「魔眼持ちは不気味だ!」と家を追い出されましたが新国王も魔眼持ちに決まったようです〜戻ってこいと言われても……もう王宮にいるから手遅れです〜

よどら文鳥

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第一章

文句と始末(ガブネス第二王子視点)

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「クックック……どうでしたか? ガブネス様。リングベルド伯爵の奴等は」
「ボクの口から説明が必要なのネ? ザガル伯爵の言う通り、使えないやつらだと思ったんだよネ……!」

 リングベルド一家にレイスとフィリムとヨハネスの件を任せたガブネス第二王子。しかし、ガブネス王子にしては珍しく苛立ちをみせていた。

「もしボクがザガル伯爵に、ヨハネスやフィリムをなんとかしてほしいって言ったらどうするんだネ?」

 笑いながらザガル伯爵は当然のように答えた。

「当然自らが汚名を被ってでも暗殺すると答えるでしょう。クックック……何を当然のような事を……」
「さすがザガル伯爵だネ。リングベルドの奴等、なかなか応じてくれなかったんだネ。特にバルス伯爵だネ。女はギャーギャー叫んでるだけで不愉快だし、子供はボクに変なこと聞いてきたんだネ!」

 ガブネス王子は、その時の出来事を思い出すと再び苛立ち、用意してあった飲み物を一気に飲み干す。

「勿論感情は出さなかったんだけど、ボク、さすがに頭にきちゃったから、『国王になったら君達無罪にするネ』って言っちゃったんだネ。ようやく納得してくれたけどネ」

 勿論、リングベルド家の人間に協力してもらう為の嘘だった。

「クックック……温厚なガブネス様を怒らせるとは……そんな事するはずもないのに……愚かな者達ですな」
「一番頭にきたのは子供だネ。レイス君の魔眼をしっかり理解しているのかって感じだったネ」

 この時ばかりは、ガブネスが頭にきていた子供=ミルトの発言をしっかりと聞いておいた方が、後の結果に大きく左右される程の重要な事だった。だが、ガブネス王子が考えるはずもなかった。
  
「やはり無能な親の子は無能ですな」
「そうだネ。レイス君の魔眼は物の出し入れだネ。そんな無力な魔眼に対策なんかいらないネ」
「ザガル伯爵。無力魔眼のレイス君やヨハネスを何とかするために、わざわざ用意してあげている準備はどうなんだネ?」
「既に下準備は整っております。ですが、何故バルス伯爵の注文を受け入れたのです?」
「だって、もし失敗しちゃったらせっかくボクが会いに行った意味もないし、成功してもらわないと困るんだよネ。新しい駒探すのもめんどくさいよネ」

 バルス伯爵は、暗殺を行うにあたり、ガブネス王子に隠し侵入口を用意して欲しいと注文していた。
 この選択は、既にレイス達が把握していることをバルスは知らなかった。

「まあ、これだけボク達も協力してあげたんだし、あとはリングベルド家のお手並み拝見だネ。ああそうだ」
「ザガル伯爵。終わったら、あいつらも始末しておくようにネ」
「勿論ですとも。クックック……何も知らずに何とかしようとしている姿を観れるのは愉快です」
「そうだネ」

 リングベルド家が例え暗殺に成功したとしても、レイスを追放した家族の未来は既にない。
 家族崩壊へのカウントダウンは、レイスを追放した時から始まっていたのだった。
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