21 / 40
21話 フィアラはダインに突っかかる
しおりを挟む
もうすぐ後輩として、メイドが入ってくる。
そのため今日、私は執事長になってしまった。
ジェガルトさんからは、部下への教育や接しかたを教わった。
あとは普段どおりにしていれば問題ないと言われた。
私が普段やっている掃除や家畜の世話などを丁寧に教えれば良いらしい。
ところが、最近ひとつだけ問題がある。
ダイン様が最近機嫌が悪い。
私が執事長になったことに対して、あまり良い顔をしてくれなかったのだ。
「今日からフィアラが我が家の執事長か……」
「これからも、よろしくお願いいたします」
「いや、……俺は家を出てくかな……」
そう言い残して、そそくさと食堂を出ていってしまった。
私、なにか悪いことでも言ってしまったのだろうか……。
「あいつ、いったいなぜあのような態度を……。すまんなフィアラ殿よ」
「いえ……。食器の片付けがまだですが、一度ダイン様のところへ行ってもよろしいですか?」
「あぁ。構わぬ」
「では、一旦失礼します。あとで必ず食器の後片付けはやります」
すぐに彼がどこにいるのか探す。
まずはダイン様の部屋に訪れたのだが、そこにいた。
外に出ていってなくて良かった……。
「入って良いとは言ってないが」
「申し訳ございません。しかしながら、ダイン様の様子が明らかにおかしかったので心配になってしまい……」
「俺が様子がおかしい? いつものことだろう」
「いえ、そんなことはございません」
「ほう、ならばどのように違うのか言えるのか? なにも知らないだろ?」
なぜか私にやたらと突っかかってくる。
このような日が続くため、少し私もムッとなってしまいムキになってしまった。
ダイン様のことを毎日見ているのだから、違いに気がつかないわけがないだろう。
「まず、口調が違います。普段から言葉を崩して話してはいますが、今までとは違い、とげとげしく聞こえました。明らかに機嫌が悪い証拠です。そして、それが私に対して怒っているわけではないこともわかります」
「……なぜだ?」
「私の作った料理を持ってここへ来たからですよ。怒っているけれどごはんはしっかり食べようとしています。私のことを本気で怒っていたら、私の作ったものなんか食べないかと」
「…………」
「まだまだ理由はありますが、明確なものが一つだけ。本気で怒っていたら私をすぐに追い出していますから。ダイン様はそういうおかたです……あ」
やらかしてしまった。
ダイン様のことを必死に説明していたら、ムキになりすぎてしまった。
これはさすがにマズい。
怒られても仕方がないだろう。
だが、ダイン様がとった行動は……。
「へ? ……はい?」
なぜか私は今、ダイン様の身体の中。
いや、動揺していて説明がメチャクチャだ。
もとい、ダイン様にギュッと抱きしめられている。
かーーーーーーっとなってしまい、心拍数が大変なことになっている。
それにしてもダイン様の身体は良い匂いがするなぁ……。
「俺のことをそんなに見てくれていたんだな……。ありがとう」
「え……えぇ、どうもです」
私のキャラが完全に崩壊してしまっているではないか。
だって、ダイン様は私がここから絶対に脱出できないような力でギュッとしてくるのだから……。
こんなことされたらテンパってしまう。
なんでこのタイミングで私、抱かれているの?
そのため今日、私は執事長になってしまった。
ジェガルトさんからは、部下への教育や接しかたを教わった。
あとは普段どおりにしていれば問題ないと言われた。
私が普段やっている掃除や家畜の世話などを丁寧に教えれば良いらしい。
ところが、最近ひとつだけ問題がある。
ダイン様が最近機嫌が悪い。
私が執事長になったことに対して、あまり良い顔をしてくれなかったのだ。
「今日からフィアラが我が家の執事長か……」
「これからも、よろしくお願いいたします」
「いや、……俺は家を出てくかな……」
そう言い残して、そそくさと食堂を出ていってしまった。
私、なにか悪いことでも言ってしまったのだろうか……。
「あいつ、いったいなぜあのような態度を……。すまんなフィアラ殿よ」
「いえ……。食器の片付けがまだですが、一度ダイン様のところへ行ってもよろしいですか?」
「あぁ。構わぬ」
「では、一旦失礼します。あとで必ず食器の後片付けはやります」
すぐに彼がどこにいるのか探す。
まずはダイン様の部屋に訪れたのだが、そこにいた。
外に出ていってなくて良かった……。
「入って良いとは言ってないが」
「申し訳ございません。しかしながら、ダイン様の様子が明らかにおかしかったので心配になってしまい……」
「俺が様子がおかしい? いつものことだろう」
「いえ、そんなことはございません」
「ほう、ならばどのように違うのか言えるのか? なにも知らないだろ?」
なぜか私にやたらと突っかかってくる。
このような日が続くため、少し私もムッとなってしまいムキになってしまった。
ダイン様のことを毎日見ているのだから、違いに気がつかないわけがないだろう。
「まず、口調が違います。普段から言葉を崩して話してはいますが、今までとは違い、とげとげしく聞こえました。明らかに機嫌が悪い証拠です。そして、それが私に対して怒っているわけではないこともわかります」
「……なぜだ?」
「私の作った料理を持ってここへ来たからですよ。怒っているけれどごはんはしっかり食べようとしています。私のことを本気で怒っていたら、私の作ったものなんか食べないかと」
「…………」
「まだまだ理由はありますが、明確なものが一つだけ。本気で怒っていたら私をすぐに追い出していますから。ダイン様はそういうおかたです……あ」
やらかしてしまった。
ダイン様のことを必死に説明していたら、ムキになりすぎてしまった。
これはさすがにマズい。
怒られても仕方がないだろう。
だが、ダイン様がとった行動は……。
「へ? ……はい?」
なぜか私は今、ダイン様の身体の中。
いや、動揺していて説明がメチャクチャだ。
もとい、ダイン様にギュッと抱きしめられている。
かーーーーーーっとなってしまい、心拍数が大変なことになっている。
それにしてもダイン様の身体は良い匂いがするなぁ……。
「俺のことをそんなに見てくれていたんだな……。ありがとう」
「え……えぇ、どうもです」
私のキャラが完全に崩壊してしまっているではないか。
だって、ダイン様は私がここから絶対に脱出できないような力でギュッとしてくるのだから……。
こんなことされたらテンパってしまう。
なんでこのタイミングで私、抱かれているの?
181
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました
Karamimi
恋愛
2年前に両親を亡くしたスカーレットは、1年前幼馴染で3つ年上のデビッドと結婚した。両親が亡くなった時もずっと寄り添ってくれていたデビッドの為に、毎日家事や仕事をこなすスカーレット。
そんな中迎えた結婚1年記念の日。この日はデビッドの為に、沢山のご馳走を作って待っていた。そしていつもの様に帰ってくるデビッド。でもデビッドの隣には、美しい女性の姿が。
「俺は彼女の事を心から愛している。悪いがスカーレット、どうか俺と離縁して欲しい。そして今すぐ、この家から出て行ってくれるか?」
そうスカーレットに言い放ったのだ。何とか考え直して欲しいと訴えたが、全く聞く耳を持たないデビッド。それどころか、スカーレットに数々の暴言を吐き、ついにはスカーレットの荷物と共に、彼女を追い出してしまった。
荷物を持ち、泣きながら街を歩くスカーレットに声をかけて来たのは、この街の騎士団長だ。一旦騎士団長の家に保護してもらったスカーレットは、さっき起こった出来事を騎士団長に話した。
「なんてひどい男だ!とにかく落ち着くまで、ここにいるといい」
行く当てもないスカーレットは結局騎士団長の家にお世話になる事に
※他サイトにも投稿しています
よろしくお願いします
【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました
チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。
王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。
エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。
だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。
そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。
夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。
一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。
知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。
経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる