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SCREAM OUT
この場所でしか、生まれないものがある
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五曲目――《雨音リグレット》。
失われたものを悔やむようなメロディに、観客の身体が自然と揺れていく。
ギターがしっとりと空気を染め、悠人の歌声は、まるで雨に濡れた夜を抱きしめるように響いた。
六曲目――《noise》。
一転して、爆発的なビートと叫びでステージが再点火される。
蓮がいつも以上にベースをブン回し、翼のドラムが観客の心臓を直撃する。
結華は口元を歪ませて笑いながら、ギターで空気を切り裂いていく。
そして七曲目。
照明が、結華だけを照らす。
悠人はそっとマイクを手放し、彼女に差し出す。
「次の曲――歌うの、あたしね」
会場がざわつく。
ファンの間では知られ始めていた、ギターの彼女が時折見せる“声”。
しかし今日のそれは、単なる「いつもと違う曲」ではなかった。
「……《トワイライト・リフレイン》、聴いてください」
イントロが流れ始める。
今夜のセットリストの中でも、唯一“柔らかくて、でも真っ直ぐな痛み”を持つこの曲に、
彼女の声が溶けていった。
優しく、でも力強く。
決して技術だけじゃない、“覚悟”のこもったボーカル。
翼が叩くリズムは彼女の歌を守るように、
蓮の低音は包み込むように鳴り続けた。
ステージ袖の柚葉が、唇を噛んで見つめていた。
悔しさと、誇らしさと、もう一つ何かが混ざったような、そんな眼差しで。
曲が終わったとき、拍手と歓声が入り混じったような、不思議な音がフロアに満ちた。
結華は少し照れくさそうに笑い、
悠人がそっとマイクを取り返して、言った。
「……なあ、誰だよギターに歌わせろって言ったやつ。
マジで言う通りだったわ」
笑い声と歓声が、夜空に飛んだ。
八曲目、《マジックナンバー》。
軽快で、どこかポップなリズムに観客の体が自然と弾む。
この曲になると、メンバーの動きも柔らかくなる。
結華が笑いながらギターをかき鳴らし、翼がハットの音で会場を踊らせる。
「みんな、まだ体力残ってるよなー!?」
悠人が煽ると、フロアから叫び声のような歓声が返ってきた。
そのまま、間髪入れずに――
九曲目、《sundown runaway》。
夕焼けを突き破るようなスピード感。
蓮のスラップ気味のベースが炸裂し、曲全体が“逃げる”ように加速する。
観客はもはや立ち止まっていられず、最前列では次々とダイバーが飛ぶ。
翼のドラムが縦横無尽に暴れ、会場のエネルギーが頂点を迎え始める。
悠人は前列の観客とアイコンタクトを交わしながら、マイクを掲げる。
「次で……最後の曲だ!!」
十曲目――《叫べ、まだ終わりじゃない》。
イントロが鳴った瞬間、フロアが爆発した。
もはや説明も、構えもいらない。
この曲は、彼らの代名詞であり、旗印。
悠人が叫び、観客も叫ぶ。
結華がギターをかき鳴らし、観客も拳を突き上げる。
全てが渦の中に吸い込まれていくような――
それでも明確に“上昇していく”感覚。
サビ前、悠人が吠えるように叫ぶ。
「これが俺たちの……まだ終わりじゃないだあああああ!!」
もう、フロアの声は止まらない。
ダイブ、モッシュ、ジャンプ、絶叫。
野外に設けられたバリケードの前で、警備が汗をかく。
でも誰も止められない。これは音楽の爆発だ。
曲が終わった瞬間、
会場には、拍手と悲鳴と、何かもっと混ざり合った“音”だけが残った。
けれど、誰も帰らなかった。
誰も、静かにならなかった。
観客は、拳を掲げたまま――待っていた。
失われたものを悔やむようなメロディに、観客の身体が自然と揺れていく。
ギターがしっとりと空気を染め、悠人の歌声は、まるで雨に濡れた夜を抱きしめるように響いた。
六曲目――《noise》。
一転して、爆発的なビートと叫びでステージが再点火される。
蓮がいつも以上にベースをブン回し、翼のドラムが観客の心臓を直撃する。
結華は口元を歪ませて笑いながら、ギターで空気を切り裂いていく。
そして七曲目。
照明が、結華だけを照らす。
悠人はそっとマイクを手放し、彼女に差し出す。
「次の曲――歌うの、あたしね」
会場がざわつく。
ファンの間では知られ始めていた、ギターの彼女が時折見せる“声”。
しかし今日のそれは、単なる「いつもと違う曲」ではなかった。
「……《トワイライト・リフレイン》、聴いてください」
イントロが流れ始める。
今夜のセットリストの中でも、唯一“柔らかくて、でも真っ直ぐな痛み”を持つこの曲に、
彼女の声が溶けていった。
優しく、でも力強く。
決して技術だけじゃない、“覚悟”のこもったボーカル。
翼が叩くリズムは彼女の歌を守るように、
蓮の低音は包み込むように鳴り続けた。
ステージ袖の柚葉が、唇を噛んで見つめていた。
悔しさと、誇らしさと、もう一つ何かが混ざったような、そんな眼差しで。
曲が終わったとき、拍手と歓声が入り混じったような、不思議な音がフロアに満ちた。
結華は少し照れくさそうに笑い、
悠人がそっとマイクを取り返して、言った。
「……なあ、誰だよギターに歌わせろって言ったやつ。
マジで言う通りだったわ」
笑い声と歓声が、夜空に飛んだ。
八曲目、《マジックナンバー》。
軽快で、どこかポップなリズムに観客の体が自然と弾む。
この曲になると、メンバーの動きも柔らかくなる。
結華が笑いながらギターをかき鳴らし、翼がハットの音で会場を踊らせる。
「みんな、まだ体力残ってるよなー!?」
悠人が煽ると、フロアから叫び声のような歓声が返ってきた。
そのまま、間髪入れずに――
九曲目、《sundown runaway》。
夕焼けを突き破るようなスピード感。
蓮のスラップ気味のベースが炸裂し、曲全体が“逃げる”ように加速する。
観客はもはや立ち止まっていられず、最前列では次々とダイバーが飛ぶ。
翼のドラムが縦横無尽に暴れ、会場のエネルギーが頂点を迎え始める。
悠人は前列の観客とアイコンタクトを交わしながら、マイクを掲げる。
「次で……最後の曲だ!!」
十曲目――《叫べ、まだ終わりじゃない》。
イントロが鳴った瞬間、フロアが爆発した。
もはや説明も、構えもいらない。
この曲は、彼らの代名詞であり、旗印。
悠人が叫び、観客も叫ぶ。
結華がギターをかき鳴らし、観客も拳を突き上げる。
全てが渦の中に吸い込まれていくような――
それでも明確に“上昇していく”感覚。
サビ前、悠人が吠えるように叫ぶ。
「これが俺たちの……まだ終わりじゃないだあああああ!!」
もう、フロアの声は止まらない。
ダイブ、モッシュ、ジャンプ、絶叫。
野外に設けられたバリケードの前で、警備が汗をかく。
でも誰も止められない。これは音楽の爆発だ。
曲が終わった瞬間、
会場には、拍手と悲鳴と、何かもっと混ざり合った“音”だけが残った。
けれど、誰も帰らなかった。
誰も、静かにならなかった。
観客は、拳を掲げたまま――待っていた。
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