺麗だったとはねえ。
そこはさすが颯介と言いたい」
色んな意味で驚きを隠せいない絵里奈だったが暖かい気持ちでいっぱいだった。
「親父とお袋も一安心って顔してるよ」
直樹はちらっと両親を見た。
輝彦と慶子がつがいの鳥のように寄り添って、颯介と早苗の様子を微笑みながら眺めている。
「おじちゃんとおばちゃんも誤解とけて良かったね。これであとは直君だけね」
「俺はまあいいよ。見てたらもうおなか一杯。それより絵里奈さんこそいい男みつけたら?」
「そうねえ。今の私には葵がいればいいからさ」
葵の桃色の頬についた生クリームを、指先でそっと取りペロッと舐めた。
颯介は早苗にそっと耳打ちした。
「綺麗だ。抜け出して早く二人きりになりたいよ」
「だめだよ、颯介」
頬を染めた早苗が美しく輝いている。
会場に透明で柔らかいそよ風が吹く。
その風は颯介と早苗をくすぐりながら二人を祝福し周囲へ拡散していった。
身体中に風を感じて、ここにいる誰もが愛し合う歓びを感じていた。
挙式は人前式で簡素なものだったが、颯介の遊ばない宣言と、遊びに誘うな宣言には友人たちを大いに驚かせる。
しかし、颯介の友人たちは、新婦には気の毒だが颯介のふらつきは健在だと思っており、
いつまで結婚が続くか賭けをするぐらいだった。
颯介の宣言に会場はざわめいたが、その後の早苗の宣言には水を打ったように静かになり、感動し涙を流すものもあった。
これならさすがの颯介も落ち着くだろうと皆、感心したのだった。
『今日は私たちの結婚式に集まってくださってありがとうございました。
まだ出会って一年でお互いのことを良く知っているとは言えません。
でも颯介さんは私のことをもっと知りたいと言ってくれました。
私ももっと知りたいと思っています。
彼は私に愛される歓びと愛する喜びをくれました。
与えられたものを私もあげたいと思っています。
歳をとっても今の気持ちを忘れずに生涯ともに歩んでいくことを誓います。』
颯介も感動したらしく潤んだ目で早苗を見つめていた。
友人たちのヤジの中、披露宴はガーデンパーティーに続いて行く。
緑の綺麗な柔らかい芝生の上で披露宴は行われた。
気の置けない立食パーティーで、白のウエディングドレスから薄いグリーンのシンプルなドレスに着替えた早苗は、
まるでアヤメの花のようですっと伸び、まっすぐな美しさを感じさせる。
「あれ見てよ。颯介のだらしない顔」
ニヤニヤ笑いながら絵里奈は直樹に耳打ちした。
「あんなだらしない顔した兄貴見るのも初めてかも」
直樹は感心して眼鏡を直しながら颯介を眺めている。
「おじちゃんも先生も良かったね」
葵はケーキを頬張りながらにっこり笑っている。
「まあねえ。さすがの颯介ももう遊ばないかな。
しっかし、早苗先生あんなに綺麗だったとはねえ。
そこはさすが颯介と言いたい」
色んな意味で驚きを隠せいない絵里奈だったが暖かい気持ちでいっぱいだった。
「親父とお袋も一安心って顔してるよ」
直樹はちらっと両親を見た。
輝彦と慶子がつがいの鳥のように寄り添って、颯介と早苗の様子を微笑みながら眺めている。
「おじちゃんとおばちゃんも誤解とけて良かったね。これであとは直君だけね」
「俺はまあいいよ。見てたらもうおなか一杯。それより絵里奈さんこそいい男みつけたら?」
「そうねえ。今の私には葵がいればいいからさ」
葵の桃色の頬についた生クリームを、指先でそっと取りペロッと舐めた。
颯介は早苗にそっと耳打ちした。
「綺麗だ。抜け出して早く二人きりになりたいよ」
「だめだよ、颯介」
頬を染めた早苗が美しく輝いている。
会場に透明で柔らかいそよ風が吹く。
その風は颯介と早苗をくすぐりながら二人を祝福し周囲へ拡散していった。
身体中に風を感じて、ここにいる誰もが愛し合う歓びを感じていた。
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