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悪夢
しおりを挟むどこかの部屋に連れていかれ、頭の布が外された
俺は眩しい光に照らされて部屋の床に座らされている
一段高い所に背もたれの付いた椅子に足を組んで座る九条杏珠さん
彼女はスーツ姿に着替えていた
俺は手を後ろにロープで縛られて自由が効かない状態だ
さっきの橘って人と黒服の人達10人ぐらいに囲まれている
壁にはどこの拷問部屋かって言わんばかりの妖しい危惧が飾ってある
(た・・・単なるインテリアだよね・・・)
「うふふ、中々楽しかったわよ~舞風君」
「でもオイタの代償はしっかり取ってもらわないとねぇ~」
「す、すいませんでした!反省しています」
「酔っぱらっていたとはいえ大変な事してしまいました!」
土下座状態で床に頭を擦り付けて謝った
(確かにやり過ぎたんだ、謝るしかない・・・ホントに。)
「あのね、舞風君?謝って済めば警察はいらないの・・わかる?」
冷たい言葉が突き刺さる
「まさかね・私の大事な誕生パーティーで痴漢されるなんて思わなかったわ」
「・・・・・・・・・」
ゾクッ
震えが止まらない・・・こんな状態って初めてだ
血の気が引いていくのが分かる
ガクガクブルブルってきっと、こういったのを言うんだな・・・
でも、だからって、これはやり過ぎじゃないのか?
口の中切れているし・・・俺・・ちゃんと謝っているし・・・
「お・・俺にも人権とかあるし・・慰謝料ならちゃんと払いますから」
「どうか許して下さい・・」
そう言うと空気がズンと重くなった気がした
アッハハハハハ
「これだから~平民のガキを揶揄のって止められないのよねぇ」
「あなた人権とか言うけどさ、それ与えてやっているのは誰だと思っているの?」
「まさか本気でタダで権利とかあって自分は価値ある存在って思っている?」
「虫唾が走るのよねぇ・・・そういうのを聞くと」
「ねぇ?」
「はい、杏珠お嬢様」
俺の横に来た紫色のスーツの男が名刺を見せて来た
「わたくし、杏珠お嬢様の顧問弁護士をしている者でございまして。」
「難しい話は省いて簡潔に申しますね、質問があれば後ほどお受けします」
「衣装代も含めて慰謝料500万円を舞風様にご請求させていただきます」
はぁあああ???何それっ?桁が違うだろ???
給料手取り18万の俺にどうしろと言うんだ?
貯金も、まだ50万も溜まってないのに。
「お、俺そんな大金持っていません・・・」
「・・・・ふぅ~ん」
「あの衣装ね、オーダーメイドで250万したのよ~お分かりかしら舞風くん?」
「もう気持ち悪くて着られなくなってしまったわ」
「だ・・だって、あれは九条さんが俺の・・アレ取り出したから・・・」
スクッ
カツッカツッカツ・・・・・
九条さんが組んだ足をほどき俺の側にやって来た
「ふざけないで!!」
バキィッ ズガッ!
「うぎゃっ!」
ゴロッガガガ!!
「い、、、いつっ、ツツツ・・・」
ハイヒールで頭を蹴られて吹き飛んだ
ポタッ ポタ・・・
額から血が流れている
痛い・・・ヒリヒリして・・・何か頭がガンガンする
「止めてくれる!?さっきどれだけこの手を消毒したと思っているのよ!」
「やっと感触を忘れそうだったのに!汚らわしいったら!!」
(酷ぉ~・・・・)
ふふふ~
「そうだわ、舞風くん・・」
倒れ込んだ俺の前に九条さんがしゃがみ込んだ。
急に猫なで声になって、うっすら見えるニヤニヤした顔が気持ち悪い
スカートの中が丸見えだけど・・・そんな事どうでもいいや・・・
「500万円ってさぁ~別に払う方法って他にも色々あるのよ?」
「え?」
ザクンッ・・・ポキン・・・ポトッ
俺の視界に鉈の取り付けられたまな板が置かれ
大きなソーセージがザクンと鈍い音をたてて斬り落とされた
コロコロコロ.....
落とされたソーセージが転がってくる・・
これってヤクザ屋さんが指詰めたりするあれかな?
勿論今の状況的に俺の場合は何を意味するかってことぐらいすぐ理解した
「ひっ、ひぃ、いいいい」
後ろ手に縛られて逃げようがないんで必死に足をばたつかせ離れようとした
「あははは、良い反応だわ、舞風君」
「こんな風に粗相をした代償を現物で払ってくれても良いのだけど?」
九条さんの目は笑っていない・・・マジの目だ
言葉が見つからない・・・
「それと九州の御実家ね・・・、査定したらだいたい500万ぐらいになるそうよ」
「どうする~?」
(えっ?何で?家には両親とまだ高校生の弟妹がいるけど)
(何で俺の実家の査定とかされているんだよ???いつの間に)
「それとあなたを連れて来た御堂響子さんだったかしら縄門電気の?」
「彼女って既婚の割にはいい女よね~まぁ私程じゃないけどw」
「い、家や御堂さんには関係ない話でしょ!!」
・・・ヤッパリ何かおかしい・・・まさか初めから仕組まれていた?
俺・・・・・ターゲットにされていた可能性は無いのか?
頭をフルに働かせ考えるが今の状況では冷静に判断する事が出来ない
「ふふ、そうはいうけどねぇ慰謝料が払えないなら関係者に責任行くのは当然じゃなくて?」
「あなたの後ろにも家族や上司がいるでしょう?」
「じ・・時間を下さい、、な、何とかします!」
「あら分かっているじゃない、その言葉を待っていたのよ」
「見込みあるかもよ、舞風君」
「じゃあ、さ、ゲームしましょうか?」
「ゲーム?」
「そう、今から三か月、時間を上げる、その間に500万円用意しなさい」
「その間はあなたの家族に御堂さん、縄門電気には秘密にしておいてあげる」
「でも三か月経って500万用意できなかったら全てを開示するわよ」
「まぁ縄門電気からの解雇は間違いないでしょうね」
ゴクリッ
「わ、、、分かりました」
(と、取り敢えず今はこの場を乗り切るんだ)
(落ち着いてからちゃんと考えるんだ)
「あっ、そうそう一つだけ忠告しとくけど金融機関からローンは借りられないわよ」
「えっ、ええ!そんなっ!!」
「当然でしょ?責任は舞風君にあるもの。今の君に信用はゼロなの」
「まぁ逃げるのは自由だけど、大切な人が悲惨になるかもねぇ~」
「良いかしら?」
「はい、杏珠お嬢様」
「では舞風様、こちらにご署名と拇印をお願いします」
「500万円の借用書です期限は三か月となりますのでお忘れなく」
「尚、期限を過ぎますと利息が20%加算されますのでご確認ください」
「一応、ちゃんとした法定金利の範囲内ですので目を通して下さいね」
「・・・・はい」
それから俺は拘束を解かれ契約書にサインさせられて解放された
部屋を出る時、もう一度目隠しされてエレベーターで1階のロビーに着いた時
目隠しは外された。
「舞風君!!」
「御堂さん。」
「どうしたのよ?突然会場からいなくなって!」
「係りの人から舞風君が貧血で倒れたって連絡を受けたのよ」
「しばらく時間掛かるからロビーで待っているように言われて」
「そ・・そうなんですか・・すいません、ご心配かけてしまって」
「顔の傷酷いわね?無理に戻ろうとして階段から落ちたって聞いたけど?」
「あっ、っつ、そう聞いて・・たんですか?・・・ごめんなさい」
「ほんと、ちゃんと何かある時はすぐに私に連絡してね!」
「はい・・・ほんと、お騒がせして・・・すいませんでした」
「じゃあ社宅まで送るわ、疲れたでしょ?」
車の中で御堂さんは久々に会った友人たちと盛り上がったって話をしてくれた
俺はただ相槌を打つだけだった
御堂さん・・ひょっとして何か知っているのかな?
変に気を使われている感じがするんだ・・・・
俺は・・・・
(泣くな・泣くな・泣くな・泣くな・泣くな・泣くな・まだ泣くな)
ただ涙が出そうになるのを堪えるので精いっぱいだった
キー、バタン。
「じゃあ今日はお疲れ様~半年間よく頑張ったわね、舞風君」
「はい、全部御堂さんのお陰です、後、権藤さんも。」
「あはは、彼に言っとくね。たまには顔を出してあげると喜ぶわよ?」
「はい・・そうですね・・」
「うん、じゃ舞風君、今日はお疲れ様でした、ゆっくり休んでね」
「はい、お疲れ様でした、おやすみなさいです御堂さん」
ブロロロロォーッ
ドアから手を振って御堂さんは帰って行った
マンションの205号室
部屋に入ってベッドに倒れ込んだ
バタンッ・・・ボフッ
ほんと・・女性不振になりそうだ・・・・
(俺の女性に対して持っていたイメージが崩壊していく)
うわぁあああああああああん
えっぐ!えぐう、うわぁあああああー!
堪えていた感情が一気に爆発して泣き崩れた
これからどうすればいいんだよ・・・500万円・・・
*** 一方、舞風が出ていった後の部屋では・・・・ ***
「うふふ、可愛かったわねぇ彼、舞風君」
「そ、そうなのですか?」
「な~に、橘、何か文句あるの?」
「いいえ、そのような・・・」
「んふふ~チェリーボーイ♪」
ゆっくり舌なめずりする九条杏珠
(なかなかいい物件探し当てたかも)
(まだホントの社会の事なんて、なあにも、知らないお子ちゃま)
「えっ」
「ん・何?橘」
「い、いえ、何も・・・」
「ふん、大丈夫よ、所詮平民、私の奴隷になって貰うのは確定ね」
「せいぜい頑張ってあがいてもらいましょう♪」
「あぁ、なんて素敵、素晴らしいわ、私の為に若い子が必死に苦悩するの」
「平民達には分からないでしょうねぇ~この快楽」
「私を軸に男達が立ちまわるわ、女って、これでエクスタシー感じてなんぼよ」
「で、ですが昨年の彼は?」
「あん?あぁもう名前も忘れたわ、そういえばいたわね~?同じ縄門電気だったかしら」
「700万ポッチも払えなくて半年も待てず自殺するアホ、」
「自分の命がそれ以下って証明するって、とんだカスだったのよねぇ」
「せっかく奴隷として囲おうとしていたのに・・・」
「分かるでしょ?平民はこれだから奴隷以下っていうのよ」
「死ぬんならちゃんと生命保険かけて事故で逝こうって思わないのかしら?」
「お嬢様・・・」
「たくっ、」
「政府の言いなりに税金納めるしか能のない平民は黙ってお国の奴隷してれば良いの」
「でも私がチョイスした舞風君は私専用の奴隷に調教して、あ・げ・る・の・よ」
「んっ、んんッ・・・ゴホゴホ・」
「お嬢様、そろそろお時間ですので・・」
堪らず咳払いをする橘
齢55のベテラン執事である
「あっ、そうだわ、明日からカナダに3か月ぐらい釣りに行きましょうか?」
「ねぇ、空港の手配をお願いね、お小遣い2000万位で足りるわよね?」
「弁護士さんも、向うの口座にちゃんと振り込んどいてよ?」
「畏まりました、杏珠お嬢様」
「あなた達も準備なさい」
「はい、畏まりました!杏珠お嬢様」>黒服一堂
「ふふふ、三か月後が楽しみになったわねぇ~♪」
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