ペット女の愛され方

miyu.

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そういう関係

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密室空間のエレベーターの中
再び、じっ…とシロさんに見つめられる。


「あ、あの…、」


そのあまりにも綺麗で透き通ってる瞳にビクビクと怖気付いちゃって
無意識に隣にいた丸山さんに引っ付いた。


「ペットって、どう見ても人間だよね?」

「別にペットは動物だっていう決まりはないっしょ」

「でも女の子をペットにするなんて聞いたことない」

「そう?
ほら、昔あったじゃん。人間をペットにするドラマ」

「あれはだって、大人の女性が可愛い男の子に癒しを求めてペットにしただけだったよ」

「だったらその逆があってもいいんじゃね?」


怖気付いてる私を察してか
シロさんの怒涛の質問を私が付け入る隙もないくらい全てペラペラと返してくれて
そのあまりの即答っぷりと悪びれた様子がない態度に
シロさんも、う~んと頭をひねらせて言葉を失くした。


「んー、
じゃあその子はそういうプレイが好きってこと?」

「……へ?」


突然のその言葉に間抜けな声を出すと
静かに動いていたエレベーターが止まって扉が開いた。


「は、はぁ?!///」

「あれ?違うの?」


開いたドアを抑えながらキョトンとするシロさんと
そのやり取りに爆笑してる丸山さん。


「違いますっ、そういうペットじゃなくてっ」

「え?じゃあますます意味不明なんだけど」

「だから、
「まーまーまー、」


”俺のペット”発言にやらしい想像しかしてないんであろうシロさんを
なだめるようにそう言い放つと


「そういう関係は一切なしだからさ。」

「うん…?」


絶対納得してない顔して首を傾げた。


「でもそういう関係がないからこそさ
こいつも溜まるだろうし、シロがたまに相手してやってよ」

「「は?」」


意味の分からないその発言に思わずシロさんと二人でハモってしまう。


「あれ?俺なんかおかしい事言った?」


私たちを置いてけぼりにそう笑うけど
ぜんっぜん笑えない。

そんな硬直してる私たちをよそに
扉を抑えてたシロさんをポンッと押し出してエレベーターの外へと追いやった。


「じゃ、おやすみー」


そしてそのまま
急に押し出されことでバランスを崩したのか尻もちをついちゃったシロさんを残してひらひらと手を振ると
私たちはもう一つ上の階へとまたエレベーターを進めた。




「……どういうことですか。」


二人になった空間で
きっ!と少し上にあるお顔を睨むと
ん?って可愛く私を見下ろした。


「どうって別に、そのまんまの意味」

「そのまんま…?」

「俺はペット抱いてやれないもん。
抱いて欲しくなったら、シロんとこ行けばいいよ」

「はぁ?!」


下の階にいるんだし近くていいじゃん、って。
近い、とかそういう問題じゃないし。


「シロじゃ不満?」

「そ、そういうわけじゃないけど…、」


不満どころか、あんなにイケメンに抱かれるとか相当幸せそ、

・・・じゃなくて!!


「そういう軽ーい感じだめっ!」

「えー?だって女だってしたくなるっしょ?」

「……なっ、別に…、」

「あれ?したくならない?」

「ならな……、」


ならな……い、かな?
いや、女の子だってそういうことしたくなる気分のときだって、

「ふっ、やっぱあるんだろ~」

「な、ないっ!!///」


今やらしい顔してた~ってからかうから
エレベーターに響き渡るくらいの音量で強くそう否定すると
再び到着したエレベーターの扉が開いて
赤くなってるであろう顔を隠すように慌てて外へと飛び出した、

瞬間──、


パシッ…、と腕を取られて胸の中へ引き寄せられた。



「どうしてもっていうなら
抱いてやってもいいけど?」


身体が痺れるくらいのその甘ったるすぎる声が
耳元から脳に直接響いた。
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