【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで

よどら文鳥

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【公爵Side】家族へのお詫び

「シャインよ、予定どおりルリナは捨ててきたうえで除名の手続きも済ませた。これでお前が正式に公爵家の長女となる」
「長かったですわ……。そりゃあお父様からしたら実の娘なのでしょうけれど……」
「そんな気持ちなど鼻っからもってはおらんよ。何度も言うが、もしもルリナが聖女としての器があるのならば金のために利用したかった。それだけのことだ」

 公爵にとって、再婚相手の公爵夫人との間に産まれたシャインのことを溺愛していた。
 その頃からルリナのことは邪魔でなんとか処分をしたいと思っていたのだ。
 だが、ルリナが聖女となると話は別。
 聖女としての功績で、貧民層が裕福になった例も多々ある。
 金を稼ぐためなら手段を選ばない公爵にとっては賭けだったのだ。

「お父様は私とお母様のことを苦しめたのです。しっかりとその報いは果たしてくださいね」
「む……むろんだ。なにが欲しい?」
「私、公爵家長女となったのですからすぐにでも社交界デビューをしたいと思っていますの」
「あぁ。しっかりと常識を知っているシャインならばどっかのバカのような恥さらしになることはないから問題はない」
「やはり、そういう場には如何に高級なドレス、そして高価なアクセサリーや指輪をつけられるかが必要ですわ」
「う……うむ」

 公爵はギクリと表情が怪しくなっていく。

「社交界に必要なドレスとアクセサリーと指輪が欲しいですわ」
「ちょ……ちょっと待ってくれ……。妻からも同じようなことを言われ、さらに使用人の数を増やしもっと優雅な生活をしたいと注文されてしまったが」
「ふぅん……。そうやって、私たちのことを疎かにしてしまうのですね……」

 シャインは今にも泣き出しそうな表情をしていた。
 それを見た公爵はいてもたってもいられなかった。
 ルリナが金になることを期待して、庭に放牧して飼いならしておくと言い出したのは公爵なのだから。
 だが、ルリナは聖女ではなかったという誤った解釈をしてしまいようやく追放。
 さすがに家族に迷惑をかけてしまった責任があると感じている公爵は、逆らうことができなかったのだ。

「わかった……。少々金にゆとりはなくなるかもしれぬが、今までの件でしっかり詫びよう」
「さすがお父様。もちろん、私たちの心が寛容だからこの程度で許すということもお忘れなく……」

 シャインは上機嫌で公爵の部屋から出ていく。
 その後、一人で公爵は頭を抱えていた。

「はぁ……。元妻が聖女だったからこそルリナは確実に聖女の力を持っていると思っていたのだが……。だが、あいつを産んだせいで金目当てで結婚した元妻が死んでしまったのだ。金稼ぎの邪魔をしたルリナを許せるわけがない……」

 聖女としての素質がほとんど消えていたのは、公爵がルリナにしっかりとした食事や休息を与えていなかったのが原因である。
 栄養もろくに摂れない状態では生命維持に全エネルギーを使う必要がある。
 そのため、聖なる力など微々たる力しか発動できなかったのだ。
 もっとも、ルリナ自身も聖なる力のコントロールがまだ未完成。
 しっかりと公爵邸で大事に育てていればこのような結果になることはなかったのだ。

「うぅ……、出費が重い。これでは私が密かに通っているアレもしばらく自粛せねばなるまい。だがこれもシャインに嫌われないようにするため……。なんとかせねばな」

 公爵はしばらくの間、節約しなければいけない生活が始まる。
 だが、性欲魔人の公爵がそのようなことができるはずもなかった。
 さらに公爵の秘密をツバキの部下が、偶然ではあるが調査していた。
 もちろん、公爵本人は知る術もなかったのである。

 まずは、家族間で亀裂が入りはじめた。 

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