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SCREAM OUT
熱狂の夜
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会場近くの大型スペースに設けられた打ち上げ会場は、
SCREAM OUTを締めくくるにふさわしい、熱気と笑いと音楽に包まれていた。
無数の乾杯の音が飛び交い、
お互いを称え合うバンドマンたちの声が交錯する。
《まだ終わりじゃない》の4人は、メインの中央テーブルにいた。
ステージを降りても、その注目は冷めることなく、次々と声をかけられていた。
「蓮、やべぇベース鳴らしてたな今日……いやマジで、音デカくねぇ?」
「ステージの構造じゃねぇよ、お前の気迫のせいだよ」
蓮は少し苦笑しながら、「お前があのときの真田に戻ってたからな」と返した。
真田は酒を一口煽って言う。
「まーたやろうぜ、次は俺らの方から誘うわ。マジでぶちかましに行く」
「結華。……本当に最高だったよ、あの《無題》」
柚葉は少し赤い顔で、けれど真剣な目で言った。
「最後のアンコール、バケモノだった。あんな形で飛ぶとは思わなかったけど……一番衝撃だったのは、あんたのギターと歌」
結華は、照れ隠しのように笑ってグラスを掲げる。
「いつか、あたしがそっちのステージかっさらうから。見ててください」
柚葉も笑った。
「楽しみにしてる。」
翼は、TACの二人と笑いながらビールを片手にしていた。
「……正直、今日の演奏で“芯”を作れたって初めて思えた」
橘が笑う。
「お前のドラム、えげつなかった。全部引っ張ってた」
東郷は静かに頷きながら言った。
「次はお前が俺らの背中を押す番かもな。……怖い存在になったな、翼」
他のバンドマンたちも次々とやって来る。
「悠人、最後のマイクやべぇよ! もう頭おかしい(笑)」
「フェスのトリってプレッシャーの塊なのに、あれはもう事件」
「“まだ終わりじゃない”って名前、マジでそのまんまだったな」
悠人は何度も「ありがとう」と返しながら、どこか安心したように笑っていた。
深夜、打ち上げはさらに熱を帯びる。
でもその中で、誰もが思っていた。
**「今夜、音楽の時代がひとつ変わった」**と。
そして、少し離れた場所。
フェスの主催者であり、藤代が、腕を組んでステージ跡を見ていた。
そこへ、4人が歩み寄る。
「お疲れさま、店長」
悠人がグラスを掲げると、藤代は少しだけ笑って返す。
「お前らこそ、お疲れ。……マジで、とんでもねえもん見せてくれたな」
蓮がぽつりと言う。
「なんか、野音で終わったと思ってた。でも、今日……まだ続いてんだって思えた」
結華が続ける。
「《無題》、今日が一番ちゃんと鳴った気がする。
あれは、ここだったんだなって」
藤代は頷いた。
「そうだよ。ここは“お前らのためのステージ”だったからな」
静かに言葉を重ねたあと、少しだけ笑って続ける。
「……the blazeが活動止めるって聞いたとき、何か託せる奴いねぇかなって考えたんだよ。
でも、もう心配いらねぇな。お前ら、ちゃんと音で喧嘩できてた」
悠人はその言葉に、真っすぐに頷く。
「刺したままにしましたよ、藤代さん。俺らの音で」
藤代はふっと笑って、空になったグラスを掲げた。
「なら次は、俺が“祭り”をもっとデカくする番だな。――お前らが真ん中に立てるようにな」
打ち上げが終わった帰り道。
お台場の夜風が、祭りの熱を少しずつ冷ましていく。
騒がしかった屋外の打ち上げ会場を離れ、4人は人気の少ない道をゆっくり歩いていた。
海沿いの歩道には波の音が微かに響き、
遠くの観覧車が静かに色を変えていた。
翼がぼそっと言った。
「……終わったな、フェス」
蓮が両手を頭の後ろで組みながら、空を見上げる。
「でも、“終わった”って感じじゃない。……始まった、の方がしっくりくる」
「うん」と結華が静かに続ける。
「《無題》、今日がいちばん“完成”してた。……鳴らすべき場所で鳴らしたって思えた」
悠人は無言のまま、ポケットに手を突っ込んで歩いていた。
それぞれの足音だけが、夜の舗道に響く。
そしてしばらくの沈黙のあと――
悠人がポツリとつぶやいた。
「……the blaze、止まったな」
その言葉に、3人が振り向く。
「志賀さん、なんで止めたんだろうな」
誰も答えられなかった。
でも、誰も否定もしなかった。
やがて、結華が口を開いた。
「でも今日、あの人の代わりにここに立てたと思う。……一瞬でも、“代わり”じゃなく“自分たちのままで”」
悠人が少し笑って言う。
「俺たち、“まだ終わりじゃない”もんな」
4人の影が、並んで歩道に伸びる。
「藤代さんが言ってた。“次は祭りをもっとデカくする”って」
「なら、その真ん中に立ち続けようぜ。これからもずっと」
月明かりの下、風が静かに吹き抜ける中で、
4人は歩みを止めなかった。
SCREAM OUTを締めくくるにふさわしい、熱気と笑いと音楽に包まれていた。
無数の乾杯の音が飛び交い、
お互いを称え合うバンドマンたちの声が交錯する。
《まだ終わりじゃない》の4人は、メインの中央テーブルにいた。
ステージを降りても、その注目は冷めることなく、次々と声をかけられていた。
「蓮、やべぇベース鳴らしてたな今日……いやマジで、音デカくねぇ?」
「ステージの構造じゃねぇよ、お前の気迫のせいだよ」
蓮は少し苦笑しながら、「お前があのときの真田に戻ってたからな」と返した。
真田は酒を一口煽って言う。
「まーたやろうぜ、次は俺らの方から誘うわ。マジでぶちかましに行く」
「結華。……本当に最高だったよ、あの《無題》」
柚葉は少し赤い顔で、けれど真剣な目で言った。
「最後のアンコール、バケモノだった。あんな形で飛ぶとは思わなかったけど……一番衝撃だったのは、あんたのギターと歌」
結華は、照れ隠しのように笑ってグラスを掲げる。
「いつか、あたしがそっちのステージかっさらうから。見ててください」
柚葉も笑った。
「楽しみにしてる。」
翼は、TACの二人と笑いながらビールを片手にしていた。
「……正直、今日の演奏で“芯”を作れたって初めて思えた」
橘が笑う。
「お前のドラム、えげつなかった。全部引っ張ってた」
東郷は静かに頷きながら言った。
「次はお前が俺らの背中を押す番かもな。……怖い存在になったな、翼」
他のバンドマンたちも次々とやって来る。
「悠人、最後のマイクやべぇよ! もう頭おかしい(笑)」
「フェスのトリってプレッシャーの塊なのに、あれはもう事件」
「“まだ終わりじゃない”って名前、マジでそのまんまだったな」
悠人は何度も「ありがとう」と返しながら、どこか安心したように笑っていた。
深夜、打ち上げはさらに熱を帯びる。
でもその中で、誰もが思っていた。
**「今夜、音楽の時代がひとつ変わった」**と。
そして、少し離れた場所。
フェスの主催者であり、藤代が、腕を組んでステージ跡を見ていた。
そこへ、4人が歩み寄る。
「お疲れさま、店長」
悠人がグラスを掲げると、藤代は少しだけ笑って返す。
「お前らこそ、お疲れ。……マジで、とんでもねえもん見せてくれたな」
蓮がぽつりと言う。
「なんか、野音で終わったと思ってた。でも、今日……まだ続いてんだって思えた」
結華が続ける。
「《無題》、今日が一番ちゃんと鳴った気がする。
あれは、ここだったんだなって」
藤代は頷いた。
「そうだよ。ここは“お前らのためのステージ”だったからな」
静かに言葉を重ねたあと、少しだけ笑って続ける。
「……the blazeが活動止めるって聞いたとき、何か託せる奴いねぇかなって考えたんだよ。
でも、もう心配いらねぇな。お前ら、ちゃんと音で喧嘩できてた」
悠人はその言葉に、真っすぐに頷く。
「刺したままにしましたよ、藤代さん。俺らの音で」
藤代はふっと笑って、空になったグラスを掲げた。
「なら次は、俺が“祭り”をもっとデカくする番だな。――お前らが真ん中に立てるようにな」
打ち上げが終わった帰り道。
お台場の夜風が、祭りの熱を少しずつ冷ましていく。
騒がしかった屋外の打ち上げ会場を離れ、4人は人気の少ない道をゆっくり歩いていた。
海沿いの歩道には波の音が微かに響き、
遠くの観覧車が静かに色を変えていた。
翼がぼそっと言った。
「……終わったな、フェス」
蓮が両手を頭の後ろで組みながら、空を見上げる。
「でも、“終わった”って感じじゃない。……始まった、の方がしっくりくる」
「うん」と結華が静かに続ける。
「《無題》、今日がいちばん“完成”してた。……鳴らすべき場所で鳴らしたって思えた」
悠人は無言のまま、ポケットに手を突っ込んで歩いていた。
それぞれの足音だけが、夜の舗道に響く。
そしてしばらくの沈黙のあと――
悠人がポツリとつぶやいた。
「……the blaze、止まったな」
その言葉に、3人が振り向く。
「志賀さん、なんで止めたんだろうな」
誰も答えられなかった。
でも、誰も否定もしなかった。
やがて、結華が口を開いた。
「でも今日、あの人の代わりにここに立てたと思う。……一瞬でも、“代わり”じゃなく“自分たちのままで”」
悠人が少し笑って言う。
「俺たち、“まだ終わりじゃない”もんな」
4人の影が、並んで歩道に伸びる。
「藤代さんが言ってた。“次は祭りをもっとデカくする”って」
「なら、その真ん中に立ち続けようぜ。これからもずっと」
月明かりの下、風が静かに吹き抜ける中で、
4人は歩みを止めなかった。
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