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【公爵Side】シャイン視点1
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どうしてルリナが王宮にいたんだろう。
お父様はルリナを貴族界から追放したって言ってたし、お茶会に来れるわけがない。
気に食わない部分もあるが、今の私にはそんなことはどうでもよかった。
ルリナと一緒にいた女たちも所詮は私の地位には勝てない。
そのへんの雑草を相手にする暇はないのだ。
私はすぐに王宮の中へ入り、王子を探す。
待っていればいずれお茶会に姿を表して、私に婚約を申し込んでくるのだろうけど、楽しみすぎて待っていられなかった。
「第一王子はどこにいますか?」
私はそこらへんにいた近衛兵に聞く。
「これはこれはシャイン様。殿下なら仕事で王都外に出られております」
「あら……じゃあ第二王子は?」
「いえ、二人とも一緒に出ています」
と、いうことは残った第三王子のニルワーム様が私の婚約相手になるのか。
ニルワーム様は外見だったら三人の中で一番カッコいいから、それでもまぁ妥協はできる。
次期国王は三人のうちの誰かがなるわけだけど、やはり第一王子が今のところ有力だ。
だが、私がニルワーム様をよいしょよいしょと持ち上げていけば私も王妃になれる可能性は十分にある。
婚約を宣言される前に婚約者がわかってしまうなんて、私って罪な女ね。
「第三王子はいますよね?」
「はい。お部屋から外のお茶会の様子を眺めると言っていましたが」
つまり、ニルワーム様は私が来るのを待っていたんだ。
でもすでに王宮へ入っちゃったし、こういうことは早いほうが良い。
私から乗り込んでしまおう。
きっと驚くんだろうなぁ~。
「すぐに会いたいんですけど」
「は……はぁ。シャイン様がそうお望みでしたら部屋の前までご案内いたします」
場所は知ってるんだけど、さすがにいきなり突撃は色々と警備の面でマズいだろう。
私は近衛兵に従ってあとをついていくことにした。
それにしても……、あんたもっと早く歩いて欲しいんだけど!
♢
「ニルワーム殿下。シャインお嬢様が起こしですが」
「とおしたまえ」
部屋の中からニルワーム様の声が聞こえてきた。
やっぱりニルワーム様も私と話をしたかったのね。
早く婚約してくれって言って欲しいなと思いながら部屋の中へ入った。
――パタパタパタパタパタパタパタパタ……。
『ピッピッピーーーーーーーーーーッ!!』
「きゃぁぁぁあああ!」
部屋に入ると、私を出迎えたのは一羽の鳥だった。
こんなヤツに用はない。
とっとと部屋から追い出そうとしたのだが……。
「これこれ、ナツメちゃんよ。すぐに飛びつくではない」
「え!? この子ニルワーム様のペット?」
「あぁ、私の大事に飼っている文鳥で、ナツメちゃんというのだ」
「そ……そうでしたか」
危なかった……。
もう少しで、この鳥を外へ追っ払うところだった。
それにしても気持ち悪い。
なんでこんなのをペットにするんだろう……。
もしも結婚したら、この鳥も一緒になるかと思うと少し萎えてしまう。
「ところで私になにか用か?」
「はいっ。なかなかお茶会に出てこないから来ちゃいました」
「どういう意味だ? 私はそもそも今日は表に出ずに外から眺めるだけのつもりだったが……」
「え?」
いったいどういうことなんだろう。
私に婚約を申し込んでくれるならお茶会の最中が一番好ましいはず。
それとも、招待状を送ってくれた人って国王陛下だったのだろうか。
なんのために……?
「ちょうど良い。シャインよ、聞きたいことがある」
「あ、はい! なんでしょうかぁ!」
ついにきた!
ニルワーム様は私に対して『どんな男が好みなのだ?』と聞いてくるに決まっている。
そしたらすぐに、『あなたのようなお顔は好みです』と答えよう。
「鳥は好きか?」
は?
いきなりなんでそんなことを聞くの?
だが、鳥を飼っている以上、変なことは絶対に言えない。
ここはニルワーム様に合わせたほうが無難だ。
「もちろん大好きですわ。こーんなに可愛く懐いてくれるのですから」
「ほう。では、鳥を殴る者についてはどう思う?」
「なっ……!」
私はすぐに返事ができず、たじろいでしまった。
お父様はルリナを貴族界から追放したって言ってたし、お茶会に来れるわけがない。
気に食わない部分もあるが、今の私にはそんなことはどうでもよかった。
ルリナと一緒にいた女たちも所詮は私の地位には勝てない。
そのへんの雑草を相手にする暇はないのだ。
私はすぐに王宮の中へ入り、王子を探す。
待っていればいずれお茶会に姿を表して、私に婚約を申し込んでくるのだろうけど、楽しみすぎて待っていられなかった。
「第一王子はどこにいますか?」
私はそこらへんにいた近衛兵に聞く。
「これはこれはシャイン様。殿下なら仕事で王都外に出られております」
「あら……じゃあ第二王子は?」
「いえ、二人とも一緒に出ています」
と、いうことは残った第三王子のニルワーム様が私の婚約相手になるのか。
ニルワーム様は外見だったら三人の中で一番カッコいいから、それでもまぁ妥協はできる。
次期国王は三人のうちの誰かがなるわけだけど、やはり第一王子が今のところ有力だ。
だが、私がニルワーム様をよいしょよいしょと持ち上げていけば私も王妃になれる可能性は十分にある。
婚約を宣言される前に婚約者がわかってしまうなんて、私って罪な女ね。
「第三王子はいますよね?」
「はい。お部屋から外のお茶会の様子を眺めると言っていましたが」
つまり、ニルワーム様は私が来るのを待っていたんだ。
でもすでに王宮へ入っちゃったし、こういうことは早いほうが良い。
私から乗り込んでしまおう。
きっと驚くんだろうなぁ~。
「すぐに会いたいんですけど」
「は……はぁ。シャイン様がそうお望みでしたら部屋の前までご案内いたします」
場所は知ってるんだけど、さすがにいきなり突撃は色々と警備の面でマズいだろう。
私は近衛兵に従ってあとをついていくことにした。
それにしても……、あんたもっと早く歩いて欲しいんだけど!
♢
「ニルワーム殿下。シャインお嬢様が起こしですが」
「とおしたまえ」
部屋の中からニルワーム様の声が聞こえてきた。
やっぱりニルワーム様も私と話をしたかったのね。
早く婚約してくれって言って欲しいなと思いながら部屋の中へ入った。
――パタパタパタパタパタパタパタパタ……。
『ピッピッピーーーーーーーーーーッ!!』
「きゃぁぁぁあああ!」
部屋に入ると、私を出迎えたのは一羽の鳥だった。
こんなヤツに用はない。
とっとと部屋から追い出そうとしたのだが……。
「これこれ、ナツメちゃんよ。すぐに飛びつくではない」
「え!? この子ニルワーム様のペット?」
「あぁ、私の大事に飼っている文鳥で、ナツメちゃんというのだ」
「そ……そうでしたか」
危なかった……。
もう少しで、この鳥を外へ追っ払うところだった。
それにしても気持ち悪い。
なんでこんなのをペットにするんだろう……。
もしも結婚したら、この鳥も一緒になるかと思うと少し萎えてしまう。
「ところで私になにか用か?」
「はいっ。なかなかお茶会に出てこないから来ちゃいました」
「どういう意味だ? 私はそもそも今日は表に出ずに外から眺めるだけのつもりだったが……」
「え?」
いったいどういうことなんだろう。
私に婚約を申し込んでくれるならお茶会の最中が一番好ましいはず。
それとも、招待状を送ってくれた人って国王陛下だったのだろうか。
なんのために……?
「ちょうど良い。シャインよ、聞きたいことがある」
「あ、はい! なんでしょうかぁ!」
ついにきた!
ニルワーム様は私に対して『どんな男が好みなのだ?』と聞いてくるに決まっている。
そしたらすぐに、『あなたのようなお顔は好みです』と答えよう。
「鳥は好きか?」
は?
いきなりなんでそんなことを聞くの?
だが、鳥を飼っている以上、変なことは絶対に言えない。
ここはニルワーム様に合わせたほうが無難だ。
「もちろん大好きですわ。こーんなに可愛く懐いてくれるのですから」
「ほう。では、鳥を殴る者についてはどう思う?」
「なっ……!」
私はすぐに返事ができず、たじろいでしまった。
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